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【選挙ウォッチャー】 館山市長選2022・分析レポート。

 11月6日告示、11月13日投票で、千葉県の館山市長選が行われました。今回は、5期目を目指す自民・公明推薦の現職と、それまで市議をしていた2人の新人が挑み、熱戦となっております。
 実はこの選挙、サムネイルの写真がポスターになっていることからもお分かりの通り、完全に読み違えてしまい、当選者の写真を撮ることに失敗してしまいました。まさか森正一さんが当選するなんて予想もしなかったのですが、どうしてそうなってしまったのかも含め、お伝えすることにします。

金丸 謙一 73 現 自民・公明推薦
室 厚美  57 新 無所属(元館山市議)
森 正一  55 新 無所属(元館山市議・自民系)

 争点となっているのは、人口減少対策や地域経済の立て直しなど。4期16年にわたる市政運営がどのように評価されたのかが勝敗のポイントになると思います。
 のちに、じっくりと紹介しようと思いますが、かつては熱海などと並ぶ観光地だったはずの「館山」は、今、金丸謙一さんがあまりに無能すぎたために、かなり悲惨なことになっています。今回、まさかの森正一さんが勝ったのは、森正一さんが強かったというより、金丸謙一さんがあまりにも嫌われ過ぎていたということに尽きるのではないかと思います。というのも、こんなに寂れた状態を見せつけられて、さらなる4年間を託せる気には全然ならないからです。


■ 室厚美候補の主張

 室厚美さんは、4年前にも立候補し、当時は、あまり良い勝負ができませんでした。しかし、この4年間で館山市が何か少しでも良くなったかと言ったら、そんなことはありません。もともと潤沢にお金があるような自治体ではないにしても、同時にアイディアもないものですから、ちっとも発展をしないという話です。
 こうしたことに危機感を持ち、事業を抜本的に見直し、前に進めて行こうというのが室厚美さんではありますが、京都大学を卒業し、丸紅に17年勤務した一流のキャリアウーマンではありますが、どこまで立て直せるのかは分かりません。ただ、既に4期16年も市長をしてきて、館山市の衰退が著しいことを考えれば、結果は出ていると思います。まずは市長を変えることが現状を変える第一歩ではないでしょうか。

屋外ということもあり、パッキパキのノーマスクで街頭演説をする室厚美さん

 しかし、室厚美さんが期待できそうなのかと言うと、正直、期待できるかどうかは分かりません。僕は日頃から「マスクを見れば能力が分かる」と言っていますが、室厚美さんはパッキパキのノーマスクです。既に第8波が立ち上がり、国会でも二階俊博さんや甘利明さんらが新型コロナウイルスに感染しているという時に、自分の支援者にも持病を持ったオッサンたちがたくさんいるだろうに、屋外とはいえ、マスクを持っている様子もありゃせんのです。

丸紅出身のエリートであるにもかかわらず、コロナ対策は何もできていない

 さらに、事前に選挙事務所では話をさせてもらったのですが、本人には伝わっていなかったらしく、街頭演説の様子を撮影してくる僕のことを「何者なんだ?」ということで話しかけてきたのですが、名刺を渡すと、「単なる選挙マニアだな」と判断したようで、「あっ!」と言って、すぐさま去っていきました。
 ここから分かることは、誰でも分け隔てなく平等に扱うタイプではないということです。自分にメリットがありそうかどうかを瞬時に判断して、行動を決めるタイプ。ある意味で言えば、エリートらしい合理的な性格だと言えるかもしれませんが、これでは応援してくれる人を広げられないというのが正直なところです。なにしろ、現職は全身から「仕事をできないぞー!」という感じが出ていて、そういう人はだいたい愛されるのです。室厚美さんが微妙に「愛されキャラではない」のは、すぐに「丸紅出身」と言ってしまうからではないでしょうか。僅差の勝負になった時に力が発揮できません。

室厚美さんの選挙事務所は「たてやま市民住宅公園」の中の旧モデルハウスだった
館山市内に新しく家を買う人は、ほとんどいなくなってしまったのかもしれない

 そんな室厚美さんの選挙事務所が、かなりユニークなことになっていましたので、お伝えしないわけにはいきません。何のコネクションがあってそうなっているのかは知りませんが、今回、室厚美さんの選挙事務所は「住宅展示場のモデルハウス」でした。
 ただし、住宅展示場の中にあるために、「選挙事務所」を使った選挙戦略ができませんでした。実は、選挙事務所というのは、建物そのものが選挙運動をしてくれているようなものです。だから、金銭的な負担は大きいかもしれませんが、少しでも人通りが多く、目のつきやすい所に選挙事務所を置くというのが王道の選挙戦略です。その点、住宅展示場のモデルハウスは奥まった場所に建てられているので、「事務所があるのかないのかも、よくわからない」という建物になります。こういう基本的な選挙戦略は、ぜひとも自民党のオッチャンらに学びたいところであります。


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