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ほんとうは、30回くらい「ごめんね」を言って、気を済ませたかった

先週、台風16号が日本を渡った日のこと。神戸は、15時ごろが雨風のピークの予報でした。幼稚園や小中学校などは、あらかじめ休園・休校だったそうです。ひよこの保育園は、一応、平常運転。

朝、登園するとエントランスに貼り紙がされていました。「台風で電車が止まったりも考えられるから、できるだけ早めにお迎えにきてくださいね」って内容の。いやいや、早めって、その方が雨風のピークと重なるんちゃうのん……と思いつつ、でも、保育園側としてはそう言うほかないよねぇと酌みつつ。先生には「なるべく早く来れるようにしまーす」と伝え、いつも通り17時まで働く気満々で駅に向かいました。

結局、午前中にtenki.jpが出してた「15時台の1時間の降水量24mm」の予報は当たらず。実際は「4mm」程度だったんじゃないでしょうか。測ってないけど。天気予報や電車の遅延情報をチェックしながら予定通り17時まで仕事をして、気持ち誠意を出して定時ダッシュでいつもより1本早い電車で保育園に向かったら、アレです。年少組で最後のお迎えです。幼児組全体でも4人くらいしか残っていませんでした。普段なら10人前後いるだろう時間帯に。

当然、ひよこは「おそーい!」と、ぶぅぶぅ。泣いたり、拗ねたり、しつこく甘えてくるわけではなく。そのひらがながちょうどお似合いの、口をとがらせた穏やかな抗議。

あ、これ、「ぶぅぶぅ」の穏やかさに甘えても、「ぶぅぶぅ」に至ったわりきれなさを案じすぎてもあかんパターンのやつやな、と思いました。さみしさって、こういう事実の積み重ねかもしれないから。お迎えが遅いからって、「かわいそう」なわけじゃないから。

わりきれなさを受け止めて、でも、ひよこがあまり重大なことと捉えないように、1回だけ「ごめんね」と言いました。そして、「おかーさん、がんばって急いでんけど、遅くなっちゃったねー」と。ほんとうは、あと30回くらい「ごめんね」を言いたい気持ちも込み上げてきたけど、それはもう、わたしの自己満足ですよね。ぐぐぐっとこらえました。もし明日また台風が来たとして、万障繰り合わせて早くお迎えに行けるとは限らないし。改善できない反省なんて、受ける側からしたら、反省してるしてる詐欺ですもんね。

子育てって自制心の修行だな、としみじみ思いました。

お前のやらなければならないことは、何だよ。自己非難を続けることか?

山下貴光「屋上ミサイル」

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