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東京というテーマパークを作るもの

東京モノレールが好きだ。

羽田空港に向かうワクワクした気持ちを思い出すからかもしれない。
しかし、それ以上に流通センター駅のような、ひたすら倉庫とトラック、クレーンの並ぶ港の風景が好きだ。
殺伐としており、人気がない。ただひたすら流れていくトラックの群れ。

東京に住んでいると忘れてしまうけれど、この街は結構凄いのではないかと思う。
なによりも都市が大きい。
アジアにもシンガポール、香港、タイ、マレーシア、韓国、台湾、ベトナムと、都市圏がある程度発達した国はたくさんあるけれど、東京ほどどこまで行っても繁華街が広がる都市は、なかなか無い。
丸の内に秋葉原、銀座に日本橋、新宿渋谷池袋。
大小のターミナル駅をあわせたら、いったいどれほどの街が、この都市には存在しているだろうか。
どの街にもルミネやマルイのような駅ビル、ファッションビルが立ち並び、星の数ほどあるテナントにはあらゆるモノが店頭に並んでいる。
ビルのネオンがキラキラと輝き、夜遅くまで眠らない。欲しいと思えばなんでもすぐに手に入る街、それが東京である。

この街に住んでいると、その便利さがいつしか当たり前となってしまい、次第にその裏側への想像力が失われていく。
欲しいものはいつでも手に入る。街と街をつなぐ電車は数分に一本走っており、行きたい場所にはいつでも行ける。
生きていくことを強く意識しなくても、お金さえあればなんとなく生きていける街、それが東京だ。

東京モノレールから見える殺伐とした東京は、そうした巨大都市のバックヤードを覗き見ているような気持ちにさせられる。

外国からタンカーで運び込まれたコンテナがクレーンで陸に降ろされ、トラックで次々と倉庫に運び込まれる。それらはパレットに分解され、今度は各々の街に運び込まれていくのだ。
大量の倉庫と物流と無機質な流れ。
東京という街のリアルがここにあると思う。

この景色を見るたびに、東京という街の輝きがまるでまやかしのように感じられる。
東京はまるでテーマパーク
その街を支えているのは、海外から運び込まれる大量のコンテナと、倉庫と、トラックなのだ。
きらきらとしたネオン輝く街には無い、圧倒的な現実感。
その殺伐とした景色が、なによりも東京のリアリティなのではないだろうか。
だからこそ、私はこの景色が好きだ。
東京という輝く街の本質が、ここにある。

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