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【選挙ウォッチャー】 NHKから国民を守る党・動向チェック(#242)。

 いよいよ12月に入って、立花孝志やNHKから国民を守る党の迷走が止まらない。先日、総務省から政治資金収支報告書が公表され、NHKから国民を守る党には5億円以上の借入金があることが正式に明らかになった。初年度の年利を10%と約束していたことから、今月末までに最低でも5000万円以上の利息を200人以上の債権者に支払わなければならないが、もしもこれを支払ってしまった場合、党のお金は枯渇するのではないかと心配されている。立花孝志は志木市議の与儀大介氏との対談でも、党の口座にあるお金が1億円を切っていると明言していたので、これまでに払ってきたであろうお金を計算すると、何か新しい収入を得ない限り、来年4月までは持ちそうにない。
 現在、NHKから国民を守る党の収入は「政党交付金」に依存しているため、毎月安定した収入があるわけではない。政党交付金というのは、年4回に分けられており、支給されるのは毎年4月、7月、10月、12月だ。10月と12月の間は2か月しかないが、12月が終わったら4月まで待たなければならない。ここから先、同党は4ヶ月にわたってほぼ無収入になってしまう。日頃から弁護士をつけて裁判をしたり、コールセンターの事務所や人件費を維持したり、多くのランニングコストがかかっているため、これから立花孝志は満足に眠れないかもしれない。


■ N国党、「ゴルフ党」をやめ「民主党」に

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 NHKから国民を守る党は、来年1月から「ゴルフ党」に党名を変更すると発表していたが、12月4日の党幹部記者会見で、新党名を「民主党」にすると発表した。
 この発表のわずか数分前には、上杉隆幹事長が記者から「ゴルフ党の政策はどんな感じでしょうか」と質問され、7つの基本政策をもとに超党派のグループ議連や日本ゴルフ改革会議などが出したアジェンダから叩き台を作って、これから党内で調整を進めていくところだと答えていたが、その直後に新党名を「民主党」にすると発表し、来年1月からの「ゴルフ党」への党名変更は「現時点で完全になくなった」とまで発言しているので、上杉隆の面目は丸潰れである。
 この日、立花孝志は「民主党」に名前を変える理由などは明かさず、記者会見を後日開くとしたが、公約のNHKの受信料問題は、前田晃伸会長が個別訪問を抜本的に見直すことも検討すると発言したことで「解決した」と話していて、今後は政権交代を目指せる政党になるために、「NHKから国民を守る党」を「民主党」にするのだという。

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 立花孝志は、NHKの受信料問題をめぐり、前田晃伸会長が個別訪問を抜本的に見直すことを検討すると発言したことは自分たちの手柄だと主張しているが、そもそもNHKは国民全員から有無を言わさずに受信料を徴収する仕組みを模索している。
 現在のシステムでは「テレビなどの受信設備を持っていなければ受信料を支払う必要はない」ということになっている。最近はサブスクリプションで映画やドラマを楽しめるし、YouTubeなど無料で楽しめるWEB配信が充実しており、わざわざテレビを持つ必要はないと考える若者も少なくない。都心で暮らせば車は要らず、カーナビでテレビが見られると指摘されることもない。いざとなったら格安レンタカーやカーシェアリングで十分だ。昨今のスマホにはテレビチューナーがついておらず、こうした環境で暮らしている人たちにNHKの受信料は無縁である。
 これからどんどん受信料収入がなくなるかもしれない時に、わざわざテレビが設置されていないかどうかを確認するために個別訪問をするのはあまりに効率が悪い。ましてや、新型コロナウイルスのせいで個別訪問ができなくなると、契約率が下がり、減収につながってしまう。いよいよ見直すべきタイミングが来たというわけである。
 しかし、このニュースは本来、NHKから国民を守る党を支持してきたような、本当はテレビを持っているのにゴネることで受信料の支払いを免れてきた人たちにとって、「解決」でもなければ「朗報」でもない。
 訪問スタッフに頼ることなく受信料を得るということは、契約の義務化がより強化されるということである。先日も未契約者に割増金を課すことも検討されていたが、ケーブルテレビ利用料との一括支払いなど既に行われている方法を拡大するとともに、新たな営業のやり方を検討するというが、これは受信料を大幅に安くしたり、あるいは、支払わなくて良くするという方向とは真逆のベクトルである。
 にもかかわらず、早くも「解決した」と言い出し、党名を「民主党」に変更すると言い出した立花孝志。残念ながら、「民主党」という名前は、港区議になったマック赤坂氏が既に届け出ているほか、複数存在するという。改めて「民主党」という名前をつけられるのかどうかは、総務省の中でもコンセンサスが必要で、まだ結論が出ていない。

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 なお、「民主党はペンディングになった」という動画を見て、「ペンディング党」になったと思ってしまうぐらいにアレな副党首の大橋昌信に、立花孝志は「NHKから国民を守る自民党」という名称に変更するプランも明かしている。「民主党」がダメだった時のバックアッププランだろうか。
 それにしても、ここまでして来年1月までに名称変更をする理由は何なのだろうか。
 知名度だけで言えば、他党に負けないほど抜群の知名度を誇る「NHKから国民を守る党」だが、急いで党名を変更する理由もあるまい。名称変更ありきで「民主党」や「N国自民党」のような名前に変える理由など、どこにもないはずだ。しかし、今になっても名前を決めかねながら、名称変更に踏み切ることは確実のようだ。こうなってくると、何かしらのマネーロンダリングを考えているのではないかと疑われても不思議ではないが、どんな名前に変えたところで、NHKから国民を守る党の支持率回復は見込めないことだろう。


■ 「民主党」にしたら支持率は上がるか

 もし、NHKから国民を守る党が「民主党」にした場合、一時的に支持率が上がってしまう可能性は否定できない。「ゴルフ党」よりも「民主党」の方が支持率は少しだけ上がるだろう。
 支持率が上がってしまう理由は、今、立憲民主党や国民民主党となっている「旧・民主党」が築き上げてきたブランドが、今でも残っているからである。政治に興味のない高齢者は、まさか「NHKから国民を守る党」のような政治ゴロが看板を乗っ取ってしまったとは考えず、かつて応援した「民主党」が戻ってきたのだと錯覚してもおかしくない。あるいは、立花孝志の正体を知らず、そのような名前をつけるからには、昔の民主党のような政策をしてくれるのだろうと期待してしまう人もいることだろう。全体の数としてはそれほど多くはないが、支持率の数字に変化をもたらすぐらいには勘違いする人が生まれてしまうかもしれない。
 しかし、「民主党」に名前を変えたところで、彼らの本質が「NHKから国民を守る党」であることに変わりはない。今から他の政党と同じように経済や外交の問題を語り出したところで、政権交代ができるほどに大きな政党になることは100%ない。というのも、立花孝志は「地球の人口が増えて食糧危機などが起こることを考えたら、発展途上国の人たちを虐殺しなければならない」という、ジェノサイド推進思想の持ち主だからである。昔から極端な思想を持ち、炎上体質も変わらない。これでは名前を変えても、立花孝志の政党だということはすぐにバレて、すぐに不人気政党になってしまうことだろう。
 立花孝志は「人間界における弱肉強食も自然の摂理」だと考えている。弱者が死ぬのは仕方がないし、強者が弱者を管理しなければならないとも考えている。そんな人間が「民主党」の看板を奪い、政権交代を目指すなどと頭のイカれたことを言ったとしても、支持率は元に戻るだけである。
 よって、一部の高齢者などが騙された結果、一時的には0.4%ぐらいの支持率を獲得できるかもしれないが、すぐに0.0%に戻るだろう。


■ アベノマスクブラの女を広島3区に擁立

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 迷走を続けるNHKから国民を守る党だが、とにかくニュースになりそうな話題の提供だけは怠らない。だが、一度言ったことをコロコロと前言撤回してしまうため、マスコミ側も翻弄されることを嫌い、とうとう何を発表しても記事にしてくれなくなってきた。今も変わらずに記事を書いてくれるのは、東スポぐらいである。
 12月4日に行われた記者会見では、河井克行被告の選挙区である広島3区に、前回の東京都議補選で「アベノマスク」をブラジャーにしたセクシーなポスターを採用して炎上した新藤加菜を擁立すると発表したが、国政政党のオフィシャルな発表にもかかわらず、ここまでのところ、大手メディアは完全に無反応だ。せっかく注目度の高い選挙区に、これまで何度も「N国の美人広報官」として露出させてきた女性を擁立すると発表して、このザマである。
 それ以外に、大阪5区に森友学園の元理事長である籠池泰典氏を擁立するなどと発表しているが、まったく話題にならず。それより気になるのは、衆院選に挑戦することを口実に5億円以上のお金を借りたのに、候補者の公募をするにあたり、300万円の供託金を自腹で用意してくれる医者か弁護士だと言っていることだ。自腹で用意しなければならないのなら、わざわ5億円以上の借入金を作る必要はなかったのではないだろうか。


■ 元N国党員、逮捕される

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 11月26日にNHKから国民を守る党を離党した川西康司が、それからわずか1週間後の12月3日、山口県で土足で墓石の上に立ち、卒塔婆を振り回すなどの行為をしたとして礼拝所不敬容疑で逮捕された。
 川西康司は2022年4月の松山市議選の公認候補となっており、N国党員の一人だった。迷惑系YouTuber・へずまりゅうのマネージャー(弟子)を自称しており、今年7月の東京都知事選では、へずまりゅうが立花孝志の応援に駆け付け、N国党の選挙カーの上でマイクを握るシーンも見られた。
 1週間前に辞めたとはいえ、NHKから国民を守る党がYouTubeの再生回数を上げるために一線を越えてしまうような人に「公認」を与えていたことは、多くの人に知られるべきだろう。立花孝志というのは、こうした炎上芸でのし上がろうとするYouTuberたちにとって「憧れ」であり、炎上を逆手に取って国政政党となり、年間で1億6000万円ほどの政党交付金を国からもらえる身分になったことで、カリスマ的な存在となっている。
 しかし、一時的にYouTuberのアクセス数を稼げても、その後に待っているのは「しっぺ返し」である。立花孝志自身、NHKから起こされた裁判では1100万円の慰謝料を請求され、さらには、不正競争防止法違反、威力業務妨害、脅迫罪で起訴され、刑事裁判を控える身分だ。川西康司は、へずまりゅうにノウハウを学び、N国公認という肩書きを得て、炎上系YouTuberとして名を上げようと必死だったのだが、結局、全国にその名が知られたのはYouTuberとしてではなく、犯罪者としてである。
 立花孝志なんかをお手本にしたところで、得られるものは何もない。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

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 NHKから国民を守る党には、今も月に1000件近い電話相談が寄せられているという。NHKから「重要」と書かれた書類が来たり、簡易書留が届いたりした時に、まずは同党のコールセンターに電話をかける人が少なくないからだ。
 しかし、NHKから国民を守る党のコールセンターに電話をかけたところで、問題は解決しない。運良くNHKから裁判もされずに踏み倒し続けられる人もいるかもしれないが、N国党に電話をかけようがかけまいが、そんなものは「運」である。裁判を仕掛けられれば余計な手間や出費が増えることになるし、何よりも、N国党に相談したばっかりに騒動に巻き込まれ、NHKから1100万円という巨額の慰謝料を請求されている一般人もいる。
 その時はよくても、あとで「しっぺ返し」を喰らってしまうのが、いつものNHKから国民を守る党である。立花孝志に端末に入っている個人情報を提供してしまった訪問スタッフは、立花孝志に巻き込まれるように不正競争防止法違反で問われ、刑事事件と扱われるようになってしまったし、トラブルメーカーのN国党に相談して良いことなんて、ほとんど期待できない。
 もし相談したいことがあるのなら、警察に相談するなり、消費者センターに相談するなり、はたまた弁護士に相談するなりして、なるべくNHKから国民を守る党に相談することは回避した方がいいだろう。

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