【選挙ウォッチャー】 本部町長選2022・分析レポート。
9月6日告示、9月11日投票で、沖縄県の本部町長選が行われました。
本部町は、「美ら海水族館がある所」と言えば、皆さんにも分かりやすいと思いますが、沖縄県北部、名護市の西にあって、人口は約1万3000人ほどと少なく、沖縄県の中でも田舎です。ここに「美ら海水族館」ができたのは、沖縄の北部の方まで観光を楽しんでもらうためで、戦略的な意図があります。なので、「美ら海水族館」の周辺は、すごくいいリゾート地になっていますが、全体的には「ほとんど何もない田舎」という感じです。
実は、本部町長選が行われるのは16年ぶり。田舎なので、だいたいはシャンシャンで決まってしまい、3期連続で無投票当選でした。現職の平良武康さんは、今年で2期目を目指しますが、今日まで一度も町長選を戦ったことがなく、若さをアピールすればワンチャン行けるのではないかということで、自民党推薦で元町議の真部卓也さんが立候補してきました。
本部町は、町長選と町議選は分かれており、町議選は2021年2月に行われたばかりなので、次回は2025年となります。真部卓也さんは、前回の町議選に立候補していたため、辞職して戦いに挑む形ですが、果たして現職を打ち破ることはできるのでしょうか。
■ 沖縄統一地方選の立候補者の年齢層
9月6日に告示された19町村の沖縄統一地方選は、合計定数224に対して、260人が立候補しました。けっして倍率が高いとは言えません。
立候補者の内訳は、現職168人、新人79人、元職13人。
年代別で見ると、最も多いのは60代で113人。これは実に、全体の43.5%を占めています。10人に4人以上が60代です。次いで多いのが70代で50人。50代が42人、40代が32人、30代が17人、20代が4人、80代が2人となっています。
仮に39歳までを「若者」としてカウントするならば、20代が4人、30代が17人となっているため、そもそも立候補の段階で「若者」は4人に1人もいないということになります。
最近は、「たかまつなな」のような人が「シルバー民主主義」みたいなことを言い勝ちですが、「若者の意見が反映されない」という問題を考えた時に、有権者の多くが高齢者であるということよりも、そもそも「若者が立候補していない」ということの方が問題なのではないかと思います。
というのも、自分自身の投票行動を考えても、僕は意識的に「可能であれば女性の候補に投票しよう」と思っています。これは「もっと女性の政治家が女性の視点で政治をした方が良い」と思っているからで、「自分は男性だけど女性に投票する」ということは平気で起こるわけです。これは年齢的にも言えて、「高齢者が高齢者に投票するとは限らない」ということです。つまり、若くても魅力的な候補者がいた場合、高齢者も若い候補に投票してくれるということです。実際、いろいろな自治体で若い首長や議員は誕生していますし、「若い人は当選しない」というわけでもありません。僕の肌感覚では、年齢が高いほど当選しにくく、年齢が若いほど当選しやすい傾向にあるのではないかと思っているほどです。あいにく、本部町長選では若者が当選しているわけではないのですが、それでも「若さ」をウリにすることはできるわけで、真部卓也さんも「41歳」であることをウリにして戦っていました。
若者の声が代弁されるかどうかは、「投票する人が若いかどうか」ではありません。若い世代が議会に行けば、当然、若者目線の議論になっていくわけで、投票する人が高齢者でも、政治家になる人が若ければ、若者の声は反映されやすくなるはずです。だとするならば、若い人たちがどれだけ立候補するのかということが大切になります。
現実は、このグラフを見ても分かるように、そもそも若者が立候補していないという問題があります。若者たちに選挙を戦えるだけの資金がないという社会的構造も無視できないところではありますが、それ以前に、そもそも若者たちが政治に関心を持っておらず、志高く立候補してくる人が少ないという問題があるのではないでしょうか。政治に触れる機会があまりにも少なすぎるため、ネットで情報が流れてくる「参政党」や「NHK党」に投票しがちであるという問題もありますが、若者たちが政治に関心を持つようになれば、有権者の年齢層はどうあれ、若者の声を反映できるようにはなっていくと思います。
だからこそ、僕たちがやらなければならないことは、たかまつななのように「高齢者の1票の価値を少なくする」ということではなく、「若い人たちに政治に関心を持ってもらえるように努力をする」ということになるのではないかと思われ、なるべく面白い記事を書いたり、なるべく面白い動画や配信をお届けすることで、関心を持ってくれる人の底上げをしていくという地味な作業なのではないかと思うのです。
ここから先は
¥ 100
いつもサポートをいただき、ありがとうございます。サポートいただいたお金は、衆院選の取材の赤字分の補填に使わせていただきます。