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繊細ヤクザ世に憚れず 2020年7月29日の日記

・朝。早起き。6:20。電話にて起床。その後1時間睡眠。絶起。シャワーを3秒で浴びる。9:30。池袋。はちどり。昼。韓国料理。チヂミが食べたい。食べました。サクもちは人間の欲なり。「ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語」で傷つかなかった友人に傷ついた友人が語る、渾身のセンシティヴタコ殴りを刮目せよ!しました。夕。整体。首の筋ハリー・ポッターと謎のプリンス。老人の体。身体定年退職。退職金5000兆円欲しい。世界で一番有意義な使い方をしてやるぜ。カンボジアに学校を建てるとか。僕たちは世界を変えることはできない。But, we wanna build a school in Cambodia.

・「はちどり」の感想でも書くか。

・エンドロール後、タイトルを思い返して「あああ…」となる映画だった。

・小さい体で一生懸命羽を動かすことでしかその場に居続けられないのが、はちどり。逆に言うと、ホバリングできるからこそ、その場に居られる。みんなは過ぎ去って行くばかりだけど、自分は苦しみながらもそこに居ることができる。自分をたくさん消費しながらひとつの場所に留まって、過ぎ去る世界を見たから、彼女は「はちどり」であったのだな。

・その場に留まっているだけだけど、実は一生懸命羽を動かしている。って宇多丸さんがアトロクで言ってた。その通りですね。

・歳を重ねていくにつれ、過去の切実な悩みは思い出に変わる。私が中学生の時に抱えていた辛さや痛み、悲しみ、不安、恐怖、劣等感、そういった感情は鮮烈だったはずなのに、今は「ある一地点の痛み」というラベルをつけてアルバムに閉じ込めている。あんなこともあったね〜と言えちゃうまで、私は遠いところに来てしまった。だからきっと、今鮮烈な悩みを抱えている中学生が目の前に現れたら、迂闊に共感してしまうし、迂闊にアドバイスをしてしまうし、迂闊に解決へ導こうとしてしまうだろう。この行為をほとんどの大人がしてしまう。ずるいと思う。ひとりの人間がじくじく痛む傷を抱えているのに、その人間がただ「自分より幼い」から軽視しているんだ。自分も通ってきた道だと思い込んで、ルート攻略法を勝手に押しつけるんだ。その道が同じなわけないのに、若気の至りとか意味のわかんない言葉で纏めたりして、解決策がさもあるように振る舞うんだ。

・鮮烈な痛みを抱える人が求めているのは、その痛みを痛みのまま受け取ることだ。当人が思っている尺度と同じ尺度で、切実な問題として受け取ることだ。自分の方へ引っ張ってきてはいけない。自分の問題ではないから。心なんてわからない他者の問題だから、他者の抱える大きさをなるたけ同じ大きさで感じ取ろうと努めなければいけない。これがなかなかできない。簡単に「つらいよね」「疲れちゃったよね」「悲しいね」「かわいそう」とか言っちゃう。カウンセラーではないんだよ。カウンセラーの技法を使って話す場ではないんだよ。鮮烈な痛みの吐露を受けてしまった時は。だって私はカウンセラーでもなんでもないから。そんなことする資格がないから。クソデカ感情をいかにクソデカ感情のまま受け取れるかが大事なんだ。

・「はちどり」は、ウニ(主人公、中学二年生の少女)の鮮烈な痛みをなるべくそのままの大きさで映そうとしていたよ。それだけで私は胸がいっぱいになった。解決策を提示するとか、痛みに共感するとかの傲慢な優しさがなかった。傲慢な優しさが一番最悪なので。胸に「傲慢な優しさ」って彫ろうかな。戒めのために。とにかくあの日あの時あの場所で君が思ったこと、全部映すという気合いがあった。君の思ってること全部映す(テレ東特番)

・家父長制の息苦しさ、男尊女卑という刷り込み、韓国の経済格差、シスターフッド、小さな世界を通して大きな世界が映されていく、世界は残酷だけど美しい(進撃の巨人)みたいなことは500億人が書いてるだろうからここではそんな言及しないけど、まあそんなところも良かったね。

・軽薄な歌謡曲に反するように上手く行かない男女交際も良かったな。3分程度の歌詞に沿えるほど人生はままならないのよ。

・フェミニズムを語る時は「男女ともに生きやすい社会」という大前提があるはずなのに、女性優遇を危惧する馬鹿がいるな。何なんだ。社会的に成功しなければというプレッシャーを内面化させてしまう男性だってつらいだろ?そこに疑問を持つことからフェミニズムが始まったっていいじゃないか。社会性なんてクソだよ。他人に土下座させて快感を得る人間なんて最悪だぜ。マチズモなんて捨てちまえよ。捨てるのが難しすぎるのもわかってるけど。それができないから、苦しんでいるのだろうけど。大切にしたい人の前でだけ誠実であればいいの。それが一番大事。

・世界は実のところ全く美しくない。世界は美しいと思ってないとやってられないほど残酷なんだ。

・ウメ〜韓国料理。友人が「はちどり」でメソメソ泣いていてとてもかわいかった。愛すべき人間だと思った。繊細であることを誇って生きてほしい。


#はちどり #日記 #映画感想 #韓国 #韓国映画

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