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綾野剛、いきまーす! 映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」感想

久しぶりの映画レビュー!Netflixで見つけた映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」、主演が黒木華と綾野剛でどっちも大好きだし、私でも知っている超有名な岩井俊二監督なので迷わず鑑賞。
※努力してますがやんわりネタバレしてます

3時間という長さで途中折れかけた(ドレスのシーン)けど、とても独特な面白さ!終始奇妙な世界観で展開が全く読めず、綾野剛演じる安室が結局いい人なのか悪い人なのか…そのあたりもストーリーの軸になっている。

黒木華ちゃん演じる七海は、とてもフワフワとした優しい女の子。教師になりたいけど声の小ささや気の弱さが原因でなれず、自分を主張できるのはSNSだけ。出会い系で知り合った男性教師と結婚する。

安室(綾野剛)は「なんでも屋」をしてて、結婚式の代理出席を引き受けるために七海と出会う。この役柄がとにかく謎。はじめは七海(黒木華)をどんどん地におとしめて廃人にしてしまうんだろうと期待したけど、微妙に違う。いや、違くもない?お金で動く人、というのは間違いない。

そして3人目のメインキャストは歌手のCocco。女優もできるなんて知りませんでした。顔のインパクトが強いので、七海との対比もパキっとして、今回の役柄にも合ってると思います。で、”リップヴァンウィンクル”ってなんぞや?と思いますよね。これがCocco演じる真白と深く関係しています。

個人的に気になったのは、新居にピアスを置いたのは誰なのか。
七海はこのピアスを見つけて、旦那の浮気を疑い始めます。
ここでハッキリ旦那に問いただすことができたら、七海は違った人生を歩んでいたのではと悔やまれます。実は真面目で良い旦那だったのでは…その性格があらわれているのが、電話でのセリフ「じゃあお元気で ごきげんよう さようなら」。自分が結構キツい状況にいながら、できるだけ冷静に、伝えるべきことを的確に伝えてからの「ごきげんよう」。皮肉にも聞こえますが、この状況で出てくるというのは育ちがよく、恋愛経験が少なくて、人馴れしていないタイプだと思われます。あのお姑さんも、七海の母に比べたら断然イイ。けれど…やはり息子をとられたくない母が、ピアスを仕込んだのかなあと思ってしまいます。

一番ドキドキしたのは七海と謎の男の、ホテルでのシーン。隠しカメラ3台の映像に否が応でも心拍数が上がります。このシーンを境目に、以降、何が真実なのか、何が嘘なのかが全く読めなくなります。
全てに疑いの目を光らせ、ストーリーを斜め方向から見てしまい、結局は全然違う方へ流れたり…気が付けば、じっと七海を見守ってしまう自分がいました。なにこの感覚、これが岩井俊二マジック?

七海は迷える子羊で、安室はオオカミ…いつ喰われるか目が離せない。
そんなハラハラドキドキ要素もありつつ、
ドン底でも前を向いてしっかり生きようというメッセージもあります。

解釈を見る人に委ねる、余白と余韻を楽しめる映画でした。

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