本当の打撃は5月だった。

去年の春先、未確認物体が体内で発見された。

偶然の賜物だった。

担当医が「お印」という表現を使うほど、因果関係がないことで見つかったのだ。

検査を進め、取ることを勧められた。

未確認物体はいわゆる腫瘍。

取る以外、良か悪かの判別はできないと言われた(絶対じゃないけど、二次災害の危険性が高いため普通はしないらしい)。

西洋医学に頼らず生きると決めて久しく、死んでもしないことのひとつが「手術」だった。

だから取るという選択肢は本来ない。

のだけれど、今回はなぜか違った。

不安だったからでも、嫌な予感がしたとかでもない。

ただ「今回は手術するんだな」とわかったのだ。

そしてちっとも怖くはなかった。

不安もなかった。

プロジェクトを抱えていたので、心身ともに疲労はしていたが、体調は少しも悪くなかった。

だからきっと良性なんだろう。

それでも手術を受けるのは、「そうと決まったいるから」という感覚。

2020年4月20日、PCR検査で陰性確定、晴れて入院。ひとりでリュック背負って入院手続きをした。

こんなに元気なのに入院したら、他のフロアにも行ってはダメとソフト軟禁3度目。この時点でも少しの不安も怖さもなく。

翌4月21日、朝一の手術。

私一人のためにこんなに大勢の人がいるのか、、、と驚いたのも束の間、あっという間に麻酔で意識なくなる。

私の体内に入るダ・ヴィンチ(ロボット)ちゃんを見たのは一瞬だった。

術後、意識がなんとなく戻ってからはなかなか大変だった。

術前と術後、別人になったかのようだ。

自覚症状がひとつもなかった者にとって、本来なら悪いものを取ってもらった=良くなったはずが、むしろ、健康→病人になったような、無傷→大傷を負ったような、そんな大きな変化が起きた。

翌日、担当医が様子を見に来た。

このときもまだ、黒か白かわからない、と言われた。

生研をしなければ確定はできないそうだ。

ただ、まあ、間違いないということと、顔つきが悪かったと言われる。

予定より大きく、また本来切る予定のなかった他の臓器も切ることになり出血がある。そのため貧血状態になっており、入院を長引かせる可能性もあるとほのめかされた。

実際、退院は数日延びたが、それでもダ・ヴィンチさん(と先生)のおかげで4月28日に無事、退院。さすがにこのときは家族に迎えに来てもらい、タクシーで帰宅。

5月に退院後初のCT検査と診察があった。

13日だったか。

そしてとうとう、黒か白かはっきりした。

予想に反して黒だった。

なるべくしてなった、わけではない。

医師に「要因は認められない」と言われている。

ついでに、先生は知らないが、難病を患ったことがきっかけで、他にも持病があるもので、割と配慮をしている方だ。

おかげ(と思っている)で、薬が必要だった難病や持病、それぞれ、必要ないほどに症状緩和、数値もよくすることに成功。

自然療法系、心のメンテナンス、ヒーリングなどなど自分に合うものを探し続け、実践し続けている。

それなのに、黒。

それでもなるときはなる、と思ったものの、

それなのに、黒。

じくじくと少しずつ浸食されるように落ち込んだ。

なんか、いろいろする意味ある?

なんの役にも立たないわけ?

予防になるとか、ウソ?

努力して、お金も時間もかけて、なんじゃそりゃ?

無防備でなかっただけにショックだったようで、

このとき、この件で一番ダメージを受けた。

なんか、もう、なんでもいいや。

いろいろするのやめてやる!

ちょっとした自暴自棄になった。

5月、ちょうど一年。

落ち込んで、アホらしくなって、無気力になって、ちょうど一年。

忘れぬうちに書いておこう。



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