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ふさわしい不倫(1)

「クズ!クズ男!
エッチしたいだけだよね!
甘えてんじゃねーよ!
私は嫌い!
とにかく、私はそいつが大っ嫌いだから!」


運転中のあゆみが怒鳴った。

タイミングがまずかったか。

いや、そもそも、あゆみに話したのが間違いだったか。

あゆみの性格や立場を思えば、アレルギー反応を起こしても仕方ない。

いやいや、あゆみだけではない。
母親なら、ほぼ怒りを覚えるだろう。

あゆみに3年ぶりに会って、一番に話したかったことがこんなこととは情けない。

カーナビをちらりと見る。
千歳空港から出たばかり、美瑛まではまだ2時間もある。

気まずい空気になってしまった。

稲が刈り取られた乾いた畑を眺める。

コンビニでもあれば立ち寄って、空気を変えたいくらいだ。





私は不倫をしていた。

不倫なんて、まぁ、よくあることだ。

30前半で結婚したら、40前半で不倫したくなるものだ。

同級生の男友達が言っていた。

妻には感謝しているけど、
この先もこの女性とだけ、と思うと、
結婚前にもっと遊んでおけば良かったと思うと。

おじさんたちは思う。
男でいるために、女が必要なのだと。
男という生き物は、とにかく男でありたいのだ。

あゆみも分かっている。
結婚も出産も離婚もしたんだから、夫婦の実態は分かっている。

しかし、あゆみの逆鱗に触れたのは、不倫相手の4歳の子供と私が会ったことだった。

しかも、外で会っただけではない。
彼の家に泊まったとき、子供もいたということ。

まだ4歳とはいえ、母親以外の女性が家に泊まったことは一生覚えているだろう。

さすがに、あゆみには言わなかったが、その子が寝ている隣でセックスもした。

喘ぎ声も出した。
彼が望んでいると思ったから、ふざけたのだ。

私の子供ではない。
彼の子供なのだから、子供をどのような状況に置くかは、彼が決めることだ。

私がその家に泊まったのは、80%は好奇心で、28%は暇つぶし、2%は嫉妬や意地悪があったかもしれない。


不倫相手の家族は、彼、奥さん、お兄ちゃん、弟くんの4人家族で、その日、奥さんは精神病院に入院していて、お兄ちゃんはサッカーの合宿でいなかった。

彼と私と弟くんは、突然、まるで3人家族のように、平気な様子で一晩過ごしたのだ。

(つづく)





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