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佇まいがきれいな、友だちのこと

呼吸音や足音をコントロールできていない役者が1人いるだけで、ドタバタ劇と評される。

松尾スズキ・野田秀樹「演技でいいから友だちでいて」

10年前、夏にはベランダから淀川の花火を臨める十三の彼女の家で、宇多田ヒカルと椎名林檎が歌う「今夜はブギーバック」(たぶんこれかな)を聴きました。当時のネットはいまよりもっと無法地帯で、彼女は、いかがわしいサイトから音楽をダウンロードしまくっていて。「パソコンこわい、ネットこわい」と言って、逆に(?)ウィルス対策なんてしておらず、案の定、トロイの木馬に感染。「『トロイ』と『木馬』の響きのせいで、ぜんぜん危機感持たれへん!メリーゴーランドみたいやもん」と放置して、プロバイダーに怒られていました。(結局どうなったんだっけ)

「ダイエット中やねん」と丸ごとの皮付きりんごをかじりながら構内を歩いていたり、大学時代からまあまあ風変わりではあったのだけど、学籍番号が近かった縁で、入学したてから家に泊まりに行き来する仲でした。たぶん、志向は似ていて、そのゼロ地点から、彼女はあちらへ、わたしはこちらへ。方向は逆だけど、絶対値は同じくらいで、同じ円のなかにいる感じ。例えば、ミニマリスト!と思い立ってとりあえずモノを捨てまくるのが彼女、整理&収納に興じるのがわたし。結果、「ミニマリストほど極端になられへん」に落ち着く、みたいな。

そんな彼女、姿勢がすごくきれいなんです。その佇まいが、破茶滅茶の隠れ蓑になってると言ってもいいくらい、きれい。身のこなしに濁音がないんですよね。ガチャガチャしてない。仕事や恋愛の乱気流にもまれているときも、ドタバタしてるようには見えなかったし。いまは、ヨガのインストラクター&結婚して2児の母に着地しています。よかったね。

彼女を見ていると、「体幹」と「昔取った杵柄」って大事だなと思います。長年バレエでこしらえた体幹が、あの姿勢をつくり、ヨガの道を拓いたので。大学のダンスサークルの体験レッスンで、ロックの振りがどうにもこうにも酔拳にしかならなかったわたしは、どうひっくり返っても、他人にヨガを伝える人にはなれません。

来週はもう3月ですね。こうやって書いていたら、自分の杵柄の棚卸し(社会人十数年、何かしらあるはず、あってほしい)と、ひよこに体幹を鍛えられる環境を用意したい気持ちが、沸々と芽生えてきました。

明日は、寝坊の話か、重たいミルクポットと黒髪の話か、お弁当づくりの話を書くつもりです。

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