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【選挙ウォッチャー】 渋谷区長選2022・美竹公園のホームレス追い出し。

 なぜ日本は、かつて世界第2位の経済大国と言われるくらいに豊かだったのに、こんなに衰退してしまったのか。多くの人が、そう思っているのではないでしょうか。
 法人税を下げ、消費税を上げ、富める者がさらに富めるようにして、貧困に苦しむ者がさらに苦しむような政治を続けた結果、貧富の差は拡大し、ホームレスに転落する人たちが絶えません。しかし、日本ではまだ「新自由主義」がもてはやされており、富める者がもっと富める社会を望んでいることから、日本維新の会が勢力を拡大し、新自由主義とは逆のベクトルを持っている「社会民主主義」の社民党は衰退しています。
 具体的に言うと、「最低賃金1500円以上にしないと、物価高に陥ってしまった私たちの暮らしは守れない」と主張しているのが社民党で、「アホか、人件費に金使こうてたら店が持たんがな!」が日本維新の会です。現在の日本は、賃金を据え置きにしたまま、いかに株主に多くの配当を出せるかを考える政党が人気を集めているので、自分たちから「賃金の上がる社会を放棄している」という状態です。皆さん、身を切るのが大好き。
 それどころか、社民党の福島瑞穂さんの21万票を、反社会的カルト集団である「NHK党」のガーシー(東谷義和)が28万票で上回っているというのが、今のニッポンです。その「ガーシー」こと東谷義和は、今日も国会に出席することなく、詐欺をして海外逃亡中のドバイから、有料オンラインサロンで人気女優さんの「シモ」の話をして金を稼ぎ、さらに満額の議員報酬をゲットしている状態です。改めて言いますが、これもまた今の日本の有権者たちが望んでいるニッポンの姿です。

 僕は、反社会的カルト集団「NHK党」を4年以上にわたって見続けてまいりました。今回は「NHK党」の話をしたいわけではないので、詳しいことは、この本を読んでいただければと思います。著者としては買っていただけるのが一番嬉しいですが、読んでいただけるだけでも嬉しいです。お金のない方は、ぜひ図書館で借りてみてください。そのために図書館は存在しています。お金がないと「知」を得られないような社会であってはならないのです。
 だから、僕のレポートは有料を基本としていますが、本当に重要なものは無料で提供しています。今回のレポートも、みんなが考えるべき、とても重要な話題だと思いますので、無料です。そうすると儲からなくなってしまうわけですが、誰かが本を買ってくれると思うので、なんだかんだでプラスマイナスゼロぐらいになったらいいなという計算です。


■ 渋谷区が美竹公園からホームレスを追い出す

ホームレスに何の説明もなく、早朝にいきなりフェンスを立てる工事を始めた渋谷区

 渋谷区は10月25日早朝、渋谷駅から徒歩5分の場所にある区立の「美竹公園」を突然、利用禁止にしました。
 渋谷区や東京都がいきなりホームレスを追い出すのは、これが初めてではありません。2012年にも行政代執行で美竹公園のホームレスを全員追い出して0人にしたことがありますし、2013年にも宮下公園からホームレスを追い出しました。
 本来、ホームレスにこそ手厚い支援の手を差し伸べなければならないはずの行政が、ホームレス状態に陥った人たちを強制的に排除し、どこでどう野たれ死んでも知ったこっちゃないと言わんばかりの政策をする。これが今の日本の政治、渋谷区の政治です。

都市再生ステップアップ・プロジェクト「渋谷一丁目地区共同開発事業」(引用元リンク

 そもそも、なぜホームレスを追い出す必要があったのか。
 それは、この「美竹公園」と周辺を再開発し、巨大な商業ビルを建設する計画があったからです。計画によれば、このビルの手前にある広場のようになっている部分が、新しい「美竹公園」です。
 つまり、公園を再開発することで、建設するゼネコン、テナントを管理する不動産会社などが、億単位の利益を目論んでいて、この公園で生活しているホームレスが「邪魔」だったわけです。
 絶好調だった時代の日本だったら、ホームレスを説得するため、一緒に公園で寝泊まりするような熱い魂を持った職員もいたんでしょうけど、ここは衰退している無能国家のニッポンなので、ホームレスに十分な説明や告知もなく強制排除。荷物に「ここから撤去するように」という警告書を貼られたことはあったそうですが、「いつ閉鎖をする」と期限を示したものは一つもなかったといいます。せめて「いつまで」という話を事前に教えてくれていればよかったのに、当日の朝、公園で寝泊まりするホームレスの方々に声をかけられる前から工事が始まり、まずトイレや水道を使えなくする措置を取られた後に職員が来て「この公園は封鎖されたので、今から必要なものと必要ないものをリスト化しろ」と言ってきたそうです。それで怖くなって、相談に駆け込んだら、福祉事務所の人からも「公園を出ろ」と言われて、シェルターに移動させてもらうことになったのが3人。応じなかったとされる人は、その時に嫌なことを言われたらしく、「話にならないので公園に戻ってきた」そうです。
 渋谷区の発表では、公園にいたのは4人となっていますが、これはその時に声をかけたのが4人だっただけで、実際には8人くらいが暮らしていました。ホームレスなので流動的ですが、少なくとも荷物を置いていたホームレスのうち、2人はその時間に働きに出ていて、仕事から帰ってきたら公園が封鎖されている状態だったそうです。
 なお、ホームレスの方々に代わって窓口になっているボランティアの方は渋谷区が用意したとされるシェルターは6戸しかないので、最初から全員を収容することはできないのではないかと指摘していました。なので、現在も美竹公園には4人くらいのホームレスが取り残されていて、美竹公園が話題になって守られようとしていることを受け、新たに「行く宛がないので、今夜、ここに泊めさせてもらいたい」と訴えるホームレスの方も来ているそうで、この問題はまだ解決していません。

今では「GUCCI」などの高級ブランド店がテナントに入っている宮下公園の跡地

 渋谷区は、宮下公園をナイキパークにしようとホームレスを追い出した時に炎上対策を学び、公式ホームページに「ちゃんと借り上げたアパートも用意していると説明しているんですけどね!」と書きました。これに情弱のネトウヨたちが見事に釣られて、「そんなに手厚くされているのに、それでも公園で寝ようとしているホームレスが悪いんだ!」とか「公園を不法占拠するな!」などとホザいていますが、実態は全然違います。ろくすっぽ説明をしていないし、いきなりトイレや水道を止めて追い出そうとしたので、「れいわ新選組」の山本太郎代表を含むホームレスのボランティア活動を続けている人たちが抗議をしました。
 渋谷区が借り上げたアパートの存在を示したのは、公園を追い出した後ですし、しかも、その時に公園にいた一部のホームレスにだけです。こうなってくると、抵抗したホームレスは何も悪くないのではないでしょうか。
 アホのネトウヨは「不法占拠」だと言いますが、「じゃあ、オマエが1円も持ってなくて、生活保護の申請も受け付けてもらえなかったら、どこで寝るの?」と質問したら、誰も答えられません。一人だけ「俺だったら公園で寝るようになった時点で罵声を浴びることも覚悟する」と言うアホがいましたが、公園で寝ているぐらいで罵声を浴びるような社会は、とんでもなくヤバいです。トラブルになっているのは、シェルターに不満があるからではなくて、「事前に何の説明もなく追い出そうとしている酷い仕打ち」に尽きるのです。


■ なぜ公園の追い出しに抗議をするのか

「許可なく立ち入ったら通報する」という貼り紙があるが、公園の隣は「交番」である

 工事をするためにホームレスを追い出す。
 今回の問題で抗議をしている人たちは、ホームレスを追い出すことそのものに抗議をしているわけではありません。ホームレスを「強引に」追い出すことに反対しているだけで、数千億円単位のシノギをさせてもらう側の人間がろくすっぽ説明もせず、強引に追い出す「やり方」を問題にしています。
 ホームレスも人間です。ネトウヨは渋谷区の説明を鵜呑みにして「ホームレスが公園に住みたいとワガママを言っている」と解釈していますが、実際は、まるで何の説明もなく追い出し、あとからシェルターに移動することを提案して、受け入れた人が3人いたに過ぎません。
 日本全体で能力が低くなっているのか、公務員として働く人たちの能力が低くなっているのか、新型コロナウイルス対策一つとっても、まともにオペレーションを回せない無能国家となってしまった日本では、その大事な手続きを省略し、「出て行けと言ったら出て行け!」で、今日明日生きていけるかどうかも分からないような生活をしている弱者を、いきなり公園から追い出す政策を取っています。
 区公園課の担当者は毎日新聞の取材に「工事の準備を安全に進めるために公園を閉鎖した。この日の朝に仮囲い設置が正式に決まったので、事前告知ができなかった」と話していました。この一文を読めば、どうしてホームレスの追い出しが大きなトラブルになったのかが分かろうものですが、アホのネトウヨは現実も知らないし、想像力も欠如しているので、これを読んだだけではわかりません。
 例えば、深夜にラーメン屋に入り、食券を買って注文し、出てきたラーメンを食べようと思った瞬間、いきなり店の電気を消されて「もう閉店ですので、出て行ってください」と言われたら、「テメエの店はどうなっているんだ!」となるに決まっています。「普通は食べ終わるのを待つやろが!」という話ですし、百歩譲って閉店を優先するなら、「事前に説明せぇ! ほな最初から入らないんだから!」という話だと思います。今回は、ろくすっぽ説明らしい説明もなく、いきなり「工事をするから、もう使えませーん!」と言い出して、明日の生活もままならない弱者を追い出した。だから、抗議の声が上がっているだけで、「いよいよ優しさの欠片もないような国になっているけど、大丈夫ですか?」という話です。


■ 問題を正確に認識できない渋谷区議

 来年4月の統一地方選では、渋谷区長選と渋谷区議選が行われる予定ですが、渋谷区長の長谷部健さんは「多様性を尊重する政治」を標榜しておきながら、これまで何度もホームレスの排除をめぐるトラブルを起こしていることからしても、基本的にホームレスを人間だと思っていない政治家だと思います。
 誰も「再開発を中止してホームレスを住まわせろ」と言っているわけではないし、抗議の内容はシンプルで「いきなり追い出すな!」です。「どこの無能がオペレーションしてるんだ!」が抗議の主たる内容で、25日の深夜に仮囲いすることが正式に決まり、早朝から不意打ちでホームレスを追い出したわけですから、実に計画的で、区の担当職員が勝手にやっていることとは思えません。数千億円単位のプロジェクトについて、執行部が知らないうちに区の担当職員が勝手にやっているはずがないということからしても、長谷部健区長が「ホームレスの気持ちなんて知ったこっちゃないから、とっとと追い出して工事を進めたらよろしい」と考えているタイプであることを行動で示したも同然です。

ホームレスが公園に定着する問題を「占有」と考えてしまう、キラキラ系の区議会議員

 このデリケートな問題に、多くの区議会議員が「だんまり」を決め込んでいる中、リスクを背負って発信し、僕に捕捉され、「トンチンカンなことを言ってんじゃねぇよ!」とツッコまれてしまうのは少し可哀想ではあるのですが、さすがは音喜多駿が代表を務める「あたらしい党」から立候補して当選を果たしたキラキラ系区議会議員だけのことはあり、元アイドルの橋本侑樹区議は「ホームレスは利用じゃなくて占有だから問題だ」というキラキラロジックを展開し、「みんなが利用できる公園にしたい」というポジティブっぽいことを語っておられました。

都市再生ステップアップ・プロジェクト「渋谷一丁目地区共同開発事業」(引用元リンク

 いや、今回のホームレス追い出しは、「みんなが公園を利用できなくて困っているから」ではなく、このビルを作るための再開発ですから、「占有されちゃ困るんですよね!」じゃないんですよ。だいたい「みんなが利用できる公園にしたいから、公園を占有してしまうホームレスはお断り!」と言ってしまうところが、あのキラキラZ世代の大空ナンチャラさんと似た空気を醸し出していて、「住む場所がない人には居住支援を」と言いながら、「あなたは区議会議員として、この3年半くらいの間、この問題について何か取り組んだことがあるんですか?」という話にしかなりません。「公園の占有が問題だ」と語ってしまうような認識で。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

公園の警備を委託されているオッチャンまで「渋谷区はやり方を失敗したと思う」と語る始末

 今回の騒動は、ただただシンプルに、オペレーションがクソ過ぎてホームレスの方々に十分な説明をせず、人としての尊厳を踏みにじり、いきなり追い出す形になったため、強い反発を喰らい、よりホームレスの方々を排除するのが難しくなってしまったと言えます。
 ネトウヨは頭が悪いので、まるで「ホームレスを公園に住まわせろ!」と主張されているかのように思い込み、ネット上で情弱をこじらせてガタガタ言うていましたが、ツッコまれている内容としては、「どうしたらそういうクソみたいなオペレーションになるんだ、出直してこい!」でしかなく、ホームレスの方々を人として扱わないクソ政治を強行したため、より交渉が難しくなり、余計に渋谷区の思惑通りにならなくなったという話です。

この「美竹公園」は、炊き出しの拠点としても重要な役割を果たしている

 この「美竹公園」は、ここで暮らしているっぽいホームレスの方は8人ほどですが、たびたび炊き出しのボランティアが行われる公園で、配食の日には100人~150人くらいが集まるそうです。つまり、公園で暮らすことがなくても、今日明日をギリギリで生きている100人以上の人たちにとって、なくてはならない公園になっています。
 そんな公園を、何の予告もなく、炊き出しの代替地の提案などもなく、いきなり閉鎖してしまおうと言うのですから、こんなに「弱者が野たれ死のうが知ったこっちゃない」という政策を平気で断行する人たちが政治家をしていても良いのだろうかという根本的な問題が生じます。最近はホームレスが殺されるような事件も起こっているので、差別が激しさを増すようになっていますが、渋谷区民の皆様には、よく考えていただきたいと思います。

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