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ぼくのこと大好きな架空の先生:0026

占い師のしいたけ.さんが大好きで、
VOGUE GIRLの今週のしいたけ.占いを欠かさず読んでいますが、今週は面白いことが書いてありました。


僕は射手座なのですが、今週は「自分大好き」を取り戻していく時間。そのために「ぼくのことが大好きな架空の学校の先生」をイメージしてその視点を取り入れたらいいというふうに書いてありました。

そうしたイメージを思い浮かべるのはやはり照れ臭くてあんまりなかったので、面白そうだからチャレンジしてみました。






先生のことを信頼してなかった僕


さて、まずはイメージを想像するため、学生時代を振り返ったのですが、思い返してみると僕は割と先生に好かれていたんですね。


イメージの前に、ここから先はちょっとブラックでクズな僕の一面をお話しすることになるのですが、

田舎で浮いていた僕は、同級生とあまり仲良くできなかったのです。
それで、同級生より強い学校の先生を味方につければ、一目置かれたり何かあってもこちらの側についてくれるので、おもねっていたのです。


勉強はまあまあできたので、後はいい子ぶってれば簡単でした。大抵の田舎の学校の先生は、手のかからない天才型の生徒に目がなかったように思います。
将来大物になった時に「いやあ、この子は昔からビッグになると思ってましたよ。私が教えてましたし」って自慢できるし。


だから、「君は将来大物になるよ」と割と言われていたのですが、僕は先生に本性を見せていなかったので「大人って簡単に騙せるんだ」と舐め腐っていたんです。
「勉強できるからあなたたちの利益にはなりますしね」と、なにを言われても心に響かなかったんです。

もしあの頃、その言葉をもう少し真に受けて具体的に突き詰めて行ったら、今いるところとはもう少し違うところにいたかもしれない。

人を信じられない事は寂しい事でした。


…と、いきなりとんでもねぇクソガキだった過去を思い出してダウナーになってしまったけど、過去は変えられないし、だからこそ、今、素直に人の評価を受け取れるようにと心がけているので、挑戦を続けます。




杉野古道先生



という訳で、過去のトラウマを紐解いた結果、勉強など基準の物差しで測れる先生ではなくて、進学校などで冷遇されていた、受験の必修科目じゃない先生をイメージしてみました。


地学の杉野古道先生(59)。
地学を受け持つが、実は蝶の採集・標本が好き。
緒形拳さんの風貌(ドラマ、風のガーデンの先生のイメージで)。
顧問の地学部は一芸に秀でた変わり者の生徒が集まる。

※弱虫ペダルの小野田坂道くんという主人公の名前が大好きなので、道に因んだ名前にしてみました。付けた瞬間「すごい厨二病ネームだ!!」と爆笑しました。


杉野先生は放課後、校内の庭にある東屋で麦茶を飲んでいるので、僕も隣でざらめの煎餅を食べながらお話しする事にした。



僕はこのnoteについて、最近自信がなく悩んでいる事を杉野先生に相談してみることにした。

「どうしました?はぐ田くん、浮かない顔ですね」
「いやぁ…、最近noteに記事を書いているのですが…」
そう言いつつ、僕はバリバリ、とザラメを齧った。書きながら思ったのだが、こんな音のうるさい菓子を食べたのは間違いだった。慌てて飲み込む事にする。
先生は急いで煎餅を食べる僕を見て、自分の水筒からお茶を分けてくれた。
「あぁ、知ってますよ。好きなものを語ろうと始めたんですよね。3ヶ月前に始めたのだから…もう26本目ですか。たくさん書いたね
ゴクン。煎餅と先生から分けてもらったお茶を一緒に飲み干す事ができた。
この描写はいらなかったな、と思いつつ、僕は口を開いた。
「ありがとうございます。最初はエッセイを書くつもりで始めてみたんです」
「ほぅ」
「でも、最近異様にハマっているピエロさんの記事ばっかり書くようになってしまって。周りから見たら、あいついつもピエロの話ばかりしてるよ、ってイタイ奴に思われてそうで」
「どれくらいの頻度で書いてます?」
「週に一度だから、月に5本くらいでしょうか」

先生はふむふむと頷く。
「そのペースなら大丈夫でしょう。増えてしまうようでしたら、なぜ書きたいのかをその時考えましょう。見栄や虚栄心で書くようになったとしたら、それは本来の意図から外れかけているかもしれません」
「いやぁでも、ピエロさんに迷惑をかけているかもしれない…。相手が生きている方で、もしかしたら記事を読まれるかもしれない以上、ファンである挙動に気を遣ってはいます。でも僕は、何かのファン活動をしたことがないし、そんなに詳しかったり親身になれているじゃないんです」

ここで話しているピエロというのは、バーチャルの世界に属している遠くて近しいアイドルみたいな存在だと思っている。
SNSの発展で、ファンとアイドルの関係はひどく近しいものになった反面、今までの人間関係と違った関係性である以上、一人のファンとして何ができるか、僕は考え続ける必要があった。


「誰にでも初めてはありますよ。人と関わる以上、迷惑をかけないことなんてありませんし。それが迷惑になるかどうか調査をして、もし間違えて迷惑をかけてしまったら、改めて謝りましょう




僕は思い切って、一番悩んでいる質問をした。
「僕は飽き性で、底の浅い人間です。いつか止めてしまうかもしれない人間が、ファンになって書き続ける意味はあるのでしょうか?」



杉野先生は麦茶を一口飲んだ。蝉の声が鳴り響く。



「はぐ田くん。1年前の君は、図書室でずっとネイティヴアメリカンの狩猟の本を読んでいたね。原始時代の生活に憧れて、真冬の雪山に木の葉と枝だけで作ったシェルターで一晩明かしたことがあった。同行した僕は凍えて死にかけました」
「その節はすみません」
「その前は海でシーグラスを拾いたいからと、浜辺と干潮の時刻を調べて、夜が明けていないうちから出かけて行ったこともあるね。あんな時間に海まで行ったのは、僕も初めてでした」
「…そんなこともありましたね(忘れていた)」
僕は思っていたより、杉野先生を振り回していたようだった。


「君はひとつの物に熱中すると、ひたすら取り組みます。興味の対象の範囲は極めて狭いが、深堀りする性質ではあると思います。そして少々飽きっぽい事を自覚できている。物事は永遠などないという事を知っている。『そんなこともありましたね』と愛していたものを忘れる日が、いつか来るでしょう」

君はシーグラスを採りにいくことも、山に篭ることも、今はもうしない。でも、君は海に拾い物をしに行くなら干潮を調べる事を覚えたし、拾ったシーグラスを今でも大事に持っている。山には籠もらなくなったけど、シェルターの作り方を覚えているし、休みの日に小枝を集めて小さな焚き火を焚くこともできる」

「はい」
「今はきっと、いっとう好きなものを書いて語るブームなのですよ。書きたいものを書き終えたら、満足して書かなくなるかもしれません。
でも君は、熱量を失っても好きだったものをほんの少しだけ憶えています。それは君の生活を豊かにする。今のブームはより記録に残す作業だから、君が忘れても、思い出したいときに思い出せる」
「…はい」
君にとって、続ける価値はあります。そして、君の記録が君自身を温めるものなら、いつかきっと知らない誰かの心にも、別の形で響くかもしれない。そうなったらいいよね」
「…そうですね」
杉野先生の言葉に、僕は深く頷いた。


そうか。僕はきっと、忘れる為に書いている。

いつか思い出す為に書いている。


大好きだった気持ちが見えなくなった時。

嬉しいことがあった時。

何事もなかった時。

別れが訪れた時。


人は忘れるからこそ、思い出せるのなら。

ここに書く意味はあるんだ。


「ただ、君は熱中すると生き急いでるような、妙な気迫を纏ってしまうから、そこは少しゆるやかにね。顧問の僕もびっくりする時があります。明日がないよりは明日もあると思った方が気楽です。気長にやっていきましょう」
…うっす
「返事が気迫ありますね」

こうして杉野先生とのお話は終わった。



…杉野先生、いい先生でしたね。こんな先生がいてくれたらなぁ…と思いましたが、思ったより虚しくはならなかったですね。気分が上がりました。
とりあえず、書きたいものを書き続ける事にします。

杉野先生の次回登場にご期待ください。


(シーグラスと山でのサバイバルはネタじゃなくガチで実体験なので、そのうち書きたいです。)

おわり



自由研究をしないと死んでしまう性分なので、不思議だな・面白いな、と思ったことに使わせていただきます。よろしくお願いします。