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【選挙ウォッチャー】 日本のミソジニー社会を可視化する「暇アノン」たち。

 今、ネットの一部だけで話題になっている「Colabo」という女性支援団体の会計をめぐる問題。できることなら、僕はこの問題に触れたくありませんでした。なにしろ、どう論評しても面倒臭いことになるのは確実で、こんなものはノータッチを決め込んで、セコセコと選挙の取材に勤しんでいた方が良いに決まっているからです。
 しかし、暇空茜という40代の金持ち無職のアニヲタが、ただ仁藤夢乃さんに噛みついているだけだったら、「アンチ・ツイフェミのキモいオッサンが何か言うてはりますわ!」と言いながら、縁側で羊羹つまんで茶でもすするところですが、「ここに数字がある!」とばかりにアホで無能な議員たちが続々と参入。「Colaboの不正は許せないでござる!」と議員のくせに裏も取らず、噂と憶測で「公金が使われているんだぞ!」なんて言いながら、こじらせたTwitter、こじらせたYouTubeを展開しているもので、めでたく「チダイズム案件」になりました。現在、NHK党、参政党、暇アノンの議員たちは、すべて捕捉されています。


■ Colaboと暇空茜の戦いって何?

 仁藤夢乃さんが代表で運営されている女性支援団体「Colabo」は、貧困やDVなどで居場所を失った若い女性たちを保護し、安全なシェルターや食事を提供したり、相談に乗ったりする活動をしています。
 一方で、仁藤夢乃さん自身は、SNSで過激な発言を繰り返しているフェミニストで、特に公共エリアにおける萌えアニメの表現をめぐって「肌の露出が多すぎる」とか「おっぱいが揺れているのは問題だ」といった主張をしていたため、「それぐらい良いじゃんか!」という「表現の自由戦士」たちから攻撃をされていました。
 特に、全国のご当地温泉をアニメで盛り上げる「温泉むすめ」というプロジェクトがあり、温泉地の地名になぞらえた美少女キャラたちがたくさん登場し、観光に一役買っていたのですが、「温泉むすめ」に過激な描写はないものの、「女性のキャラクターが温泉に入る」というからには、「女性たちが服を脱ぐというプロセスを想像してハァハァしているんでしょう、気持ち悪い!」ということで、仁藤夢乃さんがキャラクターの趣味や特技などのプロフィールをあげつらい、「ほーら、気持ち悪い!」をやったため、「温泉むすめ」に萌え萌えしていたアニヲタたちが大憤慨。以来、アニヲタたちの間で「仁藤夢乃、許すまじ!」の空気が醸成されていました。
 最終的に、このアニヲタたちの「仁藤夢乃憎し」の気持ちがいっぱいになって、無職でお金がたっぷりある暇空茜というオジサンが、どうにか仁藤夢乃を攻撃できる材料はないものかと、Colaboに対する開示請求をして、「あれがおかしい、これがおかしい!」を始めました。最初はキモいオジサンがフガフガしているだけだったのですが、「AV新法は働く女性たちの自由を奪っている!」とか「草津町長に対する女性町議の捏造事件が許せなかったぞ!」というアンチ・ツイフェミの人たちがどんどん集まり、「打倒・仁藤夢乃」で団結。いよいよ「仁藤夢乃は共産党とつながっている!」とか言い出すアホのネトウヨまで参戦し、僕が最前線で取材しているNHK党の浜田聡に至っては「Colaboと辺野古とつながっている!」と言い出し、一丁噛むようになりました。
 こうなってくると、話がだんだん明後日の方向に進み出します。
 とうとう暇空茜や「表現の自由戦士」たちは、この問題には「ナニカグループ」という巨大な陰謀があると言い出し、すべては「西早稲田」でつながっていて、自分たちにとてつもない圧力をかけようとしているという、まさに見えない何か(ナニカグループ)と戦い始めました。

「・・・クッ! 俺のシャイニング追及アタックがナニカグループの手によって阻まれている! くそぅ、俺はなんて大きな敵と戦っているんだ! みんな、俺に力を分けてくれ!」

 だいたいこんな感じなので、普通の人は「オタクのオジサンたち、なんだか楽しそうだなー」という感じなんですが、同じ周波数のこじれたオジサンたちが「ラジャーッ!」となっていて、目も当てられない展開になっているという感じです。
 そして、「ナニカグループ」なるものと壮大な戦いを繰り広げているオジサンたちのことは「暇アノン」と呼ばれるようになりました。先日もブラジルの議会をトランプ大統領やボルソナロ大統領を支持する「Qアノン」と呼ばれる陰謀論者たちが襲撃して世界的なニュースになりましたが、陰謀論とミゾジニー気質で溢れたオジサンたちが「暇空茜」を中心にまとまっていることから「暇アノン」と名付けられています。

 彼らの手にかかると、僕も「ナニカグループ」の一派になりそうです。
 というのも、僕は「暇アノン」の一員になっている浜田聡が在籍する「NHK党」を最前線で取材し、「『NHKから国民を守る党』とは何だったのか?」という本を出していますが、この出版社の住所が「西早稲田」なのです。「俺たちのことを『暇アノン』と揶揄してきたアイツは、やっぱり西早稲田でつながっていた!」と脳味噌をアハつかせ、めでたく「ナニカグループ」の手先として扱われることでしょう。

なんで僕が
にわかに信じたい闇組織に
かかわっていることになるのか

 僕はけっして「ナニカグループ」の人間ではありません。もし「ナニカグループ」の一員だとするなら、きっと敵か味方かを識別するために、何か暗号のようなものを残しているはず。・・・ハッ!!!
 バカを揶揄うのはこれぐらいにして、結局、この騒動は何を表しているのかと言うと、「表現の自由戦士」である無意識なミソジニー気質のオジサンたちが発狂しながら、Colaboの会計のおかしさを追及するというテイで、俺たちのことを「キモい」と言ってくる憎き仁藤夢乃ちゃんに「おしおき」をしたがっているという構図です。
 でも、こんなことをしていれば、だいたい「キモい」と言われて当然なので、世間一般の皆さんは「鼻クソをほじくりながら『イカれてるなぁ』と思って見る程度でちょうどいい話」ということになります。


■ 「暇アノン」が「チダイズム案件」になった

 もともとは、アンチ・ツイフェミのオタクのオジサンが始めた開示請求でしたが、「あれがおかしい!これがおかしい!」と言い出したことで、人々の関心が高まりました。
 しかし、東京都の監査委員会が暇空茜の主張をほとんど退け、「不正はなかった」と結論づけています。でも、NHK党の尊師・立花孝志にも共通するメンタルですが、「100回負けても1回勝てば俺の勝ち」というのがアホ特有の考え方なので、一部の主張がColaboではなく東京都に対して改善の余地があるとの判断が下されたことから、彼らの中では「暇空大勝利」になってしまい、どえらい騒ぎなのです。
 麻雀で言うと、点棒をすべて持って行かれているのに、タンヤオのみ1000点で勝って「大勝利宣言」です。麻雀のルールが分からない人には何を言っているのか分からないと思いますが、まさに「暇アノン」の人々が麻雀のルールを知らない人と同じなので、「でも、勝ったんでしょ?」となっているわけです。

「暇アノン」の筆頭バカとしてご活躍中の東京都議・川松真一朗先生(引用元リンク

 いまや「暇アノン」の筆頭バカとして大活躍しているのが、東京都議の川松真一朗先生です。本人は「お初の方に声をかけられ、例の件についてご意見を頂く」なんて言っていますが、バカに痛覚はなく、アンテナの感度もバカになっているので、それが間接的な「オマエ、バカか?」であることに気づいていないのです。そして、「とにかく暇空さんの指摘が鋭い」と答え続ける1日だというのです。それはすなわち「Yes, I am.」と答えているも同然です。聞いた人もマスクの下でニヤニヤしていることでしょう。

Colaboの会計が「モリカケサクラ」より杜撰だと言ってしまう当時の国会議員(引用元リンク

 暇アノン化している議員や候補者は、もれなく「無能」です。
 本人らの中では、ものすっごく重大なことになっていて、あの森友学園問題や桜を見る会の問題よりも「杜撰なことをやって平然と被害者ポジションに収まろうとしている」ということになっています。
 しかし、森友学園の問題は「公文書改竄」という国家レベルの重大な問題であり、かつ、時の総理大臣とその妻が関わり、官僚がお亡くなりになるという事態にまで発展している問題です。桜を見る会の問題は「公職選挙法違反」の疑いがあり、Colaboの比にならないほどの公金が使われ、大量の資料が廃棄されています。そして、これもまた時の総理大臣がやらかしている問題です。
 宮崎岳志さんは、当時、森友学園問題を追及する民進党の国会議員だった人物です。そんな人物が「財務省によって公文書が改竄される」という問題が引き起こされた問題よりも「杜撰」と考え、深刻な問題として全力で追及しようとしているのです。「食事代が高い」とか「宿泊費が高い」とか言っている問題がです。
 さらに、最近はネトウヨが参戦するようになったので、「これは共産党とつながりのある問題だ」と言い出すようになり、「暇アノンのバカさ加減に呆れる人=共産党支持者」という脳内処理が行われています。だから、この問題を「イデオロギー」だと主張するわけです。いや、実際には「バカなのかな?」と思って見ているだけです。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

 僕はフェミニストではありません。おそらく女性たちから言わせれば、僕もまたミソジニーのオジサンであり、多くの日本人が、実は日本が「ミソジニー社会」であることに気づいていません。これはあまりにもミソジニーが定着し過ぎていて、気づくことすらできなくなっているからです。
 今でこそ、家事や子育てをパパもママも両方がやるようになってきましたが、つい最近まで日本の価値観は「男が仕事をして、女が家事や子育てをすべて引き受ける」という社会でした。会社も女性社員をたくさん採用しましたが、それらは男性社員に結婚して家庭を持たせることが目的で、結婚したら「寿退社」するのが常識で、セクハラもありました。今では少しずつ改善されてきましたが、なくなったわけではありません。いまだ男女の賃金格差は深刻です。
 政治的に見ると、辻元清美さんや蓮舫さん、福島みずほさんや石垣のりこさんといった人たちが、ネトウヨから鬼のように叩かれ、口々に罵られるのは「女が女らしく黙っていないから」です。おそらくネトウヨは「トンチンカンなことを言っているからだ」と言うかもしれませんが、トンチンカンなことを言っている政治家なんて腐るほどいて、安倍晋三にしろ、菅義偉にしろ、岸田文雄にしろ、もっと言えば、麻生太郎、森喜朗、桜田義孝といったトンチンカン発言野郎もたくさんいるのに、彼らのことは許すのに、「野党の女ばかりを攻撃してしまう」というのが、今のニッポンです。こうした無意識なミソジニーに気づかない男性たちが嫌うのは、だいたいきまって「モノを言う野党の女」であり、これが日本に女性議員が少ない原因でもあります。仁藤夢乃さんが嫌われてしまうのも「女のくせにモノを言うから」だという側面があることは否定できません。
 しかし、僕はこうした日本の潜在的ミソジニー社会が、今より酷くなることはなく、少しずつ解消され始めているのではないかと思います。というのも、「暇アノン」がまったく広がっていないからです。
 広がっているのは、あくまでNHK党員になってしまうレベルの「アホの子」たちの間だけで、まともな社会人の間には「暇アノン」は広がっておらず、騒いでいる人たちも限定的です。メンバーを見ると、いつもの「うだつの上がらない人たち」に限られていて、「えっ、この人が暇アノンになっちゃうの?」と思うような人は1人もいません。「暇アノンになりそうな、いつものアホが案の定、暇アノンになっている」という感じです。一般の人にも広がってしまうと深刻ですが、大半の人が「何をやってるんだか」と見ています。むしろColaboを同情している人も少なくありません。
 なので、この問題を冷静に見られる人が増えると良いと思い、このたびの記事にしてみたのですが、先日、Colaboに嫌がらせをすれば数字を取れると思っているNHK党のアホがいましたので、このあたりを取材してまいりました。「暇アノン」のメンタルがしっかり可視化される好例となりましたので、明日にも無料記事にてお届けいたします。

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