【選挙ウォッチャー】 双葉町長選２０２１・分析レポート。

１月１４日告示、１月２４日投開票というスケジュールで、双葉町長選と双葉町議選が行われることになりました。福島県双葉町は、多くの方がご存知だと思いますが、福島第一原発事故により、あまりに放射線量が高すぎるために「帰宅困難区域」となり、人々が住めなくなってしまった場所です。しかし、政府は２０２２年春までに復興拠点全域の解除を目指しており、福島第一原発事故から１０年以上の時を経て、再び住民を戻そうとしています。こうした中で、双葉町の次の４年間を決めるための「町議」を選ぶ選挙となっているわけですが、今年は定数８に対して９人が立候補する形になりました。

双葉町議選の詳しいレポートは、選挙ウォッチャー・金城ガンヂさんがお届けしてくれており、現在の双葉町の様子なども克明に記録してくれているので、ぜひそちらを読んでいただきたいところなのですが、僕も山形県知事選や山形県知事選を取材してきた帰りに、いわき市を経由して常磐道コースで帰ってきたので、選挙ボードの写真を撮りました。「選挙ボードの写真を撮るだけでも十分に取材だ」というのが僕のスタンスなので、このレポートでは双葉町議選のレポートを簡単にまとめつつ、知られざる選挙ウォッチャーの裏側について、少しご紹介したいと思います。

■ 双葉町長選は無投票当選に終わる

双葉町長選は、現職の伊沢史朗さんしか立候補の届け出がなく、無投票当選で終わりました。言うまでもなく、双葉町というのは非常に大きな困難と向き合っている町なので、他の町長と比べて、２倍も３倍も、２０倍も３０倍も大変だ思います。誰も「双葉町長」なんていう仕事をやりたくない。当たり前と言えば当たり前なのですが、それでも採算度外視で双葉町を良い方向に導こうという人が、この国に１億人以上住んでいるのに、伊沢史郎さんを除いて１人もいないということが、この国の衰退を物語っているのではないかと、僕は思っています。例えば、政治家を志す人たちの中には「愛国」を口にする者もおります。本当にこの国を愛しているのであれば、最も困難を極めている双葉町の町長として、この町を再生し、必ずや故郷を追い出されてしまった町民たちの笑顔を取り戻すんだという気概のある人がいても不思議ではないはずです。しかし、実際には１人もいない現実。「口先だけの愛国なら辞めちまえ！」という話なのです。

僕のレポートは１本あたり５０００文字以上を保証していますので、今回は書きたいことをたっぷり書くだけの余裕があるということで、この件についてもツッコませていただきますけど、双葉町の件も含め、日本をどうにかしなければならないと言っている時に、どこぞの国会議員は何をしているのかという話です。先日、某新聞社の記者と話をしたのですが、各紙が「ＮＨＫから国民を守る党」を扱わないのは、それが批判だとしても、やればやるほど立花孝志が喜んでしまうのではないかと考えると、あえて記事を出さない方がいいのではないかと考えてしまうということでした。しかし、立花孝志が喜ぼうが悲しもうが、皆さんに知ってもらうということがメディアの使命なのですから、どうあれ記事にすることが大切であり、人々に実態を知ってもらうことが大事だと考えています。先日、Ｎ国党副党首の丸山穂高は、国会議員に渡される「文通費（正式には「文書通信交通滞在費」）」というシステムがおかしいと言って、このお金で帝国ホテルが始めた新サービスを利用し、帝国ホテルに１２２泊をすると発表しました。そもそも「文通費」というのは、文字通り、文書を作成したり、誰かの相談事を電話やメールなどで聞いたり、現場に駆け付けたり、その際にホテルに宿泊したりするために使われるべき名目のお金であって、いくら領収書が必要ないと言っても、その目的のために使うのが筋というものです。国民のための生活を改善するために使われるのなら、そのお金が１００万円でも２００万円でも文句を言う人はいないのです。ところが、丸山穂高が帝国ホテルに１２２泊するというのは、表向きは「世の中に対する抗議のため」と言っていますが、そこに宿泊するのは自分であり、贅を堪能するためにお金を使っているとしか言いようがありません。そのお金があったら格安ホテルを借り上げ、家を失ってしまった人たちに提供した方がよっぽど政治家らしいと言えます。しかし、ネットにつけられているコメントは、どれも称賛するものばかり。「かつてこんなふうに訴える人はいなかった」と言っていますが、表向きの理由に騙される知恵の浅い人たちが多すぎて、どいつもこいつも本質を見抜けていないのです。これこそ今の日本の政治がクソである理由です。この国にちゃんと国民や市民の生活を守ろうという気概があって、不器用でも一生懸命前に進めていこうという人があまりにも少なすぎるのです。