蘇台で古を覧た――李白の詩の詩

蘇台そだいいにしえ

遠い昔に使われていた庭。
楼台ろうだいは荒れ果ててしまっているが、
今も新緑しんりょく楊柳やなぎには、さらなる風が起こった。
(巡る季節の命の息吹いぶきに、
次第に埋もれゆくこの旧跡きゅうせきに)
ひしの実をむ少女の歌声は、
何とも若く春らしく、春を盛んにうたうから、
私の心は、どうしても表現に尽くせないほど
満ち満ちてこの春をいっぱいに感じてがたく、
(庭の景色けしきは変わっても、
ふっと夜空よぞらを見上げれば)
ただ今も、私の目の前には、
ただ確かに変わらず有る、
この長江ちょうこうの西の月。
この月がかつて、全く同じように照らしていたのだ、
の国の王宮おうきゅうにいた人を。

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