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持ちこたえられそうな実感、を持てること

だいたい、1週間に7回くらい、「なんでこの人と結婚してんやろ」と思います。例えば、日曜日のひよこのお昼寝タイム。彼女が寝つくまで寝室で一緒にごろごろした後に訪れるは、束の間の自由時間。絶え間ない甲高い声から解放されて、ほっと一息つこうとリビングに降りると、十中八九、夫は、テレビを点けているか、そうでなければ、PCで動画を観ています。夫は夫で、「子どもがいない時間」にやりたいことがあるんですよね。わかるよ、わかる。ただ、わたしは喧騒から離れたくて。静寂に身を置きたくて。

おとなの愉しみ用に冷凍庫に入れておいたハーゲンダッツのアイスクリーム——夫はクッキー&クリーム、わたしはマカデミアナッツ——を分け分けしながら食べたら、サラダバー、もとい、さらばだ。

わたしは、本とスマホを手に、ガラッと網戸を開けて、ベランダへ。アウトドア用の折り畳み椅子をひろげて、収納ボックスを足置きにして、読書タイムです。西日カモン!な位置にあって、日によっては眩しすぎる灼熱のベランダになりますが、一昨日は、しとしと雨で陽射しがなく、薄手の長袖を羽織ってちょうどいい気温だったので、快適でした。雨と、風と、葉擦れと、走りゆく車と、遠くに聞こえる駅を出発した電車の加速音をBGMに、ひとりで、本の世界に、どぷん。

2人で場を共有できたら、わたしが夫と一緒にテレビを観て、夫がわたしと椅子を並べてベランダで読書できたら、いいのに。なんでできひんねやろ。なんでそんな人と結婚したんやろ。と、ぼやくたびに、数秒後に「選んだからや」と思い至ります。そう、全然思い通りにならない人を、わざわざ、好き好んで。

夫は、「自分を曲げる」「犠牲を払う」「捧げる」といった姿勢が皆無です。納得せねば動かぬ。朕は国家なり。チーン。扱いはなかなか大変だけれど、その姿勢を全方位的に徹底しているゆえに、「脆さ」がないのがいいな、と思っています。この人と一緒におったら、なんしか、持ちこたえられそう。圧、しのげそう。どんな圧力がどんな風にかかってくるのか、わからないけど。

以上、現場からのろけでした。

私と夫は好きな音楽も好きな食べ物も、好きな映画も好きな本も好きな遊び方も全然ちがう。全然ちがってかまわない、と思ってきたし、ちがう方が健全だとも思っているのだけれど、それでもときどき、一緒ならよかったのに、と思う。なにもかも一緒ならよかったのに。江國香織「いくつもの週末」

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