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アコーディオンのおじいさん

もうずっと前、たぶん私が小学生一年生の時から家の近くの公園にはアコーディオンを弾いているおじいさんがいて、下校する時間に東屋の下で愉快にアコーディオンを鳴らしていた。

なかなか姿の見えない日々が続くと子供ながらに通学班で心配したり演奏している姿が見えると喜んだり。
名前も知らない『アコーディオンのおじいさん』は小学生の頃、生活の中にきっと居た。

そんな『アコーディオンのおじいさん』が鳴らす愉快な音がこのまえのコンクールの帰りに耳に入ってきた。
思わず目をやった東屋の下には本当にあのおじいさんがいて三年前と全く変わらない、楽しそうな姿でアコーディオンを鳴らしていた。

公園での楽器演奏が騒音や迷惑として扱われるようになった時代だけれど、私は好きなのだ。

そんな日常の中に紛れる音楽が、『アコーディオンのおじいさん』が。


忘れていたのだ、中学生になってから。
部活に入ってから下校時間は18時になって、小学生の下校になんて到底合わなくて、早く帰れてもアコーディオンの音には耳を傾ける暇がなかったのかもしれない。

ふと聞こえるアコーディオンの音に気付ける大人になろう、またひとつ目標ができた。

愉しい音楽がたのしめる、こころを、世界を、願っている。

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