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【選挙ウォッチャー】 東海村長選2021・分析レポート。

8月31日告示、9月5日投開票で、原子力ムラの中心地と言ってもいいかもしれない茨城県東海村の村長選が行われました。最大の争点は、何と言っても「東海第二原発の再稼働」の是非なのですが、東海村で暮らしている人の多くは原子力産業に携わっているため、この村で「原子力をやめる」ということは、自分たちの生活基盤が失われるということになるため、世の中がどれだけ原発の再稼働を望まなかったとしても、東海村だけは原発の再稼働を望むという形になります。

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山田 修 60 現 無所属(東海村長)
乾 康代 67 新 無所属(大学非常勤講師)

山田修さんは、具体的に原発再稼働に賛成しているわけではないものの、再稼働問題は「まったく触れない」という戦略を取っており、実質的には東海第二原発の再稼働を容認する立場だと見られています。一方、茨城大学の非常勤講師をしているという乾康代さんは、日本共産党に推薦されている候補であるため、「原発再稼働反対」を明言しています。ちなみに、原子力ムラでは職域接種が進んでいると思われ、東海村をはじめ、周辺自治体における感染者数はそれほど多くないため、新型コロナウイルスはそれほど争点になっていないのではないかと思います。


■ 命と経済の綱引きが起こる

これは資本主義国家における永遠のテーマかもしれませんが、政治は常に命と経済で綱引きをしています。原発再稼働の問題にしても、もし事故を起こせば、多くの命が奪われ、故郷を追われる人がたくさん出るかもしれないのに止めることができないのは、原子力産業をなくしてしまうと食いっぱぐれる人がいるからです。100%経済的な事情です。新型コロナウイルスについても同様で、自粛をすれば感染は抑えられて命が守られますが、旅行会社やホテルなどの商売が成り立たないため、ワクチンを打ったら積極的に出歩いてほしいということになります。ワクチンを打っても感染はするし、死者を止めることができないため、行動を緩和させるのは難しいですが、命と経済の綱引きによって、大抵の場合は経済が優先されるため、またしてもワクチンを打ったら行動緩和を言い出し、最終的に人の命が奪われることになります。政治は命と経済、どちらを優先するべきか。実は、これには明確に答えが出ています。政治は「経済よりも命を優先すべき」なのです。どうしてそうなるのかと言えば、こんなに危ない原子力産業は世界的に採用されません。これからは風力や太陽光だけでエネルギーを賄う時代なので、原発を輸出しようにも採用してもらえないのです。原子力産業にどれだけ投資をしたところで失敗する未来は火を見るより明らかです。新型コロナウイルスも同様で、命を優先して感染を止め、限りなくゼロコロナに近い状態を作り出すことができれば、恐れることなく経済を回せるようになります。つまり、政治は常に「経済より命を優先する」をしていけば、時代遅れのビジネスに投資することなく、常に新しいものに投資でき、その時代にふさわしい産業を伸ばすことにつながるのです。今回だって、ワクチンや製薬に迷うことなく投資できていれば、最終的に世界をマーケットに日本産の医薬品を売ることができたかもしれないのです。


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