見出し画像

【選挙ウォッチャー】 NHKから国民を守る党・動向チェック(#249)。

 かつて「NHKをぶっ壊す!」のキャッチフレーズで一世を風靡したNHKから国民を守る党だが、今ではすっかり「NHKから国民を守る党」そのものが壊れ始めている。先日も「NHKから国民を守る党」を「NHKから自国民を守る党」に名称を変え、略称を「自民党」にすることを発表したのだが、総務省からNGを出され、また無駄な裁判を起こそうとしている。どこに勝ち目があると思って裁判をするのか知らないが、国民の99.9%は「自民党」と言われて立花孝志率いる「迷惑YouTuber集団」を想像することはないだろう。本人いわく、NHKの受信料問題はほとんど解決しているため、それを知ってほしくて党名を変えているというが、それならわざわざ本物の「自民党」に迷惑をかけず、オリジナルで面白い名前をつけたらよろしいのではないだろうか。
 さて、新型コロナウイルスの感染者数が過去最多を記録し、今年の年末は家で「お笑い番組」を見て過ごす人も多いと思うが、NHKから国民を守る党も国家レベルのコントに仕上がっているので、今日は皆さんに「立花孝志ホラッチョ劇場」をお届けしたい。


■ 安倍晋三前総理のデマを流す国政政党党首

画像1

 曲がりなりにも国政政党の党首である立花孝志だが、「【スクープ】なんと安倍総理の8月の【検査入院】は【検察の取り調べ】だった」という動画を12月10日にアップしている。
 選挙公報にも「NHK時代は記者をしていた」と書いてしまい、これから公選法違反にも問われそうな自称・ジャーナリストの立花孝志だが、動画によれば、安倍晋三前総理の8月の検査入院は、実は、検察の取り調べだったという。もしそれが本当なら、とっくの昔に朝日新聞や週刊文春がスッパ抜ていそうであるが、今日の今日までそんな情報は出ていないので、だいたい察するものがある。
 もちろん、安倍晋三前総理には数々の疑惑があるので、もし本当に検察の取り調べを受けていたのであれば大喜びする人も少なくないだろうが、なにしろ総理大臣を辞めているぐらいなので、本当におなかが痛かったのだろうと思われる。
 検査の割にずいぶんと時間がかかっているじゃないかと思われるかもしれないが、新型コロナウイルスの院内感染にも細心の注意を払わなければならない時代に、一国の総理大臣が検査をするというのだ。普通に検査しようと思ってもそれなりに時間がかかるのに、まさか総理大臣が一般の患者と並んで長椅子に座り、「アベシンゾウさーん、2番にお入りくださーい!」なんてアナウンスされているはずがない。検査と見せかけて検察の取り調べだったらワクワクもするかもしれないが、「検査入院にこんなに時間がかかっているのはおかしい!」なんて言ってしまう国政政党の党首は、それこそ検査入院が必要だ。頭を診てもらった方がいい。
 とにかくソースは明かせないが、これは自分がNHK時代に記者をしていた一流ジャーナリストだから掴んだビッグスクープだという立花孝志。それと、そんな立花孝志の動画を見て「さすがは立花さんや!」と言ってしまうN国信者たち。テレビ朝日が複数の自民党関係者が明かした話として、安倍晋三総理が検察の取り調べを受けていたと報じた時には、立花孝志はドヤでこんなツイートをしている。

画像3

 テレビ朝日は8月の検査入院の話を伝えているわけではないのだが、立花孝志は「ほら見たことか!」と、テレビ朝日よりも先にスクープを伝えたことを嬉々としてツイートしている。この時点でだいぶマヌケなのだが、これだけで終わらないのが立花孝志という男である。

画像2

 追加で「私のスクープが真実であることが証明されました」とまで書いているのだが、なんと、このニュースは1日も経たないうちに誤報だったことが判明し、テレビ朝日が謝罪をしている。今日まで東京地検が安倍晋三総理に何らかの取り調べをしたことはなかったというわけである。
 かねてから安倍晋三前総理の疑惑を問題視していた人たちにはガッカリする話かもしれないが、問題はこの男である。「私のスクープが真実であることが証明されました」と書いているが、そのスクープは真実どころか、とんでもないガセネタだったというわけである。
 テレビ朝日は間違えてしまったことを謝罪しているが、立花孝志は謝罪もしなければ、ツイートを消しているわけでもない。これが国政政党の代表者の姿である。


■ 三流格闘イベントで副党首がKOされて脱臼

画像4

 NHKの訪問スタッフを追いかけ回し、業務を妨害したとしてNHKから1100万円の損害賠償を求められているNHKから国民を守る党の大橋昌信副党首が、「hatashiai」という三流格闘イベントのリングに上がり、NHKの元訪問スタッフの男性と対決した。
 昨年8月の柏市議選では、市民から落選運動を展開され、大橋昌信に投票しないように呼び掛ける一般男性にオラオラとカラみ、その様子を撮影していた私のところにもカラんできて、「人の目を見られないのか」と言いながらデンプシーロールをしてきた大橋昌信だが、実は、めちゃくちゃケンカが弱い。
 昨年10月には、政治活動中に我孫子駅前で70代の男性とトラブルになり、頭突きをされて投げ飛ばされている。すぐさま警察を呼んだため、不幸にも70代の男性は暴行容疑で逮捕されてしまったのだが、爺さんに投げ飛ばされる方も投げ飛ばされる方である。
 爺さんに投げ飛ばされるぐらいにケンカが弱いのに、これでオラオラできる神経がまったく分からないが、そんな男が血気盛んな若者とケンカをしたらどうなるのか。嫌な予感しかしないが、これも男らしいオラオラキャラを演じてきた男の運命なのだろう。素人なので、めちゃくちゃ大きなグローブをつけての殴り合いとなったのだが、リングに上がった大橋昌信は、1ラウンド目でぶん殴られてダウン。東スポによれば脱臼してしまったそうで、1ラウンド終了とともにTKO負けとなった。
 路上で殴り合うわけにはいかないので、スポーツの名を借り、リングの上でNHKの元訪問スタッフと殴り合うことになったのだが、「NHKをぶっ壊す」と言いながら、自分の肩がぶっ壊れるという体を張ったギャグだ。コロナ禍にリングに上がって脱臼する国政政党副党首の柏市議。この人たちは一体、何をしているのだろうか。


■ リング上でのパンチラが東スポに載る上尾市議

画像5

 三流格闘イベント「hatashiai」に出場したのは、柏市議で副党首の大橋昌信だけではない。「えびぴらふ」という名前で活動している自称アイドルの上尾市議・佐藤恵理子もリングに上がり、グラドルと対戦。東スポには「乳ハミ出しマッチでN国・佐藤恵理子氏が禁断攻撃であられもない姿に」というタイトルでニュースになっていた。以下、東スポの記事である。

「ポロリ対決というけど、えびぴらふの洋服を全部脱がしちゃう!」と宣言していた石川は、1Rこそ胸へのパンチ攻撃に徹していたが、最終2Rに入るや、予告通りに佐藤氏のスカートをめくる〝ミラクルパンチ〟を連発。そのたびに佐藤氏のスカートの中があらわになった。

 どこぞの売れないアイドルが名を売るためにパンツを見せることもあるだろう。しかし、彼女は『上尾市議』である。どこもかしこもコロナ禍の経営は厳しく、上尾市内の業者も例外ではないだろう。家を追い出されてしまうのではないかと心配になっているような市民もいるはずだ。そんな人たちに1万円でも2万円でも補助金が出れば、それだけで何とか年が越せるかもしれない。しかし、NHKから国民を守る党の上尾市議が市民にお届けしているもの、それは「パンチラ」である。これほどノーサンキュー感に満ちたプレゼントは滅多にあるまい。


■ スポーツマンシップを語る中二病のオジサン

 今回の三流格闘イベント「hatashiai」は、立花孝志が実質的に広告塔となっているが、今年7月の東京都知事選に立候補したスーパークレイジー君こと西本誠氏と炎上系YouTuberの戦いで場外乱闘騒動があり、警察や救急車が駆け付けるような騒ぎとなった。
 事の発端は、炎上系YouTuberが試合開始直後にボイコットし、YouTuberの応援団がスーパークレイジー君に集団で襲いかかるという不意打ちをしたことで、スーパークレイジー君が激怒。スーパークレイジー君を真っ先に襲った男は、一撃のカウンター蹴りで瞬殺されるや、本気のサッカーボールキックが炸裂。ものの数十秒で集団は一掃され、対戦する予定だったYouTuberはリング下に隠れた。
 すると、ここで出てきたのが、この試合とはまったく関係のない立花孝志である。立花孝志はYouTuberを名指しして「出てこい!」と叫ぶと、「お前のことは知らんけど、スポーツなめんの、ええ加減にせえよ!」と挑発。知らないんだったら、なんで出てきたのか。まったく無関係の中二病オジサンによる壮絶な「オマエ、誰だよ!」である。
 結局、この三流格闘イベントはグダグダになり、VIP席を2万円で購入していた観客からは「価値がない」とクレームまで出る始末。確かに、こんなものにお金をかけるぐらいなら、受信料を払ってNHKでも見ていた方がマシだろう。

画像6

 さて、この「hatashiai」をめぐっては、そもそも大橋昌信はNHKの元集金人ではなく、サーファーTAKASHIというYouTuberと対戦する計画を立てていた。しかし、大橋昌信は昨年の海老名市長選で、このYouTuberの男性にケガを負わせており、横浜地検に書類送致されていた。最終的には不起訴処分になったものの、オファーを出した時期はまだ処分が決定しておらず、スポーツの名を借りて因縁の相手をぶっ飛ばす気マンマンだった。
 しかし、「hatashiai」の運営事業者からかかってきた電話に、YouTuberの男性ではなく、友人の江東区議の二瓶文隆氏が代理で応じ、出場を拒否したため、トラブルが拡大した。「hatashiai」の運営事業者は、二瓶文隆氏との電話のやり取りを無許可でネットに公開。すると、本来は「書類送致されている人間だ」と言うべきところを「起訴されている人間だ」と言い間違えてしまったため、これがYouTubeにアップされているのは名誉毀損だということで、大橋昌信が二瓶文隆氏を訴えたのだ。
 やや複雑な話なので、改めて論点を整理しておく。

① 電話をかけたのは「hatashiai」の主催者の男である。
② 二瓶文隆氏は、YouTuberの男性に代わって出場を拒否。
③ 二瓶文隆氏は、電話で「起訴」と「書類送致」を言い間違える。
④ 「hatashiai」の主催者の男が二瓶氏に許可もなく電話の音声を配信。
⑤ これが名誉毀損だと言って、大橋昌信が二瓶文隆氏を訴える。

 あくまで「hatashiai」の主催者と二瓶文隆氏との個人的な電話でのやり取りであるが、二瓶文隆氏の許可も撮らずにアップしたのは「hatashiai」の主催者である。のちにYouTuberの男性も同様の音声をアップしているが、それは二瓶文隆氏の知るところではない。
 大橋昌信は、この状態で二瓶文隆氏を訴えることにしたのだという。
 これに合わせて、大橋昌信はYouTuberの男性の勤務先を教えてくれた人には3万円の懸賞金を差し上げるという動画をアップしていたが、これを10万円に引き上げるという報告をしていた。勤務先を教えてもらってどうするつもりなのか知らないが、このYouTuberの男性には今、引っ越し業者からたくさんの電話がかかっており、私と似たような被害に遭っている。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

 NHKから国民を守る党は、なにも立花孝志だけがぶっ壊れているわけではない。副党首の丸山穂高や大橋昌信はもちろん、末端の地方議員に至るまで、もれなく全員ぶっ壊れていると言っても過言ではない。
 しかし、これほど何の役にも立たない集団であるにもかかわらず、NHKが日本郵便と組んで受信料の徴収を強化しようなどという動きがあると、無条件にNHKから国民を守る党の支持率は上がってしまうのである。NHKに対する不満は十分に理解ができるし、こうした国民の声を政治に反映してくれる議員がいたらいいのだが、少なくとも、それは「NHKから国民を守る党」ではない。



いつもサポートをいただき、ありがとうございます。サポートいただいたお金は、衆院選の取材の赤字分の補填に使わせていただきます。