会計士が残したもの

最高のベン・アフレック?

そりぁあんた、『ザ・コンサルタント』でしょうよ。てっきり元特殊部隊出身の過去を隠した男が悪を叩きまくるやつかと思った。そういうのを期待して観たさ。しかし、まさかこんな丁寧で、繊細で、不器用で、カッコよくて、優しい映画だったとはね!こんなタイプのどんでん返しは初めてだ!ほんとに感動してしまってもうダメだった。最高なのである。

無表情で、セリフの少ないベン・アフレックが良い。その視線と、カメラワークが一緒に気持ちを物語る感じも良い。
主人公が戦ってる相手は、物語上の“悪”のようで、実は、自分自身の背負った出自や、他者や社会に上手に混ざることの困難さ、お手本が見つかりづらい人生とか、そういうものとずっと戦ってるような人間の映画だ。

2回観て、良いところでかかる歌が気になった。
グリっとした男性の低音とアコギだけのフォーキーでシンプルな曲。調べると、Sean Rowe『To Leave Something Behind』とわかる。

『何かを残すため』だと...!
選曲がバッチリすぎる!いや、歌詞の中身まではよくわかってないのだが。そして、悲しい。そんな悲しいこと言うなよ。そんな寂しいこと言うなよ。もっと人を頼ったり、甘えたりしても、いいんじゃないかな、がんばってるよ、あんたら。
ほんとに行くのか?それしかないのか!くそう、どこにでも行っちまえよ!...不器用すぎるぜ、ほんとに馬鹿野郎...!
...そんな言葉を心でかけながら3回目を観た。

しかしだな、「何かを残す」...その一念に尽きる。僕も一緒なのだ。この生き方で何が最後にこの世に渡せるだろうか。作った歌が、語った言葉が、笑ってもらったこと、拍手してもらえたこと、その全てが、いつかあぶくのように消えて、忘れ去られないように、僕も何かを残したい。

あんたらが残したものは、僕の中で静かに燃えてるのだ。

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