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【選挙ウォッチャー】 NHKから国民を守る党・動向チェック(#263)。

 昨年12月に「NHKから自国民を守る党」に党名変更を発表した「NHKから国民を守る党」が、わずか1ヶ月ちょっとで、またまた党名を変更したと発表し、今度は「NHK受信料を支払わない方法を教える党」になったという。
 もはや、どんな名前になったところで、誰も立花孝志に期待していないので「どうでもいい」というのが大半のリアクションだったが、彼らの言っている「NHK受信料を不払いする方法」というのは、単純に「受信料を踏み倒す」という不法行為なので、こうした名称変更を許可してしまった総務省を問題視する声もあったほどだ。
 いちいち立花孝志に教えてもらわなくても、一切の不法行為をせず、まったく受信料を支払わなくても良い方法は存在する。皆さんもお気づきだと思うが、そもそもテレビを持たなければ、NHKの受信料とはまったくの無縁なのだ。最近はネットでいろいろなコンテンツを見られるし、テレビを持たない人も増えている。わざわざ教えてもらうまでもない。こんなどうしようもない輩に、このコロナ禍で毎年のように1億6000万円の政党交付金が支払われ、あるいは数千万円の議員報酬や政務活動費が支払われ、丸山穂高が帝国ホテルに122泊もするというのだから、どれだけの税金が無駄になっているのかは一目瞭然だ。前回の参院選でうっかり「NHKから国民を守る党」に投票してしまった人たちには、本気で反省してほしい。


■ 自民党の「銀座3兄弟」を勧誘する立花孝志

 立花孝志は2月5日の記者会見で、緊急事態宣言下の銀座の高級クラブで遊んでいた松本純、大塚高司、田野瀬太道の「銀座3兄弟」を「NHK受信料を支払わない方法を教える党」に入党するように呼び掛けていた。立花孝志は相変わらず「何が悪いのか分からない」とまで言っている。
 しかし、この時点で立花孝志が「物の善悪の判断がつかない人間」だということがよくわかる。これまで自民党にはさまざまな不祥事があった。安倍晋三の「桜を見る会」の疑惑に始まり、甘利明の収賄疑惑、菅原一秀のカニメロン疑惑、秋元司、岩屋毅、宮崎政久などがカラんだカジノ賄賂疑惑、河井克行・案里夫妻の公選法違反疑惑などなど。秋元司や河合克行こそ離党したものの、安倍晋三も、甘利明も、菅原一秀も、まだまだ現職の自民党議員である。にもかかわらず、銀座の高級クラブに遊びに行った松本純、大塚高司、田野瀬太道は離党になっているのだから、やらかしたことの大きさと処分の内容が釣り合っていないように思える。これは何を意味するのか。お金の流れが真っ黒だったり、選挙に勝つためにお金を包むことよりも、コロナ禍の高級クラブに遊びに行く方が罪が重いということだ。公明党の遠山清彦に至っては、議員辞職までさせられ、今度の衆院選にも立候補させてもらえないことが決まっているほどである。
 どうしてこれほどまでに罪が重いのか。それは収賄疑惑や公選法違反と違って、選挙に大きな影響を与えかねないからだと考えられる。実際、1月31日の千代田区長選では都民ファーストの会の推薦候補に負け、戸田市議選では公明党が議席を落としている。戸田市では4年前と比べて、公明党が15%も票を減らしているのだから、かなりのインパクトだ。通常、どこの自治体でも2~3%減にとどまっているはずの公明党が15%も減らしているのだから、このままでは他の自治体でも議席を減らしかねない。
 そうでなくても、自民党や公明党には強い危機感がある。新型コロナウイルス対策の「頼みの綱」だったワクチンが、ファイザー社と正式に契約が結ばれないまま放置されていて、ようやく契約が結ばれたのは、今年の1月20日である。大切なことなのでもう一度言うが、ワクチンの供給について正式に契約が結ばれたのは今年の1月20日である。
 ワクチン担当大臣に任命された河野太郎が、2月中旬からワクチン接種が始まると報じていたNHKに対し、「勝手にスケジュールを決めるな」とデマ扱いしたのも1月20日の出来事だ。その後、河野太郎は記者からの「いつになったらワクチンが入るんだ?」という質問に、「テロや妨害行為に備えるために具体的な日程は教えられない」の一点張りを決めている。少なくとも3月中に入ることはないらしく、「早くても4月1日以降」と言っているので、実際はもっと遅いだろう。タイやフィリピンでも今月からワクチン接種が始まろうとしているのに、確保したつもりが確保されていないというクソほどの凡ミスをやらかし、「ワクチンの遅れは日本経済回復の遅れ」なので、これからますます自民党や公明党の票は取れなくなる。そんな状況での高級クラブ遊びなのだから、離党させられるのは「当たり前」である。
 しかし、立花孝志は「犯罪をしているわけでもないのに、何が悪いのかが分からない」と言ってしまうのだ。これほどセンスの悪い政治家が他にいるだろうか。だから「NHK受信料を支払わない方歩を教える党」などという情報商材屋みたいな党名をつけて喜んでしまうのだ。


■ おかげさまで地方選挙は26連敗で記録更新中

 統一地方選で旋風を巻き起こし、参院選で議席を獲得した時には「選挙のプロ」だと思われていた立花孝志。あれから半年ちょっとで、N国党というのは、すっかり地方選で勝てない存在になっている。2020年以降の戦績はご覧の通りだ。

[落選]1月26日:吉川市議選(鬼沢宏孝)
[落選]1月26日:取手市議選(岡本介伸)
[落選]2月 9日:前橋市議補選(前田みかこ)
[落選]2月16日:弥富市議選(宮部英雄)
[当選]2月16日:新座市議選(小野沢健至)
[当選]4月12日:志木市議選(古谷孝司)※無投票当選

[落選]4月12日:福山市議選(加陽輝実)
[落選]4月12日:坂戸市長選(尾崎全紀)
[落選]4月12日:坂戸市議選(石川新一郎)
[落選]4月19日:鹿児島市議選(最勝寺辰也)
[落選]4月19日:魚津市議選(谷口隆司)
[落選]4月26日:衆院補選・静岡4区(田中健)※供託金没収
[落選]4月26日:倉敷市長選(越智寛之)※供託金没収
[落選]4月26日:丹波篠山市議選(大久保祐太)
[落選]4月26日:京丹後市議選(尾瀬健一郎)※供託金没収
[落選]6月 7日:港区長選(柏井茂達)※ホリ新、供託金没収
[落選]6月28日:野田市議補選(渡辺晋宏)※ホリ新
[落選]7月 5日:東京都知事選(立花孝志)※供託金没収
[落選]7月 5日:東京都知事選(服部修)※供託金没収
[落選]7月 5日:東京都知事選(斉藤健一郎)※供託金没収
[落選]7月 5日:東京都議補選・北区(新藤加菜)
[落選]7月 5日:東京都議補選・大田区(小林隆弘)
[落選]7月19日:印西市長選(新藤加菜)※供託金没収
[落選]8月23日:箕面市長選(服部修)※供託金没収
[落選]8月23日:箕面市議選(信時一則)
[落選]9月13日:和泉市議選(多田ひとみ)
[落選]9月20日:摂津市議補選(近藤真由美)
[落選]10月18日:岡崎市議選(畑山浩一)
[落選]1月24日:倉敷市議選(越智寛之)
[落選]1月31日:戸田市議選(黒瀬信明)
[落選]1月31日:千代田区議補選(加陽麻里布)※無所属
[落選]2月 7日:前橋市議選(前田みかこ)

 2月16日の新座市長選で当選を果たして以来、4月12日に無投票当選こそあれど、その後は一度も勝てていない。2月7日の前橋市議選にも候補者を擁立し、あえなく落選している。
 今年に入ってからは特に悲惨で、1月24日の倉敷市議選に立候補した越智寛之は、供託金100万円を没収されてまで知名度アップのために倉敷市長選に立候補していた。お金をかけてまで挑んだのに、当落ラインに遠く及ばないレベルで落選している。1月31日の戸田市議選に立候補した黒瀬信明は、誰よりも時間をかけて戦ってきた。半年以上前からほぼ毎日のように駅頭に立ち、有権者に訴え続けてきた。実は、N国党というのはインターネットを駆使して当選してきたように思うかもしれないが、その裏には駅頭での地道なドブ板的活動があり、誰よりも時間をかけて挑んだのに、こちらも当落ラインには遠く及んでいない。NHKから国民を守る党に対抗するために発足した「あなたの党(旧・しょぼい政党)」の候補者にも負ける始末である。同じく1月31日に行われた千代田区議補選では、2019年5月に立花孝志の恋人というキャラで足立区議選に立候補し、北千住のカプセルホテルを住所だと偽って立候補したとして、獲得した票がすべて「無効票」になってしまう事件を起こした加陽麻里布が、NHKから国民を守る党の公認を受けず、無所属の候補として戦いに挑んだ。こちらは日本維新の会の音喜多駿率いる「あたらしい党」の公認で、妊娠していないのにマタニティーマークをつけて歩き、いろんな優遇を受けていたというツイートが炎上してしまった女装オジサンにも得票数で負け、最下位に沈んでいる。N国カラーを消してもN国の人間であることがバレて、まったく票を取れないのである。

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 2月7日の前橋市議選に立候補している前田みかこは、宇都宮市議の遠藤信一から「新型コロナウイルスに効く」と言われ、亜塩素酸ナトリウム水溶液にクエン酸水溶液を混ぜて飲み、おなかが痛くなって、夜間救急で病院に駆け込んだ人間である。いくら「コロナに効く」と言われたからって、ハイターを飲むバカがいるかという話だが、そのレベルの人が市議に立候補しているのである。なお、遠藤信一がYouTubeに亜塩素酸ナトリウム水溶液にクエン酸水溶液を混ぜて飲む動画をアップしていたせいで、このような事件が起こってしまったので、市議会にクレームが殺到し、遠藤信一は議会の場で謝罪をさせられている。
 こうした呆れた現状もあり、N国党は着実に連敗記録を伸ばしている。3月には伊賀市議選、5月には千歳市議選、6月には尼崎市、あきる野市、魚沼市の各市議選に候補者を擁立してくる計画だが、勝てる選挙は一つもないと見ていいだろう。N国党は完全に「オワコン」である。


■ 立花孝志や丸山穂高は受信料を支払っている

 党名を「NHK受信料を支払わない方法を教える党」に変更した立花孝志は、2月5日の記者会見で、「うちの党に所属していて受信料を払っている人っていうのは、もう即刻辞めていただきたいですね。そうじゃないと、自分たちが払ってないんだから払わなくていいって説明をしなきゃいけないわけで、当然、NHKの集金人も払ってない人は大勢いるんですよね。我々はそこにポリシーを持ってやっているわけで」と述べている。しかし、そもそも立花孝志はこれまで何度もNHKの受信料を支払ってきたし、もっと言えば、副党首の丸山穂高も受信料を支払っている。
 つまり、立花孝志も丸山穂高も即刻辞めるべきであるが、自分たちが辞めることはない。あくまで「辞めていただきたい」とお気持ちを述べただけであって、立花孝志にしても丸山穂高にしても、ろくすっぽ仕事をしないくせにぬくぬく税金で生きていけるポジションを捨てようとはしないのだ。しかし、事情を知らない人たちは彼らに騙され、本当に受信料を支払わない。運が良ければ踏み倒せるかもしれないが、裁判を起こされたら終わりだ。立花孝志は無料で弁護士をつけると言っているが、仲が良かった森友学園の籠池泰典理事長に突然、「保釈金として払ってあげた500万円を今すぐ耳を揃えて返せ」と言い出すような人間である。もちろん、籠池泰典の手元に500万円があるはずもなく、それはすなわち「刑務所に戻れば保釈金が返還されるので、立花孝志のために刑務所に戻れ」という話である。誰がそんなことを言ってしまう人間を信用できるのだろうか。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

 立花孝志は、今後も党名を変更することを明言している。これは立花孝志が何をやってもテレビや新聞が取り上げてもらえないが、あくまで国政政党なので、党名を変更すれば必ず記事にしてもらえるからである。籠池ファミリーとモメるのも、コロコロと党名を変えるのも、誰にも求められていないのに毎週のように記者会見をするのも、すべて世間からの注目を浴びたいという「かまってちゃん」である。
 なので、わざわざ記事を書くこと自体が立花孝志の思うツボじゃないかと思うかもしれないが、「かまってちゃん」は批判されることを異常に嫌うのである。だから、私にだけは記事を書いてほしくない。「破産するまで裁判をやり続ける」と宣言し、現在進行形で5件の裁判が進行しているのも、口を封じたいからである。しかし、腐った政治を野放しにすることは、国民の命に直結する。たとえ端っこの政党だとしても、誰かが物を申さなければならないのである。野放しにしてきたから、今、新型コロナウイルスで人が死に、経済が死にかけていてもなお「無策」なのである。

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