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HSPの私が生きる道(3) - 長所の正体はこれだった

今回は、下記のページにある「HSPの長所」に基づいて、事例として筆者の体験談を挙げていきます。

最終的に、その長所の正体は何か、一体なぜそのような長所があるといえるのかをお話しします。

長所1:人の気持ちを察する

感覚が鋭く、様々な事を感じるため、ちょっとした声の変化や、目線、表情、色々な部分の変化から、相手の気持ちを察します。その為、つい人の意見にあわせてしまったり、周りを気にしすぎて、意見が言えなくなったりしてしまう傾向もあります。やさしい性質で、人ともめる事を避けようとします。

いきなりですが、これに関しては長所というよりも、一長一短だと思います。

私の場合、察するというより「嫌でも察してしまう」というのが本音です。学生時代までは人の目を見るのが本当に苦手でした。人の顔色の変化を追うことが負担で、エネルギーを激しく消耗してしまうからです。

さらに、表情や仕草といった視覚情報だけでなく、声色や物音などの聴覚情報からも、その場にいる人の声ならぬ声を無意識に読み取ってしまいます。

自分が率先して相手の欲求に対応することで、結果的に感謝されることもあります。いわゆる一種の「忖度」の賜物ですね。

自分に入ってくる刺激を減らしたくて、波風を立てないように付和雷同な立ち回りをしては、逆に「自分の意見はないのか」と追及され、非常に消耗する事もありました。

長所2:感情移入する

自分には関係のない事でも、他人事とは感じられないので、感情が激しく起伏したり、すぐ涙が出てしまったりします。人の痛みまで感じ取ってしまうため、「か弱い人」や「なよなよしている」ように見られる事も多いようです。

メディアの泣かせる演出に弱く、ひっそりと涙を流すことが多いです。

経験上、親しい友人や同僚から相談を受け、聞き役に回ることが多いです。いつの間にかすっかり同情してしまって、真剣にアドバイスしたり、「激しく同意」する事もあります。

恥ずかしながら、人情話にコロッとほだされて、マルチ商法に引っかかる寸前までいった事もあります。(家族の説得で脱出しました)

長所3:芸術的センスがある

生まれ持った「敏感さ」が研ぎ澄まされた感性につながり、五感を使って多彩に感じることができるため、芸術的な分野で表現することが得意です。

センスがあるかどうかは自分ではなく他の誰かが決めることだと思っていますが、幼少時から音楽や絵画などに触れ、インスピレーションをもらう機会は多かったように思います。

高校と大学で美術を専攻、音楽活動は現在も続けているという具合に、「作品を創る」という行為は自分のライフワークだと考えています。

目と耳が潰れない限りは、何らかの形で続けていきたいと思います。

ありがたいことに、自作の絵画や楽曲を購入して頂いた事もあります。ただし、それだけで生計を立てるのは困難だと判断し、一般企業(広告デザイン関係)に就職したわけですが、あいにく現在はこんな状況です。

長所4:愛情深い

人はもちろんですが、動物や植物など自分の身の回りのすべての物に、深い愛情を持って接することができます。相手を理解し、受け入れる心の豊かさを備えています。

「自分の身の回りのすべての物に、深い愛情を持って接する」なんて大それたことはできませんが、好きになった人や物への思い入れが強く、非情になりきれない、また不要になった物でも捨てるのに躊躇するという自覚があります。

私を評価する人々からは、「真面目で優しい」「お人好し」「穏和」などの言葉を頂くことがあります。

姪っ子の世話が好きで(疲れますが)、彼女たちもある程度懐いてくれています。

動物や植物には心癒されますし、山や海などに行くと、山と一体になりたいとか、海に還りたいとか、直感的に思うことがあります。

4つの長所の正体は「境界線の薄さ」

以上の事例から導き出されるのは、過剰とも言える同調性の高さです。

その理由は、先天的に「自分と他人の間の境界線(バウンダリー)が薄い」という事です。言い換えると、「自分と他人の区別が曖昧」ということかもしれません。

境界線が薄いから、人の気持ちを察する。
境界線が薄いから、感情移入しやすい。
境界線が薄いから、芸術にインスピレーションをもらいやすい。
境界線が薄いから、思い入れが強い。

境界線の薄さは、「危険をいち早く察知し、回避するために与えられた、生物としての本能的な生存戦略である」とも言われています。

例えば、「察知する力」を社会の役に立てるために、精神科医、カウンセラー、セラピスト、整体師など、「人の気持ちを察知する」ことを生業にしている人も多いようです。

これは誰にでもできることではない、HSPに与えられた生まれついての才能なのだ、ともいわれます。

しかし、当のHSPにとっては、いいことばかりではありません。

「境界線の薄さ」は短所にもなり得る

長所と短所は表裏一体です。

人の気持ちを敏感に察してしまう体質のHSPが、例えば「いい相談相手」として、誰彼構わず、昼夜を問わず、人の相談に乗ってばかりいては、それだけでHSPの脳はオーバーヒートしてしまいます。

人一倍敏感であるがゆえに、刺激を受けすぎた扁桃体が活性化しすぎて、ストレスホルモンが過剰に分泌され、うつ病やパニック障害などの精神疾患の引き金にもなりえるのです。

短所1:すぐにびっくりする
短所2:人ごみが苦手
短所3:ストレスを溜め込む
短所4:疲れやすい

これら4つの「短所」は、「境界線の薄さ」がもたらすHSPならではの悩みなのです。

これらに対処するにはズバリ「境界線を強化する」ことが必要なのです。これはHSPが自分自身を守るための喫緊の課題といえます。

では、どのように対処していけばいいのか?
次回、私個人の体験談を交えながら、ケース別の対処法をご紹介していきます。

続きます。

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