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【選挙ウォッチャー】 川越市長選2021・分析レポート。

1月17日告示、1月24日投開票で川越市長選が行われました。悲惨なことに、まったく盛り上がることがなく、住民の4人に1人も選挙に行きませんでした。両候補ともSNSでスケジュールを発信するようなこともなかったため、僕も街頭演説の取材を断念。覚えていることと言えば、川越市役所の前にある高級なハンバーガー屋のBBQハニーチーズバーガーがメチャクチャ美味しかったことぐらいです。選挙ボードの写真を撮るぐらいしか取材ができていないのですが、川越市長選のことは、三遊亭窓里師匠のブログを見ればわかるということで、後ほど紹介させていただきます。

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川合 善明 70 現 自民・公明・連合埼玉推薦
川目 武彦 42 新 無所属(元市議)

この選挙の争点は、ズバリ、川合善明さんが自分で作った「市長多選自粛条例」を自分で廃案に持ち込み、4選目を目指すことにしたことです。「約束が違うじゃないか!」という話で、いざ自分の多選の話になったらルールを変えてしまうような人が市長になっていいのかということです。しかし、市民の関心はちっとも高くなかったようで、まったく盛り上がらず、選挙をやっていたことさえ知られていないのではないかという勢いです。


■ 共産党の政権交代ポスター問題

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僕は基本的に、共産党に対して「応援しているわけではないけれど、共産党というだけでダメだとは思っていない」というスタンスです。ゴミみたいな議員がたくさんいる中で、共産党にはまっとうな主張のできる議員が少なからず存在するし、そういう人たちには頑張ってもらいたいと思います。しかし、共産党の選挙戦略、共産党のイメージ戦略は致命的にセンスがなく、このままでは衰退の一途を辿るだけではないかと思っています。今回、川越市長選や川越市議補選を取材する中で、共産党の新しいポスターを見かけたのですが、これがまた致命的にセンスがなかったので、「どうしてこんなことになっているんや!」と苦言を呈さなければなりません。共産党の新しいポスターは、「本気で政権交代」というものです。かねてから共産党が考えていることでしょうし、今の菅義偉政権の無策っぷりを見たら、とっとと政権交代した方がマシだと思う人もたくさんいると思います。だけど、2009年に政権交代が起こり、当時の民主党が政権を握り、みんなが気づいたことは「政権交代をしても何も変わらない」ということでした。民主党になったら輝かしい未来が待っていたかと言ったら、自民党と大きくは変わらなかったのです。それでも今の自民党よりはマシかもしれないのですが、政権交代をすれば政治が良くなるというのは幻だということを、多くの人が知ってしまっているのです。だから、「政権交代」ということに希望を見出す人はいないし、もし本当に政権交代が起こるのだとすると、立憲民主党が政権を握ることになると思うのですが、例えば、立憲民主党が政権を握った時に共産党が、自民党で言うところの「公明党」のような存在になれるのかという話があります。もし立憲民主党に政権が移っても、選挙協力こそすれど、共産党は共産党のままではないかと思わずにはいられないのです。そうだとするならば、仮に政権交代があったとしても「共産党には関係ない」という話になってしまい、このポスターの意味って何だろうということになってしまうのではないかと思うのです。むしろ、黒歴史を重ねるだけなのではないかと思うのです。

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隣の公明党と比べてみてください。公明党に「小さな声を聴く力」があるのかと言われたら、まったくないと思いますけれども、慎ましい感じが好感を持てます。「政権交代」なんていう大それたことを言うわけでもなく、ありもしない「小さな声を聴く力」を訴え続けていく。残念ながら、共産党は孤高の存在です。オール野党戦略を取るならオール野党戦略を取るで、「野党とは何か」をしっかり決めてもらわないと、千代田区長選のように「維新と共産の共闘」という頭の悪いことになってしまいます。おそらく共産党が取りたい戦略は、立憲民主党と社民党との連携であって、もしかしたら「れいわ新選組」も入るかもしれませんが、日本維新の会や国民民主党との連携ではないのではないかと思うのです。そうだとすると、厳密に言えば「オール野党」というわけではなくなってきていて、5年以上前から使っているフレーズはもう古くなっています。どうしたらいいのかというのは、共産党が何を目指しているのかによって変わってくるので、なかなかアドバイスのしようが難しいのですが、少なくとも「政権交代」をアピールするポスターは空気を読めていません。ポスターなんて何度でも張り替えられるわけで、どうして「10万円の再給付をして国民に生活支援と安心感を!」みたいなことをアピールしないのでしょうか。少しでもそういう「わかりやすいメッセージ」を貼ることができれば、「共産党も悪くない」と思ってくれる人は出てくるはずです。空気の読めない政党に政治なんて期待できるはずがないという話もあるかもしれませんが、戦略一つで大きく変わる。こんな簡単なことぐらいには気づいてもらわなければ困ります。


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