秋、宣城のまちの謝朓が築いた北楼に登って――李白の詩の詩

秋、宣城せんじょうのまちの謝朓しゃちょうが築いた北楼ほくろうに登って

川辺のまちはまるで、に描かれた風景のようである。
山は夕暮れ、晴れた空を望んでいる。
二すじの川は、この地をはさんで澄明ちょうめいな鏡のように流れ、
二つの橋は、向こう岸へ架け落とされた虹のように並んでいる。
人家じんかから立ちのぼる煙に、蜜柑みかんは寒々と、
秋の色も深まり、梧桐あおぎりの木が老いてゆく。
誰か、(謝朓しゃちょうの築いた)この北楼ほくろうの上で、
(今の私と同じように)思ってくれる人がいるだろうか、
風にのぞんで、
(風のように生きた詩人)謝朓しゃちょう先生の存在を感じつつ、
大切におもいしたってゆきたい、こんな気持ちを。


秋に宣城せんじょうなる謝朓しゃちょう北楼ほくろうに登る

江城こうじょう 画裏がりの如く
やまれて 晴空せいくうを望む
両水りょうすい はさみて明鏡めいきょうのごとく
双橋そうきょう 落して彩虹さいこうのごとし
人煙じんえん 橘柚きつゆう寒く
秋色しゅうしょく 梧桐あおぎり
だれおもわん 北楼ほくろうの上
風にのぞんで 謝公しゃこうおもうを


秋登宣城謝朓北楼

江 城 如 畫 裏
山 曉 望 晴 空
兩 水 夾 明 鏡
雙 橋 落 彩 虹
人 烟 寒 橘 柚
秋 色 老 梧 桐
誰 念 北 樓 上
臨 風 懷 謝 公

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