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【選挙ウォッチャー】 潮来市議選2020・分析レポート。

市長選では、現職市長の敷地の自動販売機にトラックが突っ込むというヤクザばりの嫌がらせが起こるハードボイルドな修羅の街・潮来市。ここで1月19日告示、1月26日投開票の潮来市議選が行われることになりました。今回、僕がわざわざ潮来市まで行くことになったのは、わずか2年ほどの選挙ウォッチャー歴ではありますが、間違いなく史上最高齢である94歳のおばあちゃんが潮来市議選に立候補したからであります。実は4年前の市議選でも御年90歳で立候補しているのですが、あれから4年経っても冷めやらぬ市議への情熱。大正14年生まれ、太平洋戦争さえ経験し、任期が終わる頃には98歳になるおばあちゃんに注目です。

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定数16に対し、20人が立候補している選挙になりますが、ご覧いただいたら分かるように、94歳の橋本きくいさんを除き、全員が「男性」です。田舎は特にそうですが、女性がほとんど立候補しません。そもそも女性が立候補しても当選しない環境にあるというのも一つの原因のようです。これは地元の方が話していたのですが、ここでは女性をウリにして立候補するような人たちは落選してしまうといい、「女性が女性をウリにしている候補が嫌いなので投票しない」と話していました。人口の半数は女性なので、女性がこぞって投票してくれれば理論上は当選するはずなのですが、女性が女性に投票しない現実。もしかすると政治に参加する男女の比率を歪めてしまっているのは、女性たちなのかもしれません。


■ 江戸時代に大きく栄えた潮来市

今となっては、茨城県の端っこにある何の取り柄もない街というイメージになってしまった潮来市ですが、実は、江戸時代にはとんでもなく栄えた街だったそうです。今のように電車やバスがあるわけでもないのに、こんな茨城県の端っこにある潮来市が栄えたと言われてもピンと来ませんが、今で言うところの「箱根」のような大観光地であり、江戸で暮らす人たちがこぞって潮来市にやって来たのだそうです。というのも、当時は今より「船」が移動の中心だったため、足の悪い人でも潮来市までは船で移動できたのだそうです。江戸時代に観光に行くとなったら潮来市に行くのが定番だったそうで、潮来市には大きな歓楽街があり、遊郭も並んでいたそうです。

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潮来の遊郭は、当時の水戸藩が「遊郭が水戸にあるのは不健全だ」ということで、潮来に持ってくることになったそうで、江戸時代は「江戸の吉原、京の島原」と言われた日本最高峰の一大遊郭街に次ぐ規模の遊郭がここにはあったそうです。川を挟んだ向こう側で暮らす千葉の小作人たちも、こぞって潮来にやって来ては、潮来を満喫して帰るという感じだったそうです。ところが、昭和5年頃には3軒ぐらいしか営業していないほど衰退が著しく、昭和33年には絶滅し、今ではほとんど面影を感じることはできなくなっているそうです。時代の流れとともに、どんどん個性を失っていった潮来市は、毎年6月のアヤメ祭りの時にはたくさんの観光客が押し寄せるものの、残りの11ヶ月はオフシーズン。街の高齢化も進み、港湾を整備してお金が入る仕組みを作ろうとしたものの、その利権をすべて神栖市に持って行かれてしまったため、神栖市は防災アリーナを作って散財できるぐらいにお金があるのに、潮来市は全然お金がないという、なんとも微妙な街になってしまったのでした。潮来駅前にあったスーパーもご覧のあり様。

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閉店して約1年、取り壊されて温泉施設ができるという噂もあったようですが、温泉施設を作ったところで、果たしてどれくらいの客が見込めるのかがわからないため、巨大な廃墟として放置されている現実。全国的に少子高齢化が問題になっていますが、潮来市も問題で、原浩道市長は「給食費の無償化」を公約に掲げて当選。しかし、貧乏な潮来市に子供たちの給食を無償化するほどの財源はなく、少子高齢化を食い止めるための公約だったはずなのに、「子供が3人いて、全員が小中学校に通っていること」が無償化の条件になってしまったため、ほぼ該当者がいないという悲惨な結果に。地元の人も「今の時代、そもそも子供が3人いる家庭がないっぺよ!」と嘆いていました。ただ、この潮来市というのは江戸時代の商人の末裔なので、実は密かにアイディアを持っている人はいるはずで、やるとなったらやるだけのポテンシャルを持っている街なのだと話していました。東京から離れ、交通の便もあまり良いとは言えない潮来市ですが、ここから街を再生するアイディアは生まれるのか。議員の仕事に期待したいところ・・・なのですが、候補者はかなり香ばしいことになっています。


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