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【1分で読める小説】 その3 ヨコヅナイワシ

駿河湾で採取された新種の深海魚は、セキトリイワシの中でも特に巨大であったことから「ヨコヅナイワシ」と命名された。全長1.4メートル。まさに横綱クラスの圧倒的な迫力であるが、残念なことにすでに生きた状態ではなかった。

数年後、ビッグニュースが飛び込んできた。駿河湾の南東で、今度は生きた巨大深海魚が確保されたのだ。しかもヨコヅナイワシをしのぐ大きさで。日本魚類アカデミーはすぐさま分析を開始。世界的にも珍しい新種であることが確認された。

命名は難航を極めた。駿河湾の生態系ではヨコヅナイワシよりも上位に位置し、なおかつ、勝ち負けに貪欲な希少な品種だと言う。アカデミーでは三日三晩の議論の末、全世界に向けてようやく名前を発表した。「オヤカタイワシと命名します」

オヤカタイワシがきっかけで起こった深海魚ブームが沈静化した3年後、またしてもビッグニュースが飛び込んできた。さらに超巨大で、どす黒いイワシが発見されたのだ。今回はあっさり「スモウキョウカイリジチョウイワシ」と命名された。

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