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【選挙ウォッチャー】 安倍晋三総理の施政方針演説・全文検証(#5)。

そろそろ安倍晋三総理の施政方針演説を検証するのも飽きてきました。安倍晋三総理が語るデータの部分はだいたい嘘、または大袈裟であることはご理解いただけたかと思うのですが、ここから先は適当なことしか言っていないので、一気に最後まで検証したいと思います。


■ 施政方針演説:観光立国

日本は既に観光立国になりつつありますが、外国人観光客のほとんどが中国や韓国、台湾からやってくる人たちです。日本では「ネトウヨ病」が蔓延した結果、中国人や韓国人に対して酷い罵詈雑言を投げかけるようになりました。足元で観光に悪影響を及ぼしかねない案件が横たわっていることは間違いなく、かなり不安定であると言ってもいいと思います。そんな状況の中で安倍晋三総理は演説で何を言っているのでしょうか。

田植え、稲刈り。石川県能登町にある50軒ほどの農家民宿には、直近で1万3000人を超える観光客が訪れました。アジアの国々に加え、米国、フランス、イタリア、イスラエルなど、20か国以上から外国人観光客も集まります。昨年、日本を訪れる外国人観光客は、6年連続で過去最高を更新し、3000万人の大台に乗りました。北海道、東北、北陸、九州で3倍以上、四国で4倍以上、沖縄では5倍以上に増えています。消費額にして、4兆5000億円の巨大市場。観光立国によって、全国津々浦々、地方創生の核となる、たくましい一大産業が生まれました。来年の4000万人目標に向かって、海外と地方をつなぐ空の玄関口、羽田、成田空港の発着枠を8万回増やします。世界一安全・安心な国を実現するため、テロ対策などの一層の強化に取り組みます。国際観光旅客税を活用し、主要な鉄道や観光地で表示の多言語化を一気に加速します。来年3月の供用開始に向け、那覇空港第二滑走路の建設を進めます。発着枠を大幅に拡大することで、アジアと日本とをつなぐハブ機能を強化してまいります。北海道では、昨年、フィリピンからの新たな直行便など、新千歳空港の国際線が25便増加しました。雄大な自然を活かした体験型ツーリズムの拡大を後押しします。広くアイヌ文化を発信する拠点を白老町に整備し、アイヌの皆さんが先住民族として誇りを持って生活できるよう取り組みます。

この部分は目標を語っているに過ぎないので、未来の話は検証できません。公共施設において多言語化が進んでいるイメージはありませんが、税金だけは一人前に取られている印象です。僕たちの英語をはじめとする多言語の教育の無償化などを進めてくれた方が、実はよっぽど効果があると思いますが、そんなことには税金を使いません。


■ 施政方針演説:地方創生

かねてから自民党は「地方創生」に力を入れてきたはずですが、結局、道路工事やハコモノ建設にお金が回っていくだけで、地方の再生はちっとも実現していません。東京、大阪、博多などの都市部に一極集中する形となり、地方創生は実現できていないのです。しかし、安倍政権は「できていない」と認めることはなく、結果が出ていなくても呪文のように「地方創生」と言っています。地方創生担当大臣なる役職ができてから、一体、どれだけの月日が流れているのでしょうか。

観光資源などそれぞれの特色を活かし、地方が、自らのアイデアで、自らの未来を切り拓く。これが安倍内閣の地方創生です。地方の皆さんの熱意を、引き続き1000億円の地方創生交付金で支援します。地方の財政力を強化し、税源の偏在を是正するため、特別法人事業税を創設します。10年前、東京から地方への移住相談は、その半分近くが60歳代以上でした。しかし、足元では、相談自体10倍以上に増加するとともに、その9割が50歳代以下の現役世代で占められています。特に、30歳未満の若者の相談件数は、50倍以上になりました。若者たちの意識が変わってきた今こそ、大きなチャンスです。地方に魅力を感じ、地方に飛び込む若者たちの背中を力強く後押ししてまいります。地域おこし協力隊を、順次8000人規模へと拡大します。東京から地方へ移住し、起業・就職する際には、最大300万円を支給し、地方への人の流れを加速します。若者たちの力で、地方の輝ける未来を切り拓いてまいります。

ここでも出ました、「特別法人事業税」なる新しい税金の存在。物事を解決するために新しい税金を次々に生み出していますが、それで結果が出た試しがありません。結果を出せないのなら新しい税金を作るのをやめたらよろしいのではないでしょうか。


■ 施政方針演説:国土強靱化

これは自民党の十八番です。土建屋にお金を流すことこそ自民党の使命みたいなところがありますから、これには具体的かつお金のかかるプロジェクトが盛りだくさんです。昨年の西日本豪雨災害はダムの放流が原因だったわけで、こうした人工的な対策が裏目となった案件です。見直すべきはハードではなく、ソフトのはずなのですが、強靱化を口実にさまざまな工事を進められるというのですから、またお金の使い方を間違えているのです。

集中豪雨、地震、激しい暴風、異常な猛暑。昨年、異次元の災害が相次ぎました。もはや、これまでの経験や備えだけでは通用しない。命に関わる事態を「想定外」と片付けるわけにはいきません。7兆円を投じ、異次元の対策を講じます。全国で2000を超える河川、1000か所のため池の改修、整備、1000キロメートルに及ぶブロック塀の安全対策を行い、命を守る防災・減災に取り組みます。4000キロメートルを超える水道管の耐震化、8000か所のガソリンスタンドへの自家発電の設置を進め、災害時にも維持できる、強靱なライフラインを整備します。風水害専門の広域応援部隊を全ての都道府県に立ち上げ、人命救助体制を強化します。ハードからソフトまであらゆる手を尽くし、3年間集中で、災害に強い国創り、国土強靱化を進めてまいります。

ハードの部分で力を入れるべきは、河川や池の整備ではなく、風水害が起こった時に活用できる重機を揃えること、あるいは、仮設住宅並みの早さで建設できる「住み続けられる住宅」の開発ではないでしょうか。つい最近までトイレットペーパーさえも自腹だった自衛隊員のさらなる待遇改善が必要です。ネトウヨは日頃から自衛隊への感謝の気持ちを語るくせに、肝心の自衛隊員の待遇が劣悪であるという問題に触れてくれません。


■ 施政方針演説:東日本大震災からの復興

東日本大震災から約8年が経ちますが、安倍晋三総理の市政方針演説を聞いて愕然とした人もいるのではないでしょうか。なにしろ、東日本大震災の復興についてはほとんど語られることなく、東京五輪やラグビーのワールドカップでウキウキする話で終わりだからです。「全力を尽くす」みたいな精神論で事を済ませ、本当はろくすっぽ改善されていない放射能問題を放置。役所の機能だけ残して解決したことになっています。

9月20日からいよいよラグビーワールドカップが始まります。5日後には、強豪フィジーが岩手県釜石のスタジアムに登場します。津波で大きな被害を受けた場所に、地元の皆さんの復興への熱意と共に建設されました。世界の一流プレーヤーたちの熱戦に目を輝かせる子どもたちは、必ずや、次の時代の東北を担う大きな力となるに違いありません。東北の被災地では、この春までに、4万7000戸を超える住まいの復興が概ね完了し、津波で浸水した農地の9割以上が復旧する見込みです。原発事故で大きな被害を受けた大熊町では、この春、町役場が8年ぶりに、町に戻ります。家々の見回り、草刈り、ため池の管理。将来の避難指示解除を願う地元の皆さんの地道な活動が実を結びました。政府も、インフラ整備など住民の皆さんの帰還に向けた環境づくりを進めます。福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生なし。復興が成し遂げられるその日まで、国が前面に立って、全力を尽くして取り組んでまいります。来年、日本にやってくる復興五輪。その聖火リレーは福島からスタートします。最初の競技も福島で行われます。東日本大震災から見事に復興した東北の姿を、皆さん、共に、世界に発信しようではありませんか。

本当は東北の復興なんて進んでいないのに、「世界に復興した姿を見せた=解決した問題」ということにされてしまうのではないかと見ています。これで東北の方々は納得するのでしょうか。このままでは安倍政権の後に尻ぬぐいをさせられる新政権は、かなりの重荷を背負うことになります。


■ 施政方針演説:戦後日本外交の総決算

日本という国は、多国籍企業に売られてしまったと言っても過言ではありません。日本はTPP、日EU経済連携協定、日米FTA、さらには中国を中心としたRCEPに加盟し、ガチガチの関税撤廃殴り合いルールの中で戦うことになってしまったからです。そもそもTPPは「中国包囲網」だと言っていたはずです。中国を中心とした経済圏を作らないためには環太平洋で一致団結することが大切だということでTPPが作られたはずなのです。ところがどっこい、日本はTPPのみならず、中国を中心としたRCEPにまで加入しようとしているのですから、実際は中国が経済の中心になるかどうかは関係ないという話になるのです。この時点で、言っていることとやっていることが全然違います。安倍晋三総理の言葉を見てみましょう。

昨年末、TPPが発効しました。来月には、欧州との経済連携協定も発効します。いずれも単に関税の引下げにとどまらない。知的財産、国有企業など幅広い分野で、透明性の高い、公正なルールを整備しています。次なる時代の、自由で、公正な経済圏のモデルです。自由貿易が、今、大きな岐路に立っています。WTOが誕生して四半世紀、世界経済は、ますます国境がなくなり、相互依存を高めています。新興国は目覚ましい経済発展を遂げ、経済のデジタル化が一気に進展しました。そして、こうした急速な変化に対する不安や不満が、時に保護主義への誘惑を生み出し、国と国の間に鋭い対立をも生み出しています。今こそ、私たちは、自由貿易の旗を高く掲げなければならない。こうした時代だからこそ、自由で、公正な経済圏を世界へと広げていくことが、我が国の使命であります。昨年9月の共同声明に則って、米国との交渉を進めます。広大な経済圏を生み出すRCEPが、野心的な協定となるよう、大詰めの交渉をリードしてまいります。国際貿易システムの信頼を取り戻すためには、WTOの改革も必要です。米国や欧州と共に、補助金やデータ流通、電子商取引といった分野で、新しい時代の公正なルールづくりを我が国がリードする。その決意であります。

これはやがて日本経済がTPPやRCEPの犠牲になった時、安倍晋三総理がどれくらい売国野郎だったのかを検証する際に役立ちます。今はまだ多くの日本人がTPPやRCEPに夢見ていますが、これで僕たちの生活が豊かになることは100%ありません。人々の生活が劇的に苦しくなってようやく「なんてことをしてしまったんだ!」と気付くことになると思います。TPPもRCEPも国家を企業に売り渡す条約で、国家が企業に支配される条約です。国が企業のために利用され、企業のために人々が苦しい生活を過ごすことになる。ますます貧富の差が拡大する話をされているのです。


■ 施政方針演説:安全保障政策の再構築

安倍晋三総理は、日本会議の思想のド真ん中にいる人物であり、一言で言えば「ネトウヨ」です。なので、日本をどのような国にしたいのかと言ったら「大日本帝国」なのです。大日本帝国はアメリカを敵に回してしまったから負けたけれど、アメリカと友達なら大丈夫だというのが彼らの考え方です。なので、日米同盟を大切にするのですが、逆に、日米地位協定の見直し論は進みません。昔のように戦争できる国を取り戻したい。これこそ「日本を取り戻す」の正体です。なので、この項目もよく読んでおきましょう。

平成の、その先の時代に向かって、日本外交の新たな地平を切り拓く。今こそ、戦後日本外交の総決算を行ってまいります。我が国の外交・安全保障の基軸は、日米同盟です。平和安全法制の成立によって、互いに助け合える同盟は、その絆を強くした。日米同盟は今、かつてなく強固なものとなっています。そうした深い信頼関係の下に、抑止力を維持しながら、沖縄の基地負担の軽減に取り組んでまいります。これまでの20年以上に及ぶ沖縄県や市町村との対話の積み重ねの上に、辺野古移設を進め、世界で最も危険と言われる普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現してまいります。自らの手で自らを守る気概なき国を、誰も守ってくれるはずがない。安全保障政策の根幹は、我が国自身の努力に他なりません。冷戦の終結と共に始まった平成の三十年間で、我が国を取り巻く安全保障環境は激変しました。そして今、この瞬間も、これまでとは桁違いのスピードで、厳しさと不確実性を増している現実があります。テクノロジーの進化は、安全保障の在り方を根本的に変えようとしています。サイバー空間、宇宙空間における活動に、各国がしのぎを削る時代となりました。もはや、これまでの延長線上の安全保障政策では対応できない。陸、海、空といった従来の枠組みだけでは、新たな脅威に立ち向かうことは不可能であります。国民の命と平和な暮らしを、我が国自身の主体的・自主的な努力によって、守り抜いていく。新しい防衛大綱の下、そのための体制を抜本的に強化し、自らが果たし得る役割を拡大します。サイバーや宇宙といった領域で我が国が優位性を保つことができるよう、新たな防衛力の構築に向け、従来とは抜本的に異なる速度で変革を推し進めてまいります。

いろいろとツッコみ所があります。まず、安倍晋三総理は「辺野古基地を進める」と明言しました。沖縄県民がどれだけ反対していても、市政方針演説で「辺野古基地を進める」と入れ込むほどに確固たる決意をしているということです。安倍晋三総理は「日本を守るためだ」とおっしゃいますが、辺野古基地がちゃんと建設されるまでには10年以上かかる見通しです。10年も経てば、世の中の形はずいぶん変わっているはずで、誰もが気軽に北朝鮮を旅行できるようになっているかもしれません。それでも辺野古基地を作るというのです。もはや辺野古基地に安全保障なんて関係ありません。ただ2兆5000億円という基地建設利権でウマウマしたいだけなのです。沖縄は金儲けの犠牲になっているに過ぎません。


■ 施政方針演説:地球儀俯瞰外交の総仕上げ

安倍晋三総理がこの施政方針演説を一番聞いてほしいのは、支持基盤である「ネトウヨ」の皆さんです。なので、本当はもっと経済の具体的なことを語らなければならないのに、経済のことは「ごまかしのデータ」をもとに実績を語るだけで、最も手厚く語っているのが「防衛」の部分です。とにかく防衛を語っておけば、日本を守るために頑張っている感じが出るので、メインディッシュは「防衛」の話です。

我が国の平和と繁栄を確固たるものとしていく。そのためには、安全保障の基盤を強化すると同時に、平和外交を一層力強く展開することが必要です。この6年間、積極的平和主義の旗の下、国際社会と手を携えて、世界の平和と繁栄にこれまで以上の貢献を行ってきた。地球儀を俯瞰(ふかん)する視点で、積極的な外交を展開してまいりました。平成の、その先の時代に向かって、いよいよ総仕上げの時です。昨年秋の訪中によって、日中関係は完全に正常な軌道へと戻りました。「国際スタンダードの下で競争から協調へ」、「互いに脅威とはならない」、そして「自由で公正な貿易体制を共に発展させていく」。習近平主席と確認した、今後の両国の道しるべとなる3つの原則の上に、首脳間の往来を重ね、政治、経済、文化、スポーツ、青少年交流をはじめ、あらゆる分野、国民レベルでの交流を深めながら、日中関係を新たな段階へと押し上げてまいります。ロシアとは、国民同士、互いの信頼と友情を深め、領土問題を解決して、平和条約を締結する。戦後70年以上残されてきた、この課題について、次の世代に先送りすることなく、必ずや終止符を打つ、との強い意志を、プーチン大統領と共有しました。首脳間の深い信頼関係の上に、1956年宣言を基礎として、交渉を加速してまいります。北朝鮮の核、ミサイル、そして最も重要な拉致問題の解決に向けて、相互不信の殻を破り、次は私自身が金正恩委員長と直接向き合い、あらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動いたします。北朝鮮との不幸な過去を清算し、国交正常化を目指します。そのために、米国や韓国をはじめ国際社会と緊密に連携してまいります。北東アジアを真に安定した平和と繁栄の地にするため、これまでの発想にとらわれない、新しい時代の近隣外交を力強く展開いたします。そして、インド洋から太平洋へと至る広大な海と空を、これからも、国の大小にかかわらず、全ての国に恩恵をもたらす平和と繁栄の基盤とする。このビジョンを共有する全ての国々と力を合わせ、日本は、「自由で開かれたインド太平洋」を築き上げてまいります。

安倍政権にとっては北朝鮮が脅威でなければ防衛に力を入れる意味がなくなってしまうので、北朝鮮が核を放棄するようになった今でも「北朝鮮が危ない」と言い続けています。ちっとも脅威のないところに脅威を生み出し、武器を充実させる日本。世界から見れば、そのうち日本が北朝鮮のような危険な国だと見なされる日が来るかもしれません。


■ 施政方針演説:世界の中の日本外交

後半のほとんどは「外交」の話です。安倍晋三総理はまるで日本が世界の中心にいるかのごとく、強いリーダーシップを発揮していると言いますが、静止画で見ると中心にいるように思えますが、動画で見ると絶望的にコミュニケーションが取れておらず、これでリーダーシップを発揮するというのには無理があります。大本営発表に騙されず、時折流れてくる「動画」をチェックする必要があります。

中東地域の国々とは、長年、良好な関係を築いてきました。その歴史の上に、中東の平和と安定のため、日本独自の視点で積極的な外交を展開してまいります。TICADがスタートして30年近くが経ち、躍動するアフリカはもはや援助の対象ではありません。共に成長するパートナーです。八月にTICADを開催し、アフリカが描く夢を力強く支援していきます。世界の平和と繁栄のために、日本外交が果たすべき役割は大きなものがある。地球規模課題の解決についても、日本のリーダーシップに強い期待が寄せられています。我が国は4年連続で温室効果ガスの排出量を削減しました。他方で、長期目標である2050年80%削減のためには非連続的な大幅削減が必要です。環境投資に積極的な企業の情報開示を進め、更なる民間投資を呼び込むという、環境と成長の好循環を回すことで、水素社会の実現など革新的なイノベーションを、我が国がリードしてまいります。プラスチックによる海洋汚染が、生態系への大きな脅威となっています。美しい海を次の世代に引き渡していくため、新たな汚染を生み出さない世界の実現を目指し、ごみの適切な回収・処分、海で分解される新素材の開発など、世界の国々と共に、海洋プラスチックごみ対策に取り組んでまいります。本年6月、主要国のリーダーたちが一堂に会するG20サミットを、我が国が議長国となり、大阪で開催します。世界経済の持続的成長、自由で公正な貿易システムの発展、持続可能な開発目標、地球規模課題への新たな挑戦など、世界が直面する様々な課題について、率直な議論を行い、これから世界が向かうべき未来像をしっかりと見定めていく。そうしたサミットにしたいと考えています。これまでの地球儀俯瞰外交の積み重ねの上に、各国首脳と築き上げた信頼関係の下、世界の中で日本が果たすべき責任を、しっかりと果たしていく決意です。平成の、その先の時代に向かって、新しい日本外交の地平を拓き、世界から信頼される日本を、皆さん、勇気と誇りを持って、共に、創り上げていこうではありませんか。

6月に大阪でG20サミットが行われるようなのですが、7月には参院選があるので、安倍政権や大阪維新の会にとっては絶好の宣伝チャンスとなります。おそらく日本のメディアは、このG20サミットの成果なるものを大々的に取り上げることになると思うのですが、それが本当なのかどうかをしっかり検証することも大切だと言えそうです。


■ 施政方針演説:おわりに

ようやく施政方針演説の全文検証がこれで終わります。安倍晋三総理の長い施政方針演説の中で、実は最も言いたかったことが「おわりに」という項目に記されています。そして、安倍晋三総理は壮大な勘違いをしています。改めて、安倍晋三総理の認識を問う必要があると思います。見てみましょう。

2025年、日本で国際博覧会が開催されます。1970年の大阪万博。リニアモーターカー、電気自動車、携帯電話。夢のような未来社会に、子どもたちは胸を躍らせました。「驚異の世界への扉を、いつか開いてくれる鍵。それは、科学に違いない。」会場で心震わせた8歳の少年は、その後、科学の道に進み、努力を重ね、世界で初めてiPS細胞の作製に成功しました。ノーベル生理学・医学賞を受賞し、今、難病で苦しむ世界の人々に希望の光をもたらしています。2020年、2025年を大きなきっかけとしながら、次の世代の子どもたちが輝かしい未来に向かって大きな「力」を感じることができる、躍動感あふれる時代を、皆さん、共に、切り拓いていこうではありませんか。憲法は、国の理想を語るもの、次の時代への道しるべであります。私たちの子や孫の世代のために、日本をどのような国にしていくのか。大きな歴史の転換点にあって、この国の未来をしっかりと示していく。国会の憲法審査会の場において、各党の議論が深められることを期待いたします。平成の、その先の時代に向かって、日本の明日を切り拓く。皆さん、共に、その責任を果たしていこうではありませんか。御清聴ありがとうございました。

安倍晋三総理は「憲法は、国の理想を語るもの、次の時代への道しるべ」と語りました。これは安倍晋三総理の政治家としての資質が大きく問われる誤認です。憲法は「国の理想を語るもの」ではありません。権力者たる政治家たちが守らなければならない国民への約束であり、憲法で書かれたものを歪めて政治をしてはいけないのです。また、憲法は次の時代への道しるべでもありません。現在進行形で守らなければならないルールであり、けっして未来の日本人のためにあるものではなく、今の日本人のためにあるものです。こんな認識の人が憲法を変えようとしているのですから、どれだけ危険なことかが分かるかと思います。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

ということで、今日まで5回にわたって安倍晋三総理の施政方針演説を検証してまいりました。データはメチャクチャだし、憲法に対する認識は間違えているし、思想はネトウヨだしで、何一つ良いとことがないのですが、こんな演説を聞かされて「安倍さんは頑張っている!」と思える日本国民は、だいぶお花畑です。人々の無関心がこじれにこじれまくった末に、なんとなく頑張っていそうならそれでいいという価値観になり、国家が滅びるレベルのデータ改竄が行われていても、誰も気にする様子がないのです。このレポートを書いたところで気付いてくれる人は少数かもしれませんが、騙されているうちに深刻な歪みが生じ、立て直しが難しくなってしまいます。日本を守るためには安倍政権の間違いを正さなければなりません。


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