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【選挙ウォッチャー】 NHKから国民を守る党・動向チェック(#276)。

 立花孝志の話では、6月をもって私が「ハーバービジネスオンライン」をクビになるということだったが、5月7日をもって「ハーバービジネスオンライン」が配信を停止したため、「NHKから国民を守る党」、改め、5月17日からは「古い政党を支持しない党」の、炸裂したアホ加減をストレートに伝えるメディアは『チダイズム』だけとなった。
 これまで「ハーバービジネスオンライン」に流れていたPVを、『チダイズム』に集中できるメリットこそあるものの、いまや「N国党」は完全なオワコン政党である。その昔、喜んで「ラッスンゴレライ」をやっていたような人たちが、誰も「8.6秒バズーカー」の今を知らないように、オワコンになった「N国党」が今、どうなっているのかを知りたいと思う人はそんなに多くない。オワコンとは、そういうことなのである。
 だから、ここでどれだけ「N国党」の今について触れても、あまりPV数にはつながらないのだが、世間の興味とは裏腹に「カルトは崩壊する時が一番面白い」と言われるように、N国党の真骨頂は「これから」である。既に「NHK」の看板を捨て、「古い政党を支持しない党」なるものにしようとしている時点で迷走にも程があるが、これだけは断言できる。お金がなくなってきた立花孝志は、これからますます迷走が止まらなくなるだろう。


■ ひろゆき攻撃で人気復活を狙う立花孝志

 立花孝志の手法は、いつもワンパターンである。わかりやすい「敵」を作り、さまざまな嫌がらせをすることで人気を集める。NHKもそうだし、マツコ・デラックスさんもそうだし、「2ちゃんねる」の創始者・ひろゆきさんに対しても同様だ。
 匿名でどんなことでも書けるため、誹謗中傷の温床となっている「2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)」については賛否あることだろう。また、ひろゆきさんを被告にした民事裁判はいくつも行われたが、何か慰謝料や和解金が支払われて問題が解決したという例を私たちは知らない。だから、ひろゆきさんを批判することに正義が生まれ、ひろゆきさんに対してネガティブなイメージを持っている人たちにとっては、立花孝志が繰り広げる嫌がらせに心がスッキリすることもあるだろう。ここ最近、再生回数に伸び悩みが見られた立花孝志の動画は、ひろゆきさんを攻撃したことで注目されるようになり、再生回数は回復傾向にある。
 しかし、立花孝志の嫌がらせというのは、まったく関係のない人を巻き込む「反社会型」である。立花孝志が繰り返し主張しているのは、「ひろゆきさんに妻や子供がいる」という根拠のない話で、恋愛禁止のアイドルじゃあるまいし、子供や配偶者がいたからとして何があるわけでもない話を、まるで一大事のように扱うのである。立花孝志はこれまで敵対する相手の「家族も巻き込む」ことを宣言し、中央区議の二瓶文徳さんの家族や恋人について言及した際には「脅迫罪」として、刑事事件に問われている。
 そもそも立花孝志は、ひろゆきさんに「判決に従ってお金を払え」と言っているが、摂津市議の渡辺慎吾さんに名誉毀損で訴えられた時には、最終的に差し押さえを喰らっているのだ。どの口で「判決に従ってお金を払え」と言っているのだろうか。なお、NHKから受信料の支払いを求めて裁判を起こされた時には、差し押さえを受けるまでもなく、しっかり受信料を支払っている。これはこれで「NHK受信料を支払わない方法を教える党」という看板に偽りがある。せめて「NHK受信料を支払わない方法を教えてほしい党」に変更するべきだろう。


■ 政党名を「特になし」にする頭の悪い選挙戦略

 自称「選挙の天才」である立花孝志だが、前述の通り、「NHK受信料を支払わない方法を教える党」という看板に偽りがあって、NHKから徹底的に裁判を起こされるリスクが高まるだけで、この名前にはまったくメリットがなかったことから、5月中に名称を変更するとしていて、今度は「特になし」という名前に変更すると発表していた。
 その後、総務省から「特になし」という政党名にNGが出たため、「古い政党を支持しない党」という名前に変更し、略称が「古い」になったそうだが、いまや立憲民主党にしろ、国民民主党にしろ、はたまた日本維新の会やれいわ新選組にしても、ここ数年の間に立ち上がった政党ばかりなので、古い政党と言えるのは「自民党」「公明党」「日本共産党」ぐらいなものである。ちなみに、N国党(2013年設立)より「立憲民主党(2017年設立)」「れいわ新選組(2019年設立)」などの方が新しい。
 なぜ「特になし」という政党名にしたかったのか。それは政党支持率を調べるための世論調査で、最も多く回答が寄せられるのが「特になし」と答える「無党派層」だからだ。最も支持されている自民党でも約30%で、支持政党を持たない「特になし」と答える人は約40%もいる。政党名を「特になし」にしたら、世の中で最も支持されている政党になれるというのが立花孝志の浅はかなアイディアである。
 しかし、「N国党」「特になし」という名前にしたところで、どこの政党も支持していない人たちは、立花孝志率いる「特になし」を支持しているわけではない。立花孝志の政党は、正確には「特になし党」であって、「特になし党を支持している」となると、ちっとも「無党派層」ではなくなる。現在、N教党の政党支持率は0.0%~0.2%なので、それがいきなり40%になるとすれば、それは「特になし党」を支持しているわけではない。これはただの「ごまかし」である。
 昔だったら、こんなアホアホプランに「さすが立花さん!」と食いついてくれる同じ周波数の人たちがそれなりにいたのだが、今となっては「ただの頭のイカれたオジサン」だとしか思われておらず、「N国信者」と呼ばれる熱心な支持者を除いて、非常に多くの人が立花孝志の言動を冷ややかに見守っている。選挙の結果も連敗記録を「31」に伸ばし、昨年4月の無投票当選以来、一度も勝っていない。6月20日の船橋市議補選、魚沼市議選で連敗記録がどう更新されるのかが注目されているばかりだ。


■ 立花孝志ひとり放送局株式会社は年商283万円

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 5月12日に「立花孝志ひとり放送局株式会社」の株主総会が行われ、今期の年商が283万円だったことが明らかになった。前期は参院選に当選したこともあって、YouTubeの広告収入などで4558万円を記録していたことから、前年比94%減という異常事態である。
 前期から今期までコロナ禍に見舞われていることもあって、一般的に業績の厳しい会社はたくさんあるが、主な収入源がYouTubeである「立花孝志ひとり放送局」は、コロナ禍とはほとんど関係ない。むしろ、自宅にいることが多くなり、巣ごもり需要から任天堂や日清食品HDのように過去最高益を記録していても不思議ではないのである。ところが、ここまで売上が下がった要因は、単純にYouTubeの広告が剥がされてしまったからである。

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 驚くべきことに、立花孝志社長はこの状況で株主から今後のビジョンについて質問され、「特になし」と答えている。売上が94%も減っているのに具体的にどうするかは何も考えておらず、政党と同様に「特になし」と答えたかと思いきや、「いつかは電通を超えるような会社を作りたい」と言っているのである。なお、電通の売上は1兆円以上である。
 普通だったら、会社がこんな状況になったら暴動が起こっても不思議ではないし、代表取締役が即刻クビになっているはずだが、驚くべきことに、今年も株主総会はシャンシャンで終わっている。唯一、取締役を増やしてはどうかという声があったが、「(株数的に)そもそも提案権はない」と一蹴された上、会社名に「立花孝志ひとり放送局株式会社」とあるように、この会社は立花孝志ひとりの会社なので、取締役を増やすことはないとして却下されていた。おそらく来期の売り上げ増はまったく期待できないだろう。
 本来なら、立花孝志の会社の売上がどんなに赤字だろうと、私たちにはまったく関係がない。私も自分の会社の売上はとても心配だが、いくら社長が立花孝志であるとはいえ、自分の会社でないので、まったく興味がない。巨額の借金を抱えて倒産しても、それはそれである。しかし、立花孝志ひとり放送局だけは、健全な経営が成されていなければ困るのである。というのも立花孝志ひとり放送局株式会社には、税金が流れているからである。

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 こちらは、NHKから国民を守る党の令和2年公表(令和元年度分)の政治資金収支報告書である。ご覧の通り、NHKから国民を守る党は「立花孝志ひとり放送局株式会社」に巨額の貸し付けを行っている。その総額は令和元年度の記載だけで6325万3202円にのぼる。
 言うまでもないが、これは「貸付金」として処理されているため、立花孝志ひとり放送局は約6300万円の借金をNHKから国民を守る党に返さなければならない。広告収入がなくなった穴をどう埋めるのかについて、何のビジョンも持っていないのだから、売上がV字回復するとは考えられず、もし年商283万円のまま推移するとなると、仮に売上のすべてを返済に充てたとしても23年かかる計算である。いくら未来のことは誰にも分からないと言っても、「NHKから国民を守る党」が22年後に存在するとは思えない。4年後には確実に消滅しているような政党が、一体、どのような計画で税金が原資となっている借金を返済するつもりなのか。これは、テメエの所のホゲホゲした株主以上に、国民に説明しなければならない話である。
 なお、立花孝志ひとり放送局株式会社とは別に、立花孝志個人には6795万5000円の貸付金がある。つまり、立花孝志は全部で1億3120万8202円を「NHKから国民を守る党」に返済しなければならないのであるが、問題は返済に充てるためのお金を一切持ち合わせていないことだ。


■ これからもN国党やN国変異株が出てくる

 ろくでもない反社会的カルト団体であることがバレて、選挙では31連敗中のN国党だが、6月20日には魚沼市議選に現職の大桃聰が、船橋市議補選には「諸派党構想」と題し、ハゲ党やらパチンコ党やら、よくわからない即席政治団体のメンバーが立候補してくる予定だ。さすがに船橋市議補選の方はどう逆立ちしても当選することはないが、魚沼市議選に関しては、前回が定数20に対して22人しか立候補せず、ほとんどの候補が700票以上獲得する中、大桃聰は383票しか獲得できなかったが、最下位で滑り込み当選を果たしている。けっして選挙に強いとは言えないし、「既存政党を支持しない党」という意味のわからない政党から立候補すれば、ますます投票してくれる人は少なくなることが予想されるが、それでも無投票当選に近い形になれば、当選の可能性は残ってしまう。
 また、7月4日に行われる東京都議選では、「元新宿区議」という肩書きを引っ提げているが、東京高裁の当選無効の判決が確定した松田美樹が練馬区から立候補してくる。さらに、大田区では「心の病党」なるものを作って片岡将志が立候補してくる。
 一部では「N国の変異株」と言われている国民主権党の平塚正幸、千葉県知事選でピエロのような恰好で立候補してきた河井悠祐、後藤輝樹などが葛飾区から立候補する計画を立てているといい、東京都議選もウンコみたいな候補たちで汚染されそうである。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

 これだけ世の中が新型コロナウイルスで大変なことになっているのに、政治家でありながら、ろくすっぽ働かない「NHKから国民を守る党」という集団。ワンイシューとして掲げたNHK問題すら一向に解決せず、政党に入っているお金は大赤字になっている「立花孝志ひとり放送局株式会社」に貸し付けられ、私たちの税金が何か別のものに使われている疑いがある。
 立花孝志が掲げる「諸派党構想」には、ポンジスキームになっているのではないかという疑いもあり、以前としてお金の流れは不透明である。毎年11月には政治資金等収支報告書が公表されるが、圧倒的に資金が枯渇してきている今、立花孝志の迷走はこれからますます拍車がかかるだろう。カルトは崩壊する時が一番面白い。

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