見出し画像

甲状腺がん+肺転移の告知

人生は遅かれ早かれいつか終わりを迎える。
でも、その終わりを考えながら生活している人は少ない。
私は母親、友人を病気で亡くしているので、それなりの死生観はあったが、それでもやはり自分の終わりはどこか遠くにあるような気になっていた。

そのどこか遠くの自分の終わりが少し近づいてきた。

2020年の年末
引っ越しをして新しい職場に入った。
入職時検診で少し問題のあった甲状腺について医師に伝えると診てみましょうとエコーで見始めた。
何も無いつもりで伝えたのに医師は入念に見始め、CTのオーダーも出した。

その日のうちに医師から多分甲状腺がんだろう肺にも転移していると言われ、一気にこの世の終わりが見えた。
すぐにでも大きい病院へ行くよう言われ、手配してもらい、翌月にはがんセンターを受診。

肺にも転移をしているなら、もう残りの時間は少ないと思っていた私は医師に積極的な治療はするつもりが無いことを伝えた。

私の意思を聞いた医師は軽く笑って言った。

多分乳頭がんだと思います。
肺も転移でしょう。
でも、まぁまぁ長生きできますよ。
甲状腺がんは進行がゆっくりなので、そんなに急がなくても大丈夫。
いつ手術しますか?

翌月の手術の予約を入れて検査をして帰宅した。

この時点で症状らしい症状は無かったが、後から考えるとこの時はいつもものすごく身体がだるくて、ベッドに吸い込まれるほどとにかく身体がだるかった。
でも動けないほどではなかったので仕事で疲れているせいだと思っていた。

術後はこの体のだるさは無くなったので、がんのせいだったのかもしれない。

翌月手術の前日に入院。
初めての入院で送ってくれた家族と別れる時には涙が出てきた。
その姿をなんの感情もなく冷めた表情で見ながら病棟へ案内をする看護助手の女性。
冷めた目で見られるといい歳して泣いてしまったことが恥ずかしくなる…

初めての入院で、初めての手術で、この先どうなるのかわからない不安の中、病室へ案内された。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?