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【選挙ウォッチャー】 小菅村長選2020・分析レポート。

これまで2年近く選挙をウォッチングしてきましたが、これほど面白い選挙は滅多にあるものではありません。山梨県小菅村は、総人口が700人に満たない小さな村です。18歳未満の子供たちもいるので、有権者は600人ちょっと。そして、その投票率は驚異の96%。そもそも人口が少ないこともあって、ほとんどの村民が顔見知り。なので、誰を村長にするのか、誰を村議にするのかというのは、ほとんどが「話し合い」で決まってしまうもので、実は、小菅村はほとんど選挙をやったことがない村なのです。それだけに「選挙」となると、村はかなり盛り上がるわけです。村が真っ二つに分断されるかのごとく、それはそれは激しい戦いが繰り広げられるわけなのですが、そこに山梨県特有の「自民党内の内ゲバ権力闘争」が混ざり合い、「堀内詔子衆議院議員vs長崎幸太郎山梨県知事」のドロドロとした代理戦争へと変わっていったのでした。山梨県特有のドロドロとした話は、それを専門にウォッチングしている方がいらっしゃるので、僕の専門領域ではないのですが、これほどヒリヒリする選挙はないわけで、先週の鹿沼市長選に続き、他人の真剣勝負をニヤニヤしながら見る「選挙ウォッチャー」にとっては、これぞ真髄という、非常に面白い選挙だったのです。

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加藤 和秀幸 70 新 長崎幸太郎知事が応援
舩木 直美  62 現 堀内詔子衆議院議員が応援

いつもだったら、選挙ボードの写真から始まるのが、僕のテンプレートなわけですが、けっして撮り忘れたわけではありません。僕も選挙ウォッチャーを2年以上やってきて、それなりに全国の選挙を見てきましたが、選挙ボードのない選挙を見たのは初めてです。選挙ボードなんかなくても、どうせ村人全員が知っているものだから、選挙ボードを立てる必要がない。それでいて、投票率はまさかの96%なのです。今回がどれくらいの投票率になるのかというところはあるのですが、この村に選挙に興味のない村人はほとんどいないということです。これほど特殊な選挙は、滅多にお目にかかれるものではなく、僕のテンションは爆上がりです。


■ これぞ「選挙ウォッチャー」の真骨頂

立花孝志という反知性派カルト集団の教祖のせいで、僕はすっかり「立花孝志とゴリゴリにやり合っている人」というイメージになってしまったのですが、僕の仕事はあくまで「選挙ウォッチャー」であり、全国各地の選挙を現場で見ては、あんなことがあった、こんなことがあったと書く人です。立花孝志のバカタレが、さんざん「共産党を応援している」などと根も葉もない妄言をYoutubeで垂れ流し、名誉棄損と業務妨害を重ねに重ねたせいで、すっかりそんなイメージが出来上がってしまったのですが、僕は「アンチカルト」なだけで、自民党だからダメだとか、共産党だからダメだとか、そういう単純なことを言ったことはありません。僕が皆さんにお伝えてしていることは「政党ではなく人で見るべき」であり、安倍政権がどれだけ無能だと言っても、自民党にいる人がすべて無能なわけではありません。今回の小菅村長選で言えば「自民党の内ゲバ代理戦争」なわけですから、ともに無所属ながら、実質的には自民党とつながりの深いお二人です。しかし、両候補の人間性で言うのであれば、両候補とも魅力的な方であり、ともに人間性のしっかりした方々です。これまで僕は、政治家以前にまず人間として下の下のクソ・オブ・クソみたいなバカタレを腐るほど見てきたわけですが、少なくとも、このたび立候補しているお二人は、とても魅力的な方々であり、人間性も素晴らしい方々であると思っています。実際、短い時間ですが、両候補と話をさせていただいて、「こいつだけは村長になったらいかん!」という感想は持ちませんでした。僕はこれまでたくさんの「こいつだけは政治家になったらいかん!」を伝えてきましたが、政策はともかく、少なくとも人間性に関しては、お二人とも素晴らしく、大変清々しく気持ちの良い選挙を見せてもらいました。僕は選挙で投票する際の絶対条件として、政策より先に人間性を重視するべきだと考えていますが、そういうことで言うと、今回の小菅村長選に立候補された2人は、人生の大先輩に若輩者の僕がこんな上から目線のジャッジを下すのはどうかと思いますが、とっても素晴らしい方々なので、結果としてどちらが村長になっても、そこまで酷いことにはならないと思っています。小菅村は自然が豊かで、ロケーションも話をさせていただいた村民の方々もみんな最高なので、もし新型コロナウイルスが終息した時には、改めて「小菅の湯」にお邪魔させていただきたいと思っています。

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この日は、現職の舩木直美さんの応援に堀内詔子さんがやって来るという情報を受け、読売新聞と山梨日日新聞の記者さんが取材していたのですが、新聞がこういうワンシーンを報じてくれることはありません。新聞にも文字数があって、個人的な感情を一切抜きにして、さまざまな制約の中で報じなければならないために、こういう写真が採用されることはなく、「新型コロナウイルス対策のために里帰りをするなという二階俊博幹事長のお達しがあるのに堀内詔子さんが来た」ということにザワザワして、本人を直撃してコメントを引き出すのみ。一方、選挙ウォッチャーという職業は、写真週刊誌のように、読者がときめくような写真を撮ることを心掛けていますので、立候補している2人がニアミスした時にどのような態度を取るのかということを遠くからワクワクしながら見守ってしまうのです。これまで多くの選挙でお互いのことを罵り合い、すれ違おうものなら中指を立てんばかりの態度になっている選挙をあちこちで見てきたわけですが、先程も申し上げた通り、人間性バッチリ文句なしのお二人がニアミスすると、どうなるのか。その答えは、お互いに丁寧にお辞儀をして、お互いの健闘を称え合うということになるのです。お互いに政治家であり、お互いに村長を目指す身ですから、よく考えて見たら、これは「当たり前の光景」のはずなのです。ところが、これまで200本以上の選挙レポートがありますが、こんなに清々しい選挙を見たのは「初めて」です。

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いつもこんな感じの選挙をお伝えできたら、僕の「選挙ウォッチャー」という仕事も、もう少し多くの方に「良い仕事してるやん!」と思ってもらえるのでしょうけど、いかんせん、こんな甲子園で熱闘を繰り広げる高校球児のような爽やかな選挙を見たのが、通算250本目ぐらいにして初めてなのですから、日本の選挙がどれだけクソまみれなのかがよくわかると思います。僕が「選挙ウォッチャー」として生きていくキッカケの選挙も、地元愛をこじらせた70歳過ぎのジジィとその友達が、最後の青春と言わんばかりに全力疾走している姿に心を打たれたからであり、僕はもっともっとこういう選挙が見たいのです。ところがどっこい、世の中には「選挙を使って金を儲けること」「政治家になって働かずに1億円以上稼ぐ方法」みたいなことばかりを考え、嘘に嘘を重ね、頭の弱いカルト信者を集めてホワイトボードの前でデタラメ説法をかますクソにゲロと小便をぶっかけたような、ゴミみたいな人間性のクソ野郎による選挙ハックを見せつけられているのです。そしてまた、それに寄って来る同じ周波数のバカが「選挙をハックするなんてスゴい」とか寝言をかましているのです。どいつもこいつも滅びたらいいのにと思うようなボケばかりです。僕だってクソみたいな人間性の奴が出ている選挙なんて見たくないのです。しかし、今の日本は9割方の選挙でクソが出ていて、結局、こいつらが日本の政治をダメにしているのです。みんなが政治に期待を持てないのは「誰がやってもダメな政治が変わらないから」なんですよね。だけど、そうじゃない選挙もたまにはあるのです。そこに希望を見出したい。それを伝えるのが「選挙ウォッチャー」の真骨頂なのです。

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ここにいるのは、高校球児のような爽やかティーンエイジャーではなく、70歳のオッサンと62歳のオッサンなのですが、ともに「より良い村にしたい」という志は同じ。そんな二人がいがみ合うこともなく、正々堂々と選挙を戦っている。そして、それを96%という驚異の投票率で、村人たちが見守っている。最高です! 僕はこういう選挙があることを、もっと世の中の人に知ってもらいたいし、こういう人たちが「村のために」真剣勝負していることを令和の戦国絵巻のように伝えたい! 僕のやりたかったことは、ここにあるのです! 700人ぐらいしか住んでいない小さな村かもしれないですけど、その村を少しでも良くしたいという男たちの戦い。選挙というのは、本来、そういう素晴らしく高尚なものなのです。ただ、せっかくの爽やかなオジサンたちの戦いに、自民党の内ゲバ権力闘争というクソが乗っかってしまい、村の外から踏み込んできて「俺の方が偉い」「いや、私の方が偉い」をやり始めているため、この素晴らしい選挙も少し歪んでいます。いっそのこと、両方の頭をぶっ叩いて「オマエら、黙って見守っとけ!」と言いたいところなのですが、どうでもいいプライドをかけたバトルは誰にも止められないようで、深い緑と清流に囲まれたマイナスイオン豊富な村なのに、どす黒いマイナスオーラを村中に振りまくのでした。ニジマスが泳ぐ清らかな川の水で頭を冷やして出直してきた方がよろしいでしょう。さて、このまったく当落の予想がつかない真剣勝負の行方や、いかに!? こちらもこれを商売にしていますので、面白いところは有料なのです。申し訳ございません。


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