一人ひとりの特性(個性)とともに子ども達の表現を見つめて
「ママ、障害ってなあに?」
「生きづらさ、という人もいるよ。」
「じゃあ、僕にも生きづらさはあるの?」
「うん、あるよ。みんなある。ママにもあるよ?ただ、見えやすいか見えにくいか。それだけのこと。」
「どうしたら生きづらさはなくなるの?」
「誰でも困っていることがあるでしょ。困ってしんどいなと感じたら、ママやお友達だち、先生と二人三脚すればいいんだよ。
そうしたら生きづらさはいつのまにか無くなる。」
ある日の息子(7歳)との何気ない会話。
子どもの問いかけは時に、10年後を見据えた教育のビジョンを私達大人に与えてくれる。そしてそれは永遠の社会的問いかけであったりする。問いかけのツールは、身ぶり手ぶりなどのサイン・言葉・歌・文字・ダンス・絵や立体と様々であるが、とりわけ子ども達が絵に発する色や形には、「僕らはここに生きているんだ!」という溢れんばかりのエネルギーが詰まっている。どんなに小さな赤ちゃんも、特別なニーズがある子も、全ての子ども達は自分を表現できるツールをすでに持っている。そのツールを詰め込んでいく引き出しを子ども達の心の中につくっていきたい。
子ども達が成長していく過程はまるで長い旅のよう。自分探しや自分の周りの世界を意味づける旅路で、予想していなかった困難に出会い、幾度となく涙する。「信じられない!」といって旅を辞めてしまいたくなる時もあるだろう。けれども子ども達は思い出す。大切なものはあの時ちゃんと引き出しの中に閉まっておいたのだと。自分で心の引き出しを開けることが出来たなら、子ども達は自分自身の力で傷を癒したり、問題の解決へ向かおうと進んでいける。
今日も保育の現場で、発達支援の現場で、教育現場で、地域のアート活動の中で、家庭で、子ども達の色や形が生まれている。誰一人として同じ色や形はなく、それぞれに個性という光を放っている。
『幸せは自分の外にではなく、自分の内に見出していくもの。』
子ども達の表現がそう教えてくれているんだ。
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