#04 ニュージーランドキャンプ旅日記「大事件発生!!!」
2019年12月30日。ニュージーランドキャンプ旅4日目。
この日は旅の存続が危ぶまれる一大事件が起こった。
(これまでのキャンプ旅日記はこちらから:【NZキャンプ旅日記】)
ワイパーがおかしい
ニュージーランドでの年越しは、こちらのキャンプフェスに参戦することにしていた。この日はこのフェスへと向かう日だった。
フェスに向けキャンプ場を出発すると、まもなく雨が降り出した。
クルマのワイパーを動かす。「着く頃には雨止んでるといいな」なんて話していると、初めてのことが起こった。
ワイパーがもつれだした…!
なに言ってるかわからないかもしれないが、なぜか二つのワイパーが動くたびにもつれて絡まるのだ。もちろんこれではフロントガラスの雨粒は拭き取れない。幸いにも小雨だったのでなんとか走れたが、雨が強くなったらまずい。
クルマを止め、ワイパーをチェックした。もつれていたのは、どうやらワイパーの根本が外れかかってたみたいだった。
外れていたのをぐいっと押し込み、念の為日本から持参していたアロンアルファでくっつけておいた。(アロンアルファは便利で万能だ)
そのあとすこし置いて出発しワイパーをおそるおそる使ってみたが、もう絡まることはなかった。
と、そんなことはどうでも良すぎるくらいの事件がこのあと起こるのだった。
*****
突然のこと
海外のフェスはどんなだろうか。
わくわくしながら車を走らせ、その会場まであと5分というところ。
運転していた友人の様子が突然変わった。
「なんか、エンジンあたりから変な音が…」
その音はあっという間に大きくなっていき「やばい一旦止まろう」と脇に寄せて停車。
一体どうしてしまったのか状況は飲み込めないまま。とりあえずすこし休ませてから再度エンジンをかけてみるが、今度は明らかに「これは無理だ」と分かる更に増して異常すぎる音。
一応ボンネットを開けてエンジン周りを見てみるけど、車に関して無知な私たちでは全くもってわからない。
幸いにも念のためにとNZのロードサービス『AA』の会員になっていたので、すぐ電話して来てもらうことにした。会員であれば無料で助けに来てもらえる。なっててよかった…。
止まってしまった場所はモーターウェイ(高速道路)の上。
Googleマップの指す現在地を伝えると
「それはそのモーターウェイ自体を指すもので長いから分からないよ!」
と言われてしまう。
モーターウェイの上には住所がないのだった。Google頼みが…。
それから、必死にそのすぐ脇の地名を伝えたり、前後の分かれ道の名前を言ったりして、なんとかかんとか居場所を(なんとなく)伝えられた。
こんな時英語力がすごく試されるし、うまく聞き取れない伝えられないもどかしさを痛感した。
AAが到着
暫くしてAAのクルマが到着した。来てくれたAAのおっちゃんはエンジンを回してみてすぐに
「Oh very bad!」と言いどこかに電話をかける。
そして「レッカートラック呼んだからここで1時間半くらい待っててね!Good luck!」
と言い残しさくっと帰ってしまった…。Good luckってーおい。笑
年末だし予定もあったのかもしれない。
この日はは不運にも?12月30日。年末ということもあってvery busy なのだそう。レッカー到着までかなり時間がかかりそうだった。
その時時刻は20時を過ぎていただろうか。幸いにもニュージーランドの日の入りは今とっても遅くて、この時間でもまだ明るかった。
とはいえ、レッカーを待っている間にどんどん日は落ちていく。
わたしたちは車内でカードゲームをしたりしながら待っていた。暗くなり始めると持っていたキャンプ用のLEDライトをつけた。こういうとき、キャンプ道具もっててよかったなとおもう。灯りがあるだけでほっとする。
待っている間、何台かのクルマが私たちの前で停まったり減速して「大丈夫かー?」と声をかけてくれた。
ハプニングによって、ニュージーランドの人の優しさとあったかさもいっぱい感じられた。
実はこの旅に出発する直前に、長旅に備えてクルマを整備屋に持っていき、エンジン回りを一通りチェックしてもらいオイル等も交換してもらっていた。
だから突然のエンジン不調理由がわからなかったし、もう不運でしかなかった思っている。ひとつあるとすれば、ちょうどクリスマス休暇でホストファミリー行きつけの知り合い整備士さんに見てもらえなかったことかな。
初めてのレッカー車
本当に来るのか不安に思いながらも待ち続ける。すっかり暗くなり時刻は9時半をすぎたころ、ようやくレッカー車がきた。
レッカー車の兄ちゃんは、第一印象と英語の訛り、車内で流れている曲から予想するにインド出身の方だった。わたしはインド訛りが聞きづらく苦手だった。レッカー車の後部座席にわたしたちを案内し、わたしは求められたクルマのキーを渡した。
兄ちゃんがわたしのクルマに乗りこんだとき、「あ!」と思ったが遅かった。
実はクルマのキーは壊れていて、なぜか持ち手部分からキーの先がぽっきり折れていた。それを代々接着剤やらテープやらで留めて使っていたようで、それも使っているとすぐに折れかかってしまった。(なんじゃそりゃ笑)
ボンドとテープで再修理したものの ”つなぎ目あたり持って指先に力をいれてエンジンかけないと折れる” というややこしい状態だった。(年末年始明けたらカギやさん持ってこうと思っていたところ)
慌てて駆け寄ったときにはときすでに遅し。知らないレッカーの兄ちゃんは、キーを差しふつうに回すと当然ぽっきり折れしまって困惑していた。
「Sorry. It’s broken!!!」
それでもなんとか折れたカギを挿し回せたようで、乗り込んだトラックの窓から見守る中、わたしのクルマは無事レッカー車と乗せられた。
作業してもらっている間冷静になり考えていた。
「これからフェス会場に向かうべきなのか…。」
時刻はもう22時近く。フェスは調べてみると夜遅くでも入れないことはなさそうなのだが、こんな夜に案内してもらえるのか不安があった。真っ暗の中サイトを探しテントを張ってそれからごはん、とはなんだか現実的ではない。晩御飯を食べ損ねすっかり腹ペコだし、なんだかどっと疲れていた。しかもクルマはこの状態だ、一旦落ち着きたい。
「近くの宿をさがそう。」
大抵宿のチェックインは22時までだったので慌てて調べる。奇跡的に一件手頃な部屋の空きを見つけた。こんな時間なので「今日これから泊まれますか…?」とメッセージしてみる。
するとありがたいことに遅い時間にもかかわらず、すぐに「OK」と返信をくれた。よかった、なんとありがたい。今日は予定変更ゆっくり宿に泊まって作戦を練ろう。
再び問題発生
クルマを無事に載せトラックに戻ってきた兄ちゃんは、何も聞かずに出発した。
「なにも確認されなかったけど、このひと目的地わかっているのかな…。」
行き先の変更も伝えなければと、今どこに向かっているか聞いてみた。するとそれは予想していなかった回答だった。
彼は、なんと少し走りモーターウェイを降りたところで私たちを下ろす予定だったのだ。
「おれの役目は、君たちを安全な場所まで連れて行くことだけだ。」
と冷たく言う。
「じゃあ…わたしたちはその後どうすればいいの?」
「おれには知ったこっちゃないよ」
そんな感じのやりとりをしたが、ここで引き下がるわけにはいかないし、なんか話がちがう。
AAの電話先では、トラックに乗りたい人数と共に行きたい目的地も聞かれ、しっかり伝えていた。ただ、その後の流れは全くわかっていなかった。
「近くに身寄りはいないのか、家はないのか」
電話で何度も聞かれたが、近所にもちろん家はなく、突然転がりこめる宛てもなく、とりあえずフェス会場に向かうしか、と思っていた。(冷静に考えるとそんな状態で行ってどうする?なのだが、とりあえずテントを張って眠れる場所はある。)
英語での電話やりとりはなかなか苦戦し、レスキューに来てもらうだけで精一杯だった。最初に駆けつけてくれたAAのおっちゃんは、走れないと判断しレッカーを呼ぶとさくっと帰ってしまったし。笑
とりあえず、目的地のフェス会場場所やそこに行きたいことを電話で伝えていたことを話すと、「そんな話は聞いてない」と言いながら、別のひとに確認の電話をしてくれた。
電話を切るとこう言った。
「わかった今回は特別だ、そう伝えてたらしいから連れてってやる。」
うわーよかった。
「ありがとうございますー!!!」
と、ここでもう遅いので今日は近く別の宿に行き先を変更したいと伝える。その場所を伝えるとまた彼の態度は一変した。
「遠すぎ。無理だ。」
その宿までは調べるとクルマで20分弱。フェス会場までなら5分ほどだった。
「そんなに遠くないよ」とマップを見せてアピールするが「遠い、無理、もっと近いところはないのか」と言われてしまう。しかしそこ以外の宿の空きはなかった。ましてやもう22時を回ってしまっている。
「もうこんな時間だし、他に行くところないんだ」と懇願すると少し考え
「わかった、特別にその宿の場所まで行くが有料だ。Kumeu(フェス会場)ならお金はとらないがどうする?」
すこしお金はかかっても今日は安心の宿に泊まろう、と迷わず有料にて宿までの送迎をお願いした。
宿の方には今から向かうことを伝えると、遅い時間なのに快く待っていてくださるとお返事をくれた。不安だらけの中とてもありがたかった。
ほっとひと安心したが、その後どうするべきなのかがまだよくわかっていなかった。聞いてみると、同じAAでもロードサービスと修理サービスは窓口が別だとのことで、「そのあとは担当が違うのでわからない。今は営業時間外だろうから明日の朝電話してみるといい。」と教えてくれた。
無事に宿に到着し、インスタント遅い夜ご飯を食べた。とりあえずきょうはゆっくり休んで、明日の朝電話してみよう。
これからに大きな不安を残したまま眠った夜だった。
12月30日
[移動]Auckland近辺(93.4km)
[宿泊]Aucklandの個人宿
一部写真:三沢真実
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