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海外の学校で日本人を受け入れたら結構大変だった

みなさんは、海外に行った時に現地の学校に訪問したことがありますか?どんなことがありましたか?
私は、海外の学校で働いていたので、よく日本人を受け入れる担当になりました。多分100組以上は受け入れに携わっていたと思います。日本人として、海外の学校で日本人の訪問客を受け入れるって、結構大変なんですよ…その裏側をお伝えします。

大変だった①修学旅行


私が受け入れに携わった中で、一番大変だったのが高校生の修学旅行生の受け入れでした。滞在時間は数時間だったんですが、とにかく大変でした。

まずは、人数が多くて大変でした。80人ぐらい来たんです。80人が一堂に集まれる教室がない。休み期間中ならなんとでもなりますが、授業期間中に教室を捻出するのに苦労しました。
そして、注文が多くて大変でした。修学旅行って、事前に下見をすると思うんですが、下見に先生と旅行会社の方がいらっしゃって話し合いをしたんです。そうしたら、「茶道をやりたい(電子ケトルで沸かしたお湯でいいですか?近くにシンクないですけど…)」「こういう出し物をしたい」など、いろいろやりたいことがあるのはいいんですが、受け入れ側としては授業つぶしたり教室をやりくりしたりと色々なことが発生するので、全部飲むわけにもいかず、調整が難航しました(私が難航させたんだけど)。
さらには、滞在時間短くて大変でした。滞在時間に余裕があればこちらも余裕を持って対応できるんですが、例えば3時間しか滞在時間がなくて、その後大使館などにアポがある、となるとなるべく時間通りに出発してもらわなければなりません。大体現地の受け入れ担当の方が渋滞の時間などを見越して計画を立ててくれていますが、蓋を開けてみると到着時間が遅れるのはよくある話。なるべく提案されたことを行いつつ、生徒との交流の時間(こちら側のインセンティブ)を取りつつ、満足して帰ってもらうために苦労しました。
これもびっくりしたんですが、生徒がやる気なくて大変でした。次に述べる「高校生の訪問」は何度も受けたことがあって、みんなモンゴルに行きたくてプログラムに応募した人たちなのでやる気もあって楽しそうだったんですが、修学旅行はみんながみんな来たくて来たくてきているわけではないということのようです。みるからに楽しくなさそうな生徒もいて、なんだか悲しくなりました。
最後に、校内で携帯無くした生徒がいて大変でした。学校は小中高一貫だし、掃除のおばちゃんとか来客もあって色々な人が行き来するので、見つかるかどうかわかりません。しかも、校内でなくしたかどうか分からないけどとにかくないと言われ、他の先生にも探してもらいましたが、校内をかなり移動しているので大変でした。ここは日本じゃないから自分のものは自分で守ってほしい、と思いました。

大変だった②高校生の訪問


こちらは、①の修学旅行生より楽で、人数も少ないし(といっても30人ぐらい)、みんなやる気があって来ているのでしっかりしていて、指示も通るしありがたかったです。じゃあ、何が大変だったかというと、一緒に来たお偉いさんでした。

お偉いさんの対応もしなきゃいけないし、高校生たちの対応もしなきゃいけないし、全体としては1組なんですが、2組同時にお客さんが来た感じになりました。そして、お偉いさんが校長先生にあいさつしている間、別室で高校生を待たせる形になってしまい、そのまま待たせるわけにもいかないので、仕方ないから私がここで働いている理由を話したり、それだけでは時間が余ってしまったので質問タイムにしました。しかし、高校生たちが興味深そうに話を聞いてくれるし質問してくれるので、非常にありがたかったです。
そのあと、高校生たちは生徒との交流の時間用に自分の得意なことなどをプレゼン形式にしてまとめてきてくれたのですが、どうやって時間を有効に使うか、苦労しました。でもしっかり準備してきてくれて、日本のことだけでなく自分の好きなこと(例えばサッカーボール持ってきてリフティングしてみる)を紹介してくれて、お互い楽しめる時間になりました。

大変だった③大学生


高校生より大学生の方がいいでしょ?と思うかもしれませんが、大学生の方が受け入れは大変でした。まあ、プログラムが違うというのもあるのかもしれません。
高校生は基本的に制服を着てきます。でも大学生は私服なので、服装がだらしなくてちょっと困るときがあります。まあ、学校訪問なんてしないからどんな服がいいのか分からないよね。
それに、大学生になるとタバコ吸う人がいます。タバコを吸うこと自体は否定しないけど、対応に苦慮します。私はタバコ吸わないし、どこですったらいいかとか、ちょっと我慢できない?とかいろいろ考えてしまいます。
さらに、大学生はお酒が飲めるので、二日酔いで大変なことも。次の日学校訪問だからちょっとは自重してほしい。
さらに、歓迎会でモンゴルの音楽など聴いてもらうのですが、大学生側の出し物が大変だったりします。高校生や中学生は先生がしっかり準備させるようで、本当にクオリティが高いんですが、大学生はそういうのもないので差が見えてしまいます。

大学生で、日本語の教育実習をしてもらったこともありました。こちらも、1回の授業とはいえ、生徒に教えることができるチャンスなので、私は受け入れにはあまり関わっていないんですが、授業のアドバイスはしていました。こちらのグループの方がしっかりしていましたが、やはり高校生よりはしゃきっとしていなかった印象が。服装なんでしょうか?

もうちょっと、担当する先生にいろいろ言ってもらえばいいんでしょうが…その辺りもよくわかりません。

大変だった④中学生


中学生は、本当にかわいいです。そして、初めての海外がモンゴルだったりして、「すごいねぇ」とよく言っていました。こちらのプログラムは、担当されている方が本当に良いかたで、その影響もありみんな楽しく過ごしていました。
大変だったことといえば、日本語の授業に出てもらった時に、寝ちゃって大変でした。まあ、日本語の授業、つまらないよね…
それに、生徒宅にホームステイしてもらうんですが、日本語でも英語でもコミュニケーションが難しいこともあり、大変なこともありました。また、必ず体調崩す生徒がいて、(私は対応していませんが)大変なこともありました。
でもねぇ、中学生はかわいい。

大変だった⑤飛び入りのお客さん


今度は大人の話です。飛び入りで見学させてほしいというので、どうぞ、と言ったら、多分先生が「自己紹介をどうぞ」とか言ったのかもしれませんが、教室の前で話始めて、授業を取られてしまった形になりました。そして、物配り始めました。ものによっては生徒同士でケンカになるかもしれないし、日本では安いものでも現地では貴重で高価だったりします。授業中に何もなしに配らないでほしいなぁ、しかも授業がそれだけ潰れるので次の授業が大変になります。ということで、私が怒っちゃって大変でした。それだけやりたいなら事前に連絡するか、担当者に聞いてほしい。勝手に来て自分たちが好きな物をあげて、「途上国でいいことした」なんて思わないで欲しい。それなら5年ぐらい住んで働いてほしい(←個人の感想です。私は途上国でいいことしたとは思っていなくて、むしろ学ぶことがたくさんあると気づきましたが)。

大変だった⑥偉いお客さん


たまに、えらいお客さんもきます。えらいお客さんで大変なのが打ち合わせです。1回SPを伴う来客があって、それは下見とかがあったみたいです。それでなくても、誰が対応するか、歓迎会はどんな感じにするか、気を使います。出し物にも気を使いますね。さらに、訪問のお礼にプレゼントを差し上げることもありますが、どんなものがいいか、予算はどのぐらいか、考えるのも大変です。あ、持って帰るときに使える袋の用意も重要ですね。

訪問だけの場合もありますが、その後に夕食に招待することもあります。これもなかなか大変で、お店の選定から、ついていってお酒を飲みすぎないように様子を見ることもありました。モンゴルのお酒はウォッカをショットで飲むので、日本人にはちょっと強すぎることも。すかさずコーラやお水を渡すこともありました。ときには草原までお連れすることもあり、大変でしたが楽しかったです。

大変だった⑦大学の先生


大学の先生は、自分の専門について講義をお願いすることもありました。しかし、講義をセッティングするのが結構大変で、内容によっては通訳が必要になるんですが、文系の先生(大体日本語の先生は文系)が理系の難しい内容を(いくら先生が簡単に説明したからといって)通訳するのは結構難しいそうです。そんなこと言いながら、毎回通訳はうまかったけどな…私のモンゴル語の能力はとても低いのでうまくやっているように見えたのかな?

大学の先生は、もちろんお仕事できているんですが、たまには草原まで一緒に行くこともありました。普段は多忙な先生方、束の間の草原を楽しんでいただけるので嬉しいです。ただし、お酒が好きな方も多いので、飲み過ぎちゃうんですよね。大学の先生は個性的な方が多く、なんか憎めないなぁ、と思います。

大変だった⑧よくわかってない人


たまに、視察などでお客さんが来ることもあるんですが、急に現れた日本語で喋る若い女性の出現にうろたえらえることもしばしば。私も「日本人が聞きたからとにかく玄関へ!」と言われて、誰がきたかわからないまま対応することもあるので、お互いうろたえていたりします。
そして、あいさつもそこそもに、なんでも聞いてくることもあります。何も知らずに訪問され、全部聞かれて困ったり(こちらは高校なんですか?みたいな質問から始まったりすることも。いや、学校でしかないでしょう?って思ったりします)、日本なら初対面の人にすぐに聞かないような内容も聞かれたりします。一回、「あ、日本人がいる〜」と思って話しかけたら、あいさつもそこそこに「この学校で妊娠して退学になった子はいないの?」みたいなことを聞かれて(性教育に関心がある人たちだったんでしょうか?結構ちゃんとしたおじさま・おばさまの団体だったと記憶しています)タジタジになりました。外国人の日本語の先生にはなかなかそういう情報は回ってきません。あしからず、って思ったけど、これは困ったなぁ〜。

お願いだからこれは守って


守ってほしいことはいろいろあるんですが、まずはアポを取ってきてほしい。それに、やっぱりアポを取ったほうがいい話が引き出しやすいです。突撃訪問は困ります。ただでさえ忙しい校内で、「え、また誰かきたの?まだ仕事あるのに…」ってマイナススタートになってしまいます。会社より厳しいかも。
それから、訪問時には「これだけはしたいこと」を決めておいてほしいです。生徒との交流をしたいのか、出し物を見せたいのかなど、時間がなくてもこれだけはしたい!ということが決まっていると、時間の調整が必要な時に優先順位がつけやすく、満足のいく訪問になると思います。また、何かする前に聞いてほしいです。トイレに行く時を始め、生徒にプレゼントをあげたい、写真を撮りたいなど、「海外だから大丈夫」が一番ダメです。結果「あ、いいですよ」って言われることが多いんですが、やっぱり確認はしたほうがいいですね。
また、連れてきている人には責任を持ってほしいです。引率の先生、大変だと思うんですが、双方に怪我のないよう、楽しい訪問になるように気を配ってほしいです。

気持ちよく訪問するポイント


こういう人が来てくれるとうれしいな〜というのは、来る場所に興味を持って、なんでも楽しんでくれる人たちです。
例えば、訪問する国や地域、学校や場所に興味を持って調べていたり、何か準備してきてくれているとうれしくなります。ものをあげるというより、特技を披露できるように準備していたり、ダンスを準備してきたりするとお互いの距離も縮まるような気がします。
個人的には、日本語を勉強している生徒に会うので、日本語教育に興味を持ってくれているといいなと思いました。
そして、外国にいることを意識してほしいです。通訳もいたりして日本にいるような気になってしまいますが、気を引き締めて行動してほしいです。

受け入れ側の小言:受け入れて良かったこと


いや、受け入れって突発案件も多くて、気を使うし結構大変なんですよ。でも、いつも「受け入れてよかったなぁ」と思うのは、生徒のモチベーションが上がっている様子を見た時です。
大学の先生の講義後に生徒が質問をしに来たり、あいさつをしに来たりする様子を見ていると、何か伝わったんだなと嬉しくなります。

私が一番好きな場面は、生徒が日本人の生徒・学生と一緒に写真を撮っているところです。これを見るために受け入れやってるんだ〜って感じです。
なぜなら、名前も覚えられないぐらい短い滞在でも、一緒に撮った写真は残るからです。思い出として、「国なんか関係なく仲良くなれる」と思ってくれたらいいなと思います。それが、受け入れをアレンジした醍醐味だと思います。

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