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【選挙ウォッチャー】 草加市長選2018・分析レポート。

埼玉県草加市は日比谷線に直通する東武線が通る東京のベッドタウンです。閑静な住宅街と巨大な団地が広がり、銀座や六本木に1本で行けることから、都内に通勤するサラリーマンたちが所帯を持ち、平穏に暮らしている街です。駅前にはそれなりにデパートが建ち並び、春日部のようにネオンでギラギラした雰囲気はなく、青少年が伸び伸びと過ごせそうな街ではあります。そんな埼玉県草加市で10月28日に行われた草加市長選は、かなり地味ですが、なかなかの闇を感じさせる「自民vs自民」という構図になりました。共産党をはじめ、野党の皆さんは今回、市議選に集中するために市長候補を立てず、自民党だけが無駄に元気という感じになりました。これはこれでスゴいことになっているので、さっそくカオスぶりをお伝えしましょう。

浅井 昌志 58 新 自民・公明推薦
福田 誠一 54 新 無所属(隠れ自民)

話がややこしいのですが、この選挙の前に自民党内で選挙が行われ、自民党は浅井昌志さんを推すことになり、福田誠一さんは自民党の推薦を受けずに独自の戦いを繰り広げることになりました。多くの組織票が浅井昌志さんに流れることになりますので、実は、この時点で勝負が決していると言えるかもしれませんが、それでも市長になりたい想いは変わらないということで、福田誠一さんは「自民党を支持しない」という人たちの票をどれだけ集められるかがポイントとなっており、元自民党なのに共産党みたいな政策を掲げて戦うことになりました。


■ 「自民vs自民」になってしまう背景

ぶっちゃけた話、市長選で自民党に勝つのはなかなか難しいです。公明党は沖縄県知事選で敗れて以来、首長選は「自主投票」となりましたが、今回は公明党も推薦しています。自民・公明推薦の候補に、勢力拡大中の立憲民主党が戦いを挑んだとしても、当選するのはかなり難しいとみられます。本来であれば、市長選もなかなか大事なのですが、市議選も同時に行われる場合、まずは市長選より市議選が優先されます。今回、自民党公認は存在せず、ほとんどが「隠れ自民」として戦っていますが、共産党が5名、公明党が6名、立憲民主党が1名、日本維新の会が1名、ネクスト草加(自由を守る会系)が1名と、それぞれ全員当選を目指している状態なので、「市長選にかまけている場合ではない」という現実があるのです。公明党は市長を出しませんが、共産党にとっても市議5名の全員当選が大事なので、勝てる見込みのない市長選に力を割いている場合ではありません。また、立憲民主党は市議で1名が限界で、それ以上の力を発揮できる状態にありません。なので、元気なのが自民党だけとなり、「自民vs自民」というカオスな構図の選挙になってしまったというわけです。


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