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【選挙ウォッチャー】 長岡市長選2020・分析レポート。

9月26日告示、10月4日投開票のスケジュールで、長岡市長選が行われました。立候補したのは、現職の磯田達伸さんと、僧侶で元市議の藤井盛光さんの2人です。実は、2016年の長岡市長選でも激突しており、当時は磯田達伸さんがダブルスコアの大差をつけて勝っているのですが、今回はどうなるのか。主な争点は、財政の健全化と柏崎刈羽原発の再稼働をめぐる市政。市民にとってはわかりにくい部分が争点となっているため、市民の関心はあまり高くなさそうだという印象を受けました。

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磯田 達伸 69 現 2期目を目指す
藤井 盛光 42 新 元市議・僧侶

長岡市は、東京電力の柏崎刈羽原発の再稼働問題でも揺れている街です。もし福島第一原発のように事故が起これば、長岡市は柏崎刈羽原発から30km圏内ということもあって、風向きを考えても、汚染されて住めなくなってしまう可能性がある。地元を愛する人たちの多くは、柏崎刈羽原発の再稼働には反対しています。しかし、断固として絶対的に反対するのか、やんわり反対するのか、一言に「再稼働反対」と言っても、そこにはグラデーションがあるわけで、その姿勢の濃淡をめぐっても、一つの戦いが繰り広げられています。


■ 長岡駅前はどんどん寂れている

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悲しいことに、長岡駅前はどんどん寂れてきています。駅の乗降者数を見て見ると、この20年で特別に減ったわけではないのに、駅前で買い物をする人はどんどん減っている現実。これは「買い物をするために駅に行く」という人が少なくなり、ロードサイドの巨大なショッピングセンターを利用するようになってしまったからだと考えます。これに追い打ちをかけるかのごとく新型コロナウイルスに襲われ、金曜の夜でさえ駅前の居酒屋はガラガラになっていました。都心の居酒屋も苦戦はしていますが、郊外の駅前にある居酒屋は、それ以上に苦戦を強いられているのかもしれません。ただでもシャッターが目立つ駅前の商店街が、1年後にはますますシャッターで閉ざされているかもしれません。しかし、こうした状況に歯止めをかけるためのアイディアが出されることはなく、現職も新人も「新型コロナウイルス対策」ということに関しては、あまり具体的な話をしていません。

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長岡市でも「コロナ倒産」を目の当たりにすることになりました。長岡駅前で昭和28年から親しまれてきた酒屋さんは、時代の変化に合わせて店頭小売から飲食店への卸販売に主軸を移し、中越地震、リーマンショック、東日本大震災と、時代に翻弄されながらも奮闘してきました。市内の飲食店は少しずつ減っていき、苦しい経営を迫られ、消費税が8%に値上げされた2014年から金融機関から特段の配慮をしてもらい、金利の返済だけにしてもらっていたそうですが、経営を改善できないまま、今年2月下旬からは新型コロナウイルスの影響で歓送迎会シーズンの売上が激減。そんなタイミングで3代目の社長が病に倒れて緊急入院。退院こそできたものの、重篤な後遺障害が残り、親族が経営の見込みを検討するも、4月末には資金がショートする恐れがあり、緊急融資の依頼を試みたものの、現状ではこれ以上の協力を得ることは困難であると判断し、破産の申し立てを決断したといいます。

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まさに磯田達伸さんの選挙事務所のすぐ近くに、立派な倉庫を構えるぐらいに繁盛していた酒屋さんが、時代の流れに逆らえずに倒産。その負債総額は1億4900万円余だといいます。これが今、長岡駅前で起こっていることなのですが、現職の磯田達伸さんは「財政の健全化」と言いながら、ハコモノ行政を進めようとしており、人々の生活にお金を回すのではなく、建設業者など特定の会社や団体にお金を流す政治をしようとしていました。まさに長岡市の未来がかかった重要な選挙だったはずなのですが、市民の関心は薄いまま。どんなことが起こっているのかを知る人は少なかったのです。


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