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地域に根差したキッチンカー事業!お客様を呼び込むデザインとは

地方を中心に地域密着型のビジネス展開として、移動販売が再注目されています。実店舗より手軽に始められる一方で、営業場所・時間が流動的で固定客を掴みにくい等、特有の課題もあります。

今回はキッチンカーで「ぽてとのひみつ」というスナックを販売されているBarong(バロン)様の開業支援の実績をもとに、キッチンカービジネス立ち上げのポイントをご紹介します。

お手伝いのきっかけは、商品パッケージのご相談から。看板商品の「ぽてとのひみつ」は、ボール状の揚げポテトに具材を詰め込んだオリジナル商品。初めて見る食べ物だからこそ味や食感がイメージできず、購入に結びつかないのが悩みの種です。そんな相談から発展し、立ち上げから事業化を一気通貫でお手伝いしました。

「商品設計」が収益化のカギ

事業の収益性を左右する要素に、商品設計と値付けがあります。特に値付けの際は、消費者の反応が気になってしまうもの。「いくらなら買ってもらえそうか」と考えがちです。しかし本質は「安いから買う」ではなく、「価値を感じるから買う」です。自慢の商品を安売りするのではなく、「ほしい!」と感じてもらう仕掛け作りが必要です。

また少人数で営むキッチンカーではスムーズな会計も重要です。そこで販売価格は釣銭不要な、500円と1,000円に設定。継続可能な収益性を担保できるよう、一商品あたりの入数を検討します。商品の製造原価だけでなく、キッチンカーの維持費や販促にかける予算も含めて損益を計算。営業日数や販売数量を試算した結果、500円の食べ歩き商品は4個入、1,000円の持ち帰り商品は10個入でお得感を出すように設定しました。

事業を軸に販売価格を定め、価格に見合った商品価値を創りあげる。事業者主体の商品設計が、ブルーオーシャンを築く一歩となるのです。

「発見」から「欲しい!」へ、お客様の心を掴む2ステップ

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キッチンカーに集まるお客様は、イベント特有の非日常・ワクワク感を求めています。偶然の出会いから「ぽてとのひみつ」を購入いただくには、2段階のアプローチが必要です。

第一段階は、興味を惹いて店頭で足を止めてもらうこと。そのためアイキャッチと認知度を高めるキッチンカーのデザインを提案。明るい色味のボーダー柄を選び、遠くからでも人目を引き「あれは何だろう?!」と店頭へ誘導するようデザインしました。

第二段階では、集まったお客様を逃さず購入へつなげることに注力。割った熱々ポテトから、具材と溶け出したチーズを見せる、シズル感溢れる写真を入れた立て看板を設置。直感的に、美味しそう!と購買意欲を掻き立てるよう商品の見せ方が大切です。

販売環境やお客様の利用シーンに沿って、店舗から商品へ、段階的に魅力を訴求。カジュアルに、熱々を美味しく食べられる商品の魅力をデザインで体現、「ぽてとのひみつ」独自のイメージを創りました。

世界観を創りあげて「愛されるお店」へ

購入者が持ち歩く商品パッケージは、次のお客様を呼び込む広告塔になります。「あれは何だろう?」と興味を持ったお客様が見つけやすいよう、キッチンカーとパッケージはデザインを統一。持ち帰り商品には必ずショップカードを添え、購入者以外にも商品や店舗の情報を届けられるよう徹底。カードにはSNSのアカウントを表記し、定期的に出店情報を発信することで、次の購入機会へ繋げます。店頭になんとなく置かれることの多いショップカードですが、実はブランド認知やファン醸成において重要な役割を担っているのです。

初めての出店先でもお客様の輪が絶えない、Barong(バロン)様のキッチンカー。イベント会場で一際賑わう様子が目に留まり、別のイベント主催者や企画担当の方から「自分たちのイベントにも出店してほしい」と声が掛かることも。それは「ぽてとのひみつでイベントを盛り上げてほしい」という期待から。そのような声にもすぐ応えられるよう営業パンフレットも準備。イベント出店が次の営業機会を作る、好循環がつくられています。

まとめ

顧客の購買シーンに沿ったトータルデザインによって、順調なスタートをきったバロン様のキッチンカー事業。オレンジ色のキッチンカーと熱々ジューシーな商品で、『このひみつ、知ったらもう、やめられない』というキャッチコピーの通り、ファンの輪が広がり続けています。スタートから1年後には、毎月営業カレンダーが埋まるまでに成長を遂げました。

開業からまもなく4年が経ち、滋賀県を拠点に関西一円へビジネスの範囲が拡大。有名イベントからも声が掛かるようになった今も、お客様との出会いと繋がりを大切にビジネスを展開されています。さらに多くの方へ「ぽてとのひみつ」を届けるべく、とオンラインショップの開設を進めています。地域密着で培ったお客様との関係をオンラインへ。Barong(バロン)様の挑戦はこれからも続きます。