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【選挙ウォッチャー】 炎上系政党「国民主権党」がいろいろと一線を超えている件。

今年7月の東京都知事選で「コロナはただの風邪」という非科学的なキャッチフレーズで立候補し、脚光を浴びることになった「国民主権党」の平塚正幸さん。あれから毎週末のように、渋谷のハチ公前に出てきては「クラスターフェス」なるものを開催。賛同者たちとマスクもせずに「密になろう」と呼びかけ、時に警察が駆け付けるような騒動を起こしたり、集団で山手線に乗り込んでみたりした結果、世間から「迷惑クソ野郎」だと見られるようになり、「国民主権党=ただのカルト的政治団体」になってしまいました。平塚正幸さんの師匠は、あの「ゴルフ党(NHKから国民を守る党)」の立花孝志。なので、どれだけ炎上しようと、炎上するのは注目されている証拠だと言わんばかりに迷惑行為を繰り返し、結果、党勢が拡大するどころか、大量のアンチを生むことになり、日々、その行動を監視されることになってしまったのでした。こうなってしまうと、選挙のたびにアンチが騒ぐようになってしまうため、地方議員を生み出すこともできなくなり、「政治団体」を名乗っているものの、実際は、ただの「迷惑サークル」になってしまったのです。


■ YouTubeを利用できなくなってしまった

現在、平塚正幸さんは、新しいYouTubeアカウントを作って動画を配信しようと思っても、すぐにBANされてしまう状況が続いており、11月30日現在、46回もアカウントがBANされているそうです。どれだけBANされても不死鳥のごとく蘇る平塚正幸さんもスゴいですが、何度現れても着実にBANしていくYouTube側もスゴいです。もはや平塚正幸さんはYouTubeから永久追放されている人だと言ってもいいかもしれません。きょうび、世界中が新型コロナウイルスで困っていて、大阪は知事が「大阪都構想」なんていうものに明け暮れていたため、いよいよベッドの数が足りなくなってきている中で、「コロナはただの風邪」だと言い、「マスクを外そう」と呼び掛けているのですから、こうしたデマの流布は深刻で、デマが原因で命を落としかねないため、最近はYouTubeやSNSを運営する企業も、こうした非科学的なデマを流す人たちの取り締まりを強化しています。そんな状況で、たくさんのアンチが監視していることもあって、平塚正幸さんらしき人がアカウントを作って動画をアップするたびに、すぐさまYouTube側に通報。収益化のはるか手前でBANされてしまい、YouTubeで宣伝できない平塚正幸さんは、まったく発信力を持てない状況に陥っているのです。発信力が大きく削がれることになった平塚正幸さんですが、それでも懲りることなく迷惑行為だけは続けているのです。


■ 都議の自宅に凸をする迷惑行為

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平塚正幸さんは11月28日、都民ファーストの会の東京都議・伊藤悠さんの自宅を訪問し、カメラを回しながら「抗議」という名の迷惑行為をしました。抗議をしたい気持ちは理解しても、わざわざカメラを回しながら自宅を訪問する行為が、ただの迷惑でしかないということに気づかないあたりは師匠の立花孝志と同じです。他人の家の前で警察沙汰の大騒ぎを繰り広げた末に、午後からは賛同者たちが中目黒駅前で「コロナは嘘」とか「マスクを外そう」などと訴えるデモを展開。駅を利用する人たちは、彼らの存在を気に留めることもなく通り過ぎていました。そもそもどうして平塚正幸さんが抗議しているのかと言えば、東京都は新型コロナウイルスの感染が深刻で、症状があったり、濃厚接触者となっている人は必ずPCR検査を受けなければならないという条例を作ろうとしており、もし検査を受けなかった場合には罰金を取ることも検討しているのです。そして、この罰則付き条例を可決させようと、その先頭に立って活動しているのが、都議会与党「都民ファーストの会」の伊藤悠さんなのですが、平塚正幸さんは「強制的にPCR検査を受けさせるのはおかしい」と言うわけです。

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もちろん、PCR検査を必ず受けなければならないというのは、症状があったり、濃厚接触が疑われるような人たちに限られます。体調に異変があるわけでもなく、感染者と接触したとも思えない人が強制的にPCR検査を受けさせられるというわけではありません。もちろん無料です。もし新型コロナウイルスに感染していたら、多くの人に感染させてしまう可能性があるわけで、それがお年寄りだった時には亡くなる可能性もあるのです。今の日本で自費のPCR検査を受けようとすれば、最低でも1万円以上かかってしまうような相場なので、「払えるかいな!」という人はたくさんいると思うのですが、無料であれば文句もないでしょう。逆に、発熱があったり、咳が止まらなかったりすれば、早くPCR検査を受けたいぐらいですし、濃厚接触者になってしまったのだとすれば、自分の安全を確認したいところではないでしょうか。


■ 陰謀論に賛同する人たち

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きょうび、重症者が増え、死亡率も高まりつつある中で、「コロナはただの風邪」と言ってしまうのは、どこからどう見てもカルトにしか見えないわけですが、どうして平塚正幸さんの言っていることに賛同する人たちが現れてしまうのか。そこには「陰謀論」があります。平塚正幸さんの主張では、新型コロナウイルスはメディアが作り出したフェイクで、どうしてこのようなフェイクを流しているのかと言うと、人々を思い通りにコントロールするためだというのです。「マスクをつけなければなりませんよ」と大々的に流せば、人々は言われた通りにマスクをつける。「PCR検査を受けなければなりませんよ」と大々的に流せば、人々は言われた通りにPCR検査を受けるようになる。これは政府やメディアが人々をコントロールするための一環として行われているもので、その先の未来には、自分たちに一切の自由が与えられない世の中だというのです。彼らの中では「密になってはいけない」というのは、人々が集まって生まれる絆を分断し、一人にさせることで思考能力を奪おうとしているのだというわけです。だから、わざわざ時代に逆行して「密になろう」と訴えているのです。しかし、新型コロナウイルスは残念ながら、平塚正幸さんの言うような陰謀論ではありません。なぜなら、現代社会で最も大切にされているのは「お金」です。これだけ感染者が増え、全国で医療崩壊の危機が囁かれていても「GoToトラベル」をやめられないのは、新型コロナウイルスで死ぬ人が増えることより、会社がたくさん潰れる方が困ると考えているからです。飲食店にしろ、ホテルにしろ、旅行会社にしろ、どんなビジネスも、たくさん人を集めた方が儲かります。人々の心理からすれば、ほとんどの人は新型コロナウイルスさえなければ、なるべく密になりたいと思っているもので、それは政治家も同じです。ただ、無能なので、台湾やニュージーランドのような成功例に学ぶことができず、政治の力ではなく、国民の努力でどうにかなったらいいなと思っているに過ぎないのです。


■ 科学が無視される日本の厳しい現実

日本が欧州諸国に比べてマシだった理由の一つは「マスクの着用率が高かったから」だと言われています。日本はマスクをつけて歩くことに抵抗の少ない国だったので、新型コロナウイルスが流行してからは、みんながマスクをつけるのが常識になりました。ところが、マスクのほとんどを中国製に頼っていたため、中国からの輸入が止まった瞬間、日本は深刻なマスク不足に陥ってしまいました。そこで日本では、何度も洗って使えるウレタンマスクが流行するようになりました。いまや街を歩いても、若者のほとんどはウレタンマスクをつけており、不織布マスクをつけている人はほとんど見かけないほどです。ところが、「富岳」のシミュレーションでも分かるように、布マスクやウレタンマスクでは飛沫を防ぐ効果が薄く、最も感染防止に効果があるのは「不織布マスク」であることがわかっています。かつては30枚で5000円みたいなベラボウな金額で売られていたこともあった不織布マスクですが、最近は価格も元に戻ってきて、1枚あたり10円以下で買えることも珍しくありません。本当はみんなが不織布マスクをつけるだけで、もう少し感染を減らすことができると考えられるのですが、日本は科学を捨てているので、かつての安倍晋三総理は国民全員に2枚の布マスクを支給。これにより、布マスクでいいならウレタンマスクでもいいという空気は余計に広がってしまったと考えられます。「マスクは危険」とか言っている奴もカルトなのですが、「不織布マスクが少数派」という日本もまた、まだまだ終息に時間がかかるのではないかと予想されます。どこにも行けない世の中は、マスクをしながら走るぐらいに息苦しいものですが、政府がこうした科学的な発表をしないことも、感染拡大を止められない原因の一つになっていると思います。「なるべく不織布マスクをつけましょう」と呼び掛けることは一切のお金がかけずにできるのですから、「食事の時間は小一時間まで」と呼び掛けるよりは、高い効果を発揮するのではないでしょうか。


■ 嫌われてもいいから目立つ戦略は失敗である

国民主権党の平塚正幸さんにしても、NHKから国民を守る党の立花孝志にしても、本当は目立つために炎上しているわけではなく、素の行動がそのまま炎上していると言った方が現実に近いと思います。ただ、YouTubeなどを配信していると、それが「アクセス数」に結び付くため、本当はたくさんのアンチに見守られているにもかかわらず、あたかも多くの人に受け入れられているような錯覚をしてしまうのです。そうすると、自分の思想や行動をわかる人にはわかってもらえていると感じてしまうため、彼らは過激な行動を止められなくなります。時には「感銘を受けました」という人がやってくることもあって、そういう人たちが今、一緒になって中目黒駅前でデモに参加してくれたりするわけですが、どういう人たちが集まっているのかと言ったら、ネットリテラシーの著しく乏しい人たちです。平塚正幸さんのもとに集まっている人たちは、本当に「新型コロナウイルスはメディアの陰謀で作られているフェイクだ」と考えてしまう人たち。そこに科学的な判断をできる人たちはいません。そうすると、組織はどんどんカルト化し、ますます普通の人が近寄りがたい団体が出来上がってしまいます。それが政治団体となると、多くの人は「こんな団体に投票したくない」と思うことでしょう。かなりニッチな政治団体となり、地方議員さえ生み出すことが難しくなる。これが今、国民主権党やNHKから国民を守る党の置かれた状況です。かつてはYouTubeを利用した戦略が「素晴らしい」ともてはやされ、まるで天才かのように持ち上げられたこともありましたが、嫌われてもいいから目立った方がいいという戦略は「失敗」だったことがわかります。当たり前かもしれませんが、国民の生活に向き合い、国民のためにコツコツ努力を積み重ねることで信頼を得ることが、党勢を拡大させる正攻法なのでしょう。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

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一応、「国民主権党」は政治団体であり、こうした活動もまた「政治」の一環だということになります。ただ陰謀論を信じた市民が集まっているだけだったら、僕もこんなふうに記事を書くことはなかったのですが、今後、この人たちが選挙に立候補してきて、うっかり当選してしまう可能性もゼロではありません。最近は議員になりたい人が少なくなっている関係で、無投票当選も珍しくないですし、1人しか落選しないような選挙もたくさんあり、ろくすっぽ仕事をしないポンコツが議員になっています。仕事をしないだけならマシで、彼らのように「マスクをつけるな」とか「密になろう」みたいなことを議会で堂々と言うようになると、議会の時間も税金も無駄になってしまいます。有権者が正しい判断を下すためには、「国民主権党」が日頃からどのような主張や行動を繰り返しているのかを知っておいていただく必要があります。知らなければ判断もできません。僕たちは既に「NHKから国民を守る党」で、とんでもない奴らを議員にしてしまった失敗があるわけですから、その弟子筋にあたると言ってもいい「国民主権党」のことも、当選の可能性が極めて低いとはいえ、チェックしなければならないのです。

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