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【選挙ウォッチャー】 南大隅町議選2021・分析レポート。

4月13日告示、4月18日投開票で、南大隅町議選が行われました。定数12に対して、13人が立候補する選挙だったため、この中から1人だけが落選する形になります。1人しか落選せず、しかも、1人だけポスターを貼っていない人がいるという時点で、ほぼ無投票当選のようなものになっているわけなのですが、町長選の争点が「高レベル放射性廃棄物の最終処分場受け入れ」になっているので、町議選も非常に重要になります。もし町長が突然、最終処分場の受け入れを賛成することになっても、議会がキッパリと反対すれば止められるからです。

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地元の建設業者は、放射性廃棄物の最終処分場を受け入れると決まれば、めちゃくちゃ潤います。これから数十年にわたって仕事がなくなることはありませんので、コロナ禍でどんどん予算が削られいく中、これほどのチャンスは滅多にあるものではありません。あの辺鄙な土地に最終処分場を作るとなれば、そのための道路の整備も必要不可欠なので、虎視眈々とチャンスを窺っているのです。ストッパーとしても重要な役割を果たす南大隅町議選はどんな結果になったのでしょうか。


■ 森田俊彦町長が受けてきた接待の数々

森田俊彦町長が、長年にわたって電力業界と関係があるとされる人からお金を融通してもらったり、あり得ない接待を受けていたことが、2018年頃から明るみに出るようになりました。森田俊彦町長は、初めて町長選に立候補する直前の2009年1月頃、電力業界と関係があるとされる人や町内の有力者ら3人から合計800万円を提供されていたといいます。選挙費用を融通してもらっていたのです。南大隅町は、その前の町長だった税所篤朗さんが2007年に最終処分場の誘致を検討。税所篤朗町長には原発ブローカーたちが積極的にアプローチしていたわけですが、後任の森田俊彦さんも居酒屋の個室で現金を受け取っていたというのです。森田俊彦町長は「事業をやっていて金が必要になり、受け取った分は会社経営に充て、政治活動には一切充てていない」と釈明していますが、そもそも町長がお金を融通してもらっているのが問題だという話です。町長に就任してからは、東京への公務出張のたびに料亭やクラブで飲食の提供を受け、宿泊先のホテルの自室に電力業界関係者が手配したデリヘル嬢を招き入れたと報じられ、1回4万円から5万円をデリヘル場側に支払われていたと、非常に詳細に伝えられています。下半身の核燃料棒は現役のため、まだ最終処分場に行くには早かったようですが、ありとあらゆる手を使って最終処分場を作るために湯水のごとくお金が使われる。これが「原子力ムラ」です。結局、議員から原子力関連施設の立地を拒否する条例案が提出され、議会で可決されたため、接待してもらったのに最終処分場計画は進みませんでした。なので、森田俊彦町長は今期限りで引退。そこに田中慧さんが立候補してきたというわけです。


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