苦・血採る血採る

 不健康なのだ。若いころに色々あって(このあたりの話もいずれ書こうと思う)、今は極端にお太りあそばしたファットウーマンになっている。ファットウーマンであるが故に月イチで内科でメンテナンスを受けているのだが、まあ採血の上手くいかないこと。
 肌の色が白く、肉付きがよく、血管が細い。採血高難易度三銃士をつれてきたよ。帰ってくれ。
 色が白いと血管が見易いのでは?と思いもしたのだが、軽くググったところそうでもないらしい。
 物理的な痛みには強いほうなので注射針を刺されようがさほど苦ではないのだが、5度リトライされた時はさすがに小児向けのお注射がんばったねごほうびシールをもらっても良いのではないかと思ってしまった。
 今ではもう採血時には神妙にお縄を頂戴する体勢で台の上に両腕を差し出し、
「どこからでもイケそうなところでお願いします!手の甲とかでもオッケーです!アルコール大丈夫です!」
と元気に自己申告するようになった。ちょっとラーメン屋のオーダーみたいだな、と思ってしまう。血管バリ細肉マシマシです!

 「痩せれば少しは採りやすくなりますかねえ……」
しょんぼりしながら看護士さんに問うたところ、
「痩せていても採血が難しい患者さんはいらっしゃいますし、血管の細さも人それぞれですから、そう落ち込まないで」
と励ましていただいたのだが、痩せれば解決するというものでもないらしいという事実に、少しばかり落胆してしまったのだった。

 ああ、健康になりたい。採血の諸問題が解決する、アルデンテのパスタのように立派な血管を得たい。
 『定期的な採血を必要としない体になりたい』がぱっと出てこない程に、不健康が体に染みついてしまっている。とてもよくない。
 ああ、健康になりたい。


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