南の僻地 夜郎に流されて妻に寄せる――李白の詩の詩

南の僻地へきち  夜郎やろうに流されて妻に寄せる

夜郎やろうという最果ての地から
君と暮らしていた日々のことを
遥かに遠く、おもい望んでいる。
まるで、月の澄みきったしずかな夜、
君は楼閣ろうかくの中に
戸口とぐちざしたかのように
僕には連絡を、ほとんどくれなくなった。
がんは、未だ春の季節にある北の地へと帰り去り、
みるみるうちに、あちらへ消えてゆく。
その姿をただ南から見送っている僕は、
こちらに来て欲しいものを得られないでいる、
君の住む、豫章よしょうからの手紙を。


みなみのかた 夜郎やろうながされてつま

夜郎やろう天外てんがい 離居りきょうら
明月めいげつ楼中ろうちゅう 音信おんしんなり
北雁ほくがん はるかえって 看々みすみすきんとほっ
南来なんらいず 豫章よしょうしょ


南流夜郎寄内

夜 郎 天 外 怨 離 居
明 月 樓 中 音 信 疎
北 雁 春 歸 看 欲 盡
南 來 不 得 豫 章 書

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