私は呼び捨てにされてもいい


普段学童の先生をしており、小学生の子どもたちと遊んでいます。
そこでは基本的に「先生」と呼ばれているのですが、中には呼び捨てにしたりあだ名で呼んだりしてくる子がいます。

呼び捨てにされたのを他の先生が聞いていたら「ちゃんと“先生”って呼びなさい!」と注意してくれます。
しかし、私は子どもからの呼ばれ方に関しては、一度も注意したことはありません。

なぜ呼び捨てにされても、あるいはあだ名で呼ばれても注意しないかというと、子どもたちから呼ばれること自体が嬉しいからです。



こう思えるようになったのは、大学生時代の学童のバイトで出会った、とあるおじいちゃん先生の言葉が刺さったからです。(名前は加藤さんとしておきます。)

そこのバイト先の学童では、職員を「先生」とは呼ばずに、ニックネームで呼んでいました。

加藤さんは特にニックネームはなく「加藤さん」とみんなから呼ばれていました。
ただ、子どもたちの中には、「加藤」って呼び捨てにしたり、「加藤ジジイ」と呼ぶ子がいました。
それを聞いていた他の職員が「きちんと加藤さんって呼ばないとだめよ!」と注意したところ、加藤さんは「ジジイでもいいんだよ」と言って、子どもたちの輪に入っていきました。

子どもたちが帰った後の職員ミーティングで、加藤さんが子どもからの呼ばれ方について、次のように話しました。

私は子どもたちから呼ばれるのが嬉しいんですよ。加藤でも、ジジイでも。
だって、呼ばれるってことはその子が私に対して興味をもってくれてるってことじゃない。
それを「ちゃんと呼びなさい!」って言って突き返すはもったいない。せっかく話しかけてくれたのに。
だから、私はジジイって呼ばれてもいいんです。私の呼ばれ方については、注意しなくて大丈夫ですから。


その話を聞くまで、子どもは大人に対してきちんとした呼び方をしなければいけないものだと思っていました。

しかし、加藤さんの話がかなり納得でき、その日から子どもからの呼ばれ方について、気にしなくなりました。
むしろ、呼び捨てにしてきたりあだ名で呼んでくる子は、からかいつつ、一緒に遊びたいんだろうな。って子どもの気持ちを読み取れました。

「呼び方をきちんとする」という指導をするよりも、「からかってきた子どもと一緒に遊ぶ」ことを大切する。
学校ではできない、学童保育ならではの関わり方だと思います。


加藤さんの話を聞いてから5年くらいたちますが、いまだにその考えは変わってません。
今の施設が職員を「先生」と呼ばなければいけない、というルールがあるので、本当は注意しなければいけないんですけどね。
まあでも、私は私なりの考えで行こうと思っています。
呼び捨てでも、呼んでくれる子に感謝して、一緒に遊んでいきます。










何でもかんでも指導するのがいいってわけではない。
やっぱり、一緒に遊ぶのが一番。かもね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?