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【選挙ウォッチャー】 東村議選2022・分析レポート。

 9月6日告示、9月11日投票で、沖縄県の東村議選が行われました。
 今年の東村議選は、定数8に対して10人が立候補する選挙になり、じっくり見ることができれば、なかなか面白い選挙だったのではないかと思います。いかんせん、この東村は沖縄県北部に位置する、かなりの田舎の村なので、人口がそれほど多くありません。100票に満たない得票数で決着がつくぐらいなので、もはや政策ではなく、血縁や地縁によって勝敗が決していると言っても過言ではありません。

 かつては、高江のヘリパッドの問題があり、建設に反対する村民たちが激しく抵抗したこともありました。現在は、住民の反対を押し切ってヘリパッドが完成してしまったため、今も高江周辺で反対運動をしている住民はいなくなってしまいましたが、かつては村を二分するような問題になっていました。
 台風11号と12号の影響で、あまり深く取材することができず、東村議選は選挙ボードの写真を撮影するだけになってしまったのですが、僕の選挙レポートは5000文字を基本としていますので、今回は基地問題と投票の関係について考えてみたいと思います。


■ 沖縄に横たわっていた問題とネット投票

 今、ロシアに支配されてしまった旧ウクライナの地域では、ロシアに編入するかどうかの住民投票が行われています。本来、「住民投票」というのは非常に民主的なプロセスで、みんなの意見が反映されるシステムです。ところが、実際にはロシア軍の兵士たちが住民たちを脅していて、銃口を突きつけて投票させたり、目の前に兵士たちが立って投票先を監視していたとされています。こうなってしまうと住民たちは自由に投票できず、まったく民主主義とは言い難い形で政治が進められてしまいます。
 これと似たようなことは北朝鮮でも起こっていて、北朝鮮では現政権に反対する人だけが鉛筆を持つシステムになっているため、選挙で鉛筆を持つということは「金正恩将軍様に忠誠を誓っていない証拠」となり、あとで何をされるかが分かりません。ですから、ほぼ100%の人が金正恩将軍様に投票しているも同然ということが起こっています。
 実は、東村のような人口の少ない村で90%近い投票率を誇るのは、いつ誰が投票したのかが分かるシステムになっているため、誰に投票したかは分からないまでも、クチコミで「少なくとも投票したかどうかは分かる」という村社会のため、投票に行かないと示しがつかないということが、高い投票率の原因になっています。しかも、名護市のように基地問題を抱えている自治体では「投票に行ったかどうかを見張る人」もいるし、半分ボケているような老人たちを車で送迎して投票させるようなことも横行しており、一部では自由に投票できているのかが怪しい現象が起こっています。つまり、自分が投票したい人に投票できているのかどうかが怪しいケースも存在するということになります。
 このようなことからして、選挙は「秘密投票」が大原則です。誰が誰に投票したのかが分かってしまうと、さまざまな不都合が生じ、本当に投票したい人に投票しているかどうかが分からなくなります。ですから、そもそもネット投票ということ自体に、大きなリスクがあるということを知っておく必要があります。
 今の時代、「ネット投票」を呼び掛けている奴は、だいたいアホです。アホなので、「不正を防ぐためにブロックチェーンの技術を使えば大丈夫」と言いたがります。しかし、ブロックチェーンの技術を使い、誰が誰に投票したのかをちゃんと辿れるようにするということは、すなわち、秘密投票ではなくなるということです。現在の選挙は、選挙管理委員会の人でさえ、誰が誰に投票したのかを知ることはできない仕組みになっていますが、ネット選挙にすれば、少なくとも選挙管理委員会の人は辿れるようになり、田舎では特に、その投票先をめぐって問題が生じるようになってしまいます。
 こうした基本的なことすらも考えられず、浅い知識で「ネット選挙を導入すれば便利になる」とホザいている人間は、アホなのに政治家になろうとしている奴ですから、そんなアホには投票してはいけないという一つの目安になります。


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