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【選挙ウォッチャー】 多古町長選2022・分析レポート。

2月1日告示、2月6日投開票で、千葉県の多古町長選が行われました。多古町では、もともと4月に町長選が行われる予定でしたが、現職の所一重町長が昨年10月の衆院選の際に公選法違反を犯して逮捕されたため、渋々辞職し、急遽の多古町長選が行われる形となりました。多古町は人口1万人ちょっとの農業の町なので、自民党が圧倒的に強く、公選法違反があっても選挙の結果は変わらないだろうと思っていたのですが、とんでもない奇跡が起こりましたので、お伝えしないわけにはいきません。

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菅沢 久  70 新 元町議(ゴリゴリ自民系)
平山 富子 62 新 元校長先生(まったくの無所属)

はっきり言って、いくら地元で校長先生だったからと言って、組織力がまったく違うのだから、平山富子さんには勝ち目はないと考えていました。ところが、よりによって菅沢久さんが「とめるな!所町政を!」なんていうクソみたいなキャッチフレーズで立候補してしまったために、戦況は大きく変わってしまったと思いました。おそらく陣営は「公選法違反なんて、たいした罪ではない」と思ったのでしょうけど、町民たちは「一事が万事、そういうことなんでしょう?」と思ったのだと思います。これまでの歴史にないような、まともな町長が誕生してしまうことになりましたので、今後の多古町がどのように発展していくのかが注目です。


■ 「新党くにもり」が地味に勢力を拡大中

今回、選挙が行われた多古町や匝瑳市は、衆院選における「千葉10区」にあたります。昨年10月の衆院選では、岸田文雄総理も応援に駆け付けるなどして、自民党の林幹雄さんが逃げ切りましたが、危うくひっくり返されるところでした。林幹雄さんが危機感を募らせることになった原因は、「新党くにもり」から梓まりさんが立候補してきたからでした。ゴリゴリの保守系でありながら、「新党くにもり」は二階俊博さんが立候補する和歌山3区と林幹雄さんが立候補する千葉10区に候補者を擁立。さすがに和歌山3区は盤石の状態でありましたが、千葉10区は立憲民主党の谷田川元さんと激しいデッドヒートを繰り広げている選挙区であり、そこに自民党の票を削りかねない「新党くにもり」が立候補してくるのは、かなりのダメージだったからです。その「新党くにもり」ですが、実は、こうしている間にも地道に勢力を拡大しており、2月11日から13日までの3連休は、全国各地で宣伝活動に励んでいました。11日は奈良県橿原市、12日は長野県松本市、滋賀県大津市、兵庫県神戸市、岡山県岡山市、13日は千葉県市川市、静岡県焼津市、大阪府大阪市など。活動の内容としては、財政出動の必要性やウイグルの人権問題などを訴えたチラシを配布したり、ポスティングをするというもので、彼らは「国守衆」と名乗り、仲間を増やしています。「国民主権党」「NHKから国民を守る党」のように、全国の45都道府県選挙区に候補者を立てるような活動ではなく、カギを握る小選挙区に候補者を立ててメッセージを伝える戦略を取っており、支持母体は「チャンネル桜」となっています。今のところ、地味に党員を拡大できていると見ていますが、それほど脅威になることはなさそうです。


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