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その子が見ている世界とパニックについて

この絵は何の絵でしょう?

はい。目玉焼きです。
黄色いものが真ん中にあり、お皿の上に柄が描いてあり、水玉模様の背景はランチョンマットです。
小学四年生の女の子の描いた絵です。

しかし目玉焼きに見えない人はもいたはずです。目玉焼きの全景が描かれておらず、もしかしたら目玉焼きよりもお皿の柄に目がいった人も多いのではないでしょうか。

この女の子は〝細部・パーツ〟に注目する特性をもっています。

特性。それは障害ではなく、生まれながらに備わった神さまからの賜物です。

細かく、パーツに着目するという情報処理の特性がある診断名として

『自閉症スペクトラム』があげられます。

人の顔全体よりも目に着目しがちなため、顔よりも相手が身につけた物や〇〇の会社の制服来た人が、という覚え方をする時もあります。
見えている世界が違う、という理解が必要です。

よく自閉症の人は〝相手の表情が読み取れないとか
気持ちが理解できない〟など間違った言葉を並べた失礼な文献を見かけることもあります。
しかし、この診断を受けた子どもたちは

〝表情か態度か、何を手がかりにすればよいのかな?〟

と気づくのが遅いだけで、実は物凄く根が真面目なゆえ、お友達と仲良く過ごすことを強く自分の課題と捉えていることが多いのです。この自分に課した課題が達成できなかったときにパニックなるサイクルがあります。

私が出会ってきた子ども達のパニックの例
・図工の時間、換気扇の音が嫌で消して耳を塞ぎ
教室をかけまわる。
・かみなりが怖くて走り回る。
・発達障害をもつ子ども達の支援施設では、
紙工作の電車模型を作っては自ら破壊する。
・本やベビーガードや、トランポリンの布地をむりしとる。むしりとることへの快感→いけないことは余計にしたくなる→誤学習→触ってはいけないものは目に触れないようにする

などなど、、

『パニックの回数を減らす支援として』
〝本人が自分のものにしている行動〟を増やしていったり、〝落ち着いて取り組めるもの〟を増やすことが大切です。安心素材を普段から複数見つけておくことや、気分転換の方法を目立たない方法に変えるなど、本人の困りごとへのアプローチは様々です。
このことを考えた時、図工や美術の時間の役割はとても大きいでしょう。

その他どんな特性があるから生きづらいのかを
支援する側が知るだけで、集団の中での支援がスムーズになります。

●情報処理の特性
・視覚優位(話し言葉は苦手)
・2つ以上の情報処理が困難
・パターンが決まった物事が理解しやすい
・記憶がいい(写真的記憶、レコーダ的記憶)
・感覚過敏性
・パニック(情報入力の停止)を起こしやすい
などが挙げられます。

●細部・パーツに着目することから派生することは
・全体よりパーツに目がいきがち
・人の情報処理が難しくなる
・背景情報と処理しなくてはいけない(重要なこと)を分けにくい
が挙げられます。

自閉症スペクトラムの子ども達は相手の焦りや怒り不安に敏感です。まず大人が慌てず
パニックになった本人にアプローチするより(パニックは特性なので一先ず諦める)周囲の子ども達に指示を出し安心できる空間をつくっていくことが先決です。

【参考資料:発達障害のあんなことこんなこと、どうしたらいいのでしょう〜子どもの問題を解決するには〜武庫川女子大 音楽部非常勤講師 石川道子先生】

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