見出し画像

【選挙ウォッチャー】 NHKから国民を守る党・動向チェック(#229)。

 ホワイトボードの前で雄弁に語る立花孝志の姿に、ファクトチェックをできない人たちほど騙される。11月3日に、立花孝志は「トランプ当選確実【アメリカ大統領選挙速報】日本のテレビ局は反省しろ!」という動画をアップしている。この動画は5万回以上再生され、「いいね」の数は2500を超えている。世の中のN国信者(NHKから国民を守る党の熱烈な支持者たち)が、いかに情弱なのかを如実に物語っていると言えるのではないだろうか。


■ ホワイトボードの前でデタラメを語る男

 お忘れかもしれないが、立花孝志は、自称・選挙の天才、自称・選挙のプロ、自称・選挙界の秋元康である。その頭脳は天才的なコンピューターであり、その能力はNHKから国民を守る党を国政政党にしたことで証明されている、というのがN国信者たちの総意である。
 しかし、今年に入って当選したのは2月の新座市議選と3月の志木市議選だけ。そのうち志木市議選は無投票当選だった。以降の選挙は連戦連敗。選挙の数ヶ月前から駅前に立っても、大量のビラをポスティングしても、立花孝志が1週間入り浸っても選挙に勝てず、来年は1人も議員になれないことだろう。
 そんな立花孝志が語るアメリカ大統領選とは、いかなるものか。

画像1

(00:09~)
「速報です。アメリカ大統領選挙、トランプ、ドナルド・トランプさん勝利ということで、これはまあもちろん速報と言っても、立花孝志が独自に、えー、採集、独自に判断ですので、えー、まあもう、現在ですね、僕の予想では293対245、トランプさんになると」

 速報と銘打ち、早々にトランプ勝利を明言。立花孝志がジャーナリストとして独自に計算した結果、トランプの勝利は確実だというのである。驚いたことに、トランプの圧勝とまで伝えている。
 ある程度のリテラシーを持った人なら「こいつはバカなのか?」で終わる話だが、N国信者たちは「さすがは選挙を知り尽くした人の分析だ」と膝を打ってしまう。

(03:36~)
「で、競ってる州っていうのがあって、それがテキサス州とフロリダ州。それぞれが競ってるんですが、これ両方とも、えー、トランプさんが勝ちました。で、残ってる、これ足すと約100、100なんですけども、この接戦のところをほとんどトランプさんが取るということで、えー、もうこれ、僕のまあ、選挙を見る人間として見れるのは、99%トランプさんが勝つと

 立花孝志はこれまで何度も「99%勝つ」とか「99.9%勝つ」などと言ってきたが、そう言って本当に勝っているのを一度も見たことがない。以前も、私の裁判について「99%勝てる」と言っていたが、負けている。そんなオジサンの動画を何一つ疑いもせず、「なるほど!」と言って見ているのだから、N国信者というのはかなり特殊な層である。

画像2

(06:19~)
「まあ、いずれにしても接戦の所を勝ってしまえば大丈夫ということで、日本のテレビは、トランプさんが勝てない勝てないと、4年前と同じようなことを言っていますが、またトランプさんが勝利を収めるという結果になります。まあ、間違いないでしょう」
(07:59~)
「今、僕が見ている数字では、相当もうトランプさんの方が、あの、僅差というよりも、かなり接戦のところで、46対54ぐらいの感じでもう勝ってきているので、郵便投票でひっくり返ることはたぶんないと思います」

 実は、早々にトランプ勝利を確信している人たちというのは、立花孝志だけではない。百田尚樹、高須克弥、我那覇真子、黒瀬深など、ネットリテラシーのない人たちをフォロワーとしている人たちが、こぞってトランプ勝利のお祭り騒ぎに沸いていたのである。
 しかし、実際を見てもらえば分かるように、これまでずっと共和党を支持し続けてきたアリゾナ州で72年ぶりとなる民主党のバイデン勝利が報じられるなど、複数の激戦州をバイデンが取り、勝利をほぼ確実なものにしている。
 立花孝志の情勢分析は、連戦連敗の選挙の結果が物語る通りなのだ。しかし、トランプ勝利を確信している立花孝志は、自身の境遇をトランプと重ね合わせ、こう語っている。

画像3

(09:13~)
「NHKから国民を守る党の支持率が低いっていうのも、これ、ちょっとトランプさんの現象と似ていると思いまして、我々はテレビ局とかNHKを攻めてるので、NHKから国民を守る党の支持者がね、NHKから電話がかかってきて、『あなた、どこの政党支持してますか?』って言われて、聞かれてね、NHKから国民を守る党支持してますって言えないでしょ。同じようにトランプさんを支持してるって言うと、けっこう周りから叩かれるんですよね。だから、けっこうその世論調査とかに対しては、嘘をついてたり、黙ってたりする人がいるんですよ。で、4年前もそういう状況になってトランプさんが、なんか勝ってるわけじゃないですか」

 立花孝志の主張は、NHKの情勢調査に「NHKから国民を守る党を支持しているとは言えないから数字に出てこない」ということであるが、そんなことはない。参院選で議席を獲得したばかりの頃は1%くらいの支持率はあったし、NHK以外の情勢調査でも数字に出てきていない。

画像4

(11:48~)
「日本のマスコミは、また、嘘をついたとまでは言いませんけども、まあ、トランプさんに大統領になってもらったら困る人たちが大勢日本のメディアにいるんでしょうね。アメリカのCNNとか、ABCとか、そういう巨大なメディアもトランプさん嫌いですから、トランプさん負ける負けると報道していましたけども、結果、やっぱりアメリカ国民はトランプさんを選んだということになろうかと思います。えー、あくまでも僕の判断なんで、えー、ちゃんとしたというかね、えー、いろんなメディアのアレを確認していただきたいと思います。以上です。元NHK職員がNHKをぶっ壊す、からの、行ってらっしゃい」

 日本のマスコミは信用ならないと言いながら、トランプが勝利するというガセ情報を流し、最終的にこれが独自の判断なので、いろいろメディアで確認してほしいという。本人はこれがダブルスタンダードになっていることに気づいていない。最終的に各メディアで確認するのであれば、立花孝志の情報なんて最初から必要ない。メディアが信用できないと言いながら、最終的な確認ソースとしてメディアの報道を見ろというのは、どう考えても論理矛盾を起こしている。
 しかし、N国信者たちは、こうした立花孝志の様子を見て「分析できる能力は見習いたい」とか「立花孝志とトランプはいい意味で似ている」などと大絶賛なのである。この世は一体、どうなっているのだろうか。


■ N国党定例会を検証する(10月9日)

画像5

 NHKから国民を守る党の定例会は、毎週、しっかりチェックしていく必要がある。というのも、立花孝志や大橋昌信が裁判の証拠となり得る重要な発言を繰り返しているからである。10月9日は、ほとんど重要な発言は確認できなかったが、念のためにまとめておく。

① N国党の選挙は、年内は岡崎市議選が最後となる。
② 地方選は決まっている選挙以外は、新規での挑戦はしない。
③ NHK訪問員が弁護士法違反だという主張をダラダラ述べる。
④ 森友事件の風化を防ぐため、山本太郎に裁判資料を渡す。
⑤ れいわ新選組の山本太郎には一方的にでも裁判資料を渡す。
⑥ 菅野完が資料を独占していたために人が死んでいる。
⑦ どうでもいい政権交代の可能性についてダラダラ述べる。

 立花孝志は、かつて摂津市議の渡辺慎吾氏に対し、「人を殺した疑いがある」などと発言し、名誉毀損が認められている。しかも、たかだた30万円の支払いを拒んだために差し押さえまでされている。こうした過去があるにもかかわらず、再び「菅野完のせいで人が死んだ」と流布しており、菅野完氏が訴えれば、一発で名誉毀損になり得る案件である。
 のちに菅野完氏が裁判資料として使うかもしれないので、書き起こしを残しておこうと思う。

(21:51~)
「もう、これ本当にね、もっと早く酒井康生弁護士をですね、訴えていれば、赤木俊夫さんが自殺されることもなかったんではないかと。非常に残念に思いますが、えー、3年前の3月15日に、酒井康夫弁護士は一方的に籠池さんの弁護代理人を辞める、森友学園の代理人を辞めると、一方的に電話で通知してきた。その日に、えー、記者会見をしていたのが、籠池さんの代理人のように記者会見をしていたのが、ハンガーストライキを今している菅野完氏ですね。石垣のりこさんの私設秘書をやられているようですが、石垣のりこ参議院議員のね。菅野完氏がこの資料を独占して、公開しなかったことによって、一人の方が亡くなっている可能性も否定できません。なぜこんな大事な資料を、僕、彼が資料を入手してから約2ヶ月後に彼に電話をしております。彼は俺がやるから口出すなというようなことを言われて、それが3年前の5月でしたが、非常にその後、人が亡くなっているということを考えた時に、残念でなりませんが、今、ここで誰かを責めても仕方がないので、森友事件においてはですね、まだ全然事件の真実が解明されておりません」

 時系列を考えれば一目瞭然のはずだが、とにかく菅野完氏を悪者にしたいものだから、何度も「菅野完のせいで人が死んだ」と言い続ける。これこそが立花孝志の戦略である。


■ カルト化が進むN国党

画像6

 NHKから国民を守る党のカルト化はどんどん進んでいる。
 今年7月の印西市長選の際に、被選挙権のない24歳の女性が立候補させようとして立候補できかったことを不服として、印西市の選挙管理委員会を訴えた裁判で、立花孝志が裁判所の前でウダウダと解説を始めている。
 立花孝志の主張は、「被選挙権がなくても立候補はできるはずだ」というもので、当選はできなくても立候補まではできるはずだというのである。それを言ったら、子供でも立候補できることになり、下手をすれば「彼女募集中」と主張する人間が現れてもおかしくない。立花孝志がやろうとしていることは、まさに「選挙の秩序の破壊」である。
 この動画で立花孝志は「被選挙権に上限を設けないのなら、裁判所をぶっ壊すべき」と主張している。その横で立花孝志の意見に賛同している弁護士もなかなか香ばしいが、いよいよ「裁判所がおかしい」と言い始めているので、オウム真理教の末期に似てきている。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

画像7

 またNHKから国民を守る党が、新しい裁判を仕掛けてくるようだ。
 今度は、私のnoteの記事を購入した人が、前フリの内容と、有料部分の中身が違うことに傷ついたとして、110万1320円の賠償金を求める裁判である。
 まだ訴状は届いていないが、代理人を務めているのは、どうやら「女弁護士マシロ」というアカウントで立花孝志にカラんだものの、立花孝志からの返信を受け、ツイートの撤回と謝罪をした弁護士のようである。きちんと謝罪をしたご褒美として、立花孝志から代理人のお仕事をいただいたようである。
 NHKから国民を守る党の公式ブログによると、この弁護士は、都内にある「ホワイト弁護士事務所」の山本麻白という女性で、前フリの内容と有料部分の中身が違うことに傷つき、求めるべき請求は110万1320円であると主張している。また、訴状には私が「詐欺をしている」とも書いてあった。
 一つ断っておくならば、この裁判は非常に注目度の高いものになる。なにしろ、立花孝志は1週間に1~2回ペースで、私に対して裁判を起こしており、大量に送り付けられているパンフレットをめぐる裁判とも連動している話だ。また、既報の「誹謗中傷示談金ビジネス」とも連動している。こうした中で、立花孝志に力を貸していた弁護士が、どのような裁判を戦ったのかは、しっかり検証されることになるだろう。
 もしかすると、弁護士さえもお忘れなのかもしれないが、立花孝志は日本で9つしかない国政政党の党首である。これは一般人同士のケンカみたいな話ではない。年間1億6000万円の政党交付金が流れ、その税金を使って言論封殺を試みる政党の可視化。立花孝志には過去にも、スラップ裁判として認定されたケースがあり、これが再び「スラップ裁判」と認められる可能性は高いのではないかと考えている。
 何はともあれ、訴状を待つ。

いつもサポートをいただき、ありがとうございます。サポートいただいたお金は、衆院選の取材の赤字分の補填に使わせていただきます。