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【選挙ウォッチャー】 南大隅町長選2021・分析レポート。

4月13日告示、4月18日投開票で、鹿児島県の南大隅町長選が行われました。僕が9泊10日、総走行距離4300kmの取材旅に出た最大の理由は、この「南大隅町長選」です。この町は、かねてから放射性廃棄物の最終処分場の候補地として名前を上げられ、ブローカーたちが前町長を接待漬けにしていたことが発覚。町民に言い訳することもできない前町長は、今回限りで引退。すると、今回から「最終処分場の受け入れ」を公約に掲げて立候補する人が現れたのです。世の中にはいろいろな考え方をしている人がいるのだから、もしかしたら、そんなことを言い出して立候補する人が突然現れることだってあるかもしれません。しかし、ここに現れたのは、ネトウヨデマゴークとして知られる「田中慧」という、国場幸之助議員の秘書だった人物なのです。

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水谷 俊一 61 新 元町議
石畑 博  65 新 元町職員
田中 慧  38 新 元衆議院議員秘書

地元出身の水谷俊一さんと石畑博さんは、ともに「放射性廃棄物の最終処分場計画」には明確に反対。地元出身ではない田中慧は、この最終処分場計画を前に進めることを堂々と公約に掲げ、「賛成」の立場で立候補をしてきました。もし最終処分場の計画を受け入れるなら、その代わりに1人30万円の商品券をプレゼントする。お金の力で買収しているに等しい公約を掲げている田中慧ですが、たかだか1回ポッキリの30万円の商品券で、先人から脈々と受け継いできた大地や海を、放射能利権でウマウマしたい人たちに売り渡すような選択を、果たして南大隅町の町民たちがするのかどうか。これは鹿児島県の南端で起こっている小さな問題ではなく、日本全体に関わってくる大きな問題なのです。


■ 「小さな町の声を届けてほしい」という願い

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新型コロナウイルス対策のため、飛行機を使わず、何より安全性を重視した結果、柏から南大隅町まで往復4300km以上をひた走り、やって来ることになったわけですが、町民たちに「選挙の取材をしている」ことを明かすと、どこも僕のことを歓迎してくれました。町民からかけられる声は「どんどん発信してくれ!」というものです。いつしか南大隅町が狙われるようになり、核のゴミ箱になってしまうかもしれない。南大隅町が何か悪いことをしたわけでもなければ、何か核の恩恵にあやかってウマウマしてきたわけでもない。そんな土地に、みんなが「いらない」と言っている放射性廃棄物を捨てようという計画が持ち上がっているのです。しかも、僕が取材に行ったタイミングは、鹿児島県南部で地震が頻発しており、いろんな人が僕の身を案じてくれるような時でした。桜島がモクモクと噴煙を上げ、地震が頻発するような土地に、万年単位で管理が必要な放射性廃棄物の最終処分場を建設する。狂っているとしか言いようがありませんが、1000年前ですら平安時代なのに、それよりはるかに長い年月を管理し続けようと言うのです。果たして日本人に、いや、人類にそんなことができるのでしょうか。僕にできることは少ないかもしれないけれど、選挙ウォッチャーとして、僕にしかできないこともある。この南大隅町長選は、記録として確実に残します。


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