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オンライン授業についての雑感。


 みなさまお元気ですか。齋藤です。

 今回は「周子先生」の近況とこれまでの雑感などを。

 新型コロナウイルス感染防止のための対応、私の勤務先でも続いています。いやもう、ほんとに大変……。ですが、今週から私も含めスタッフは本格的に時短勤務になり、オンラインでの授業はそれぞれのスタッフの自宅でやりましょう、と切り替わりました。

 オンラインでの授業はこれまで試行錯誤しながら教室で実施してきており、まったく初めてではありませんでした。だから1ケ月たって、自分にも子どもたちにも少し余裕がでてきたように感じています。慣れてくると、悪いことばかりじゃありませんでした。

 まず、「オンライン」という授業形態そのものが子どもたちには新鮮。ほとんどの時間を屋内で過ごしている子どもたちにとって、「初めての経験」は何よりうれしいものです。「これがおとーさん、おかーさんがやってるリモートワークってやつね!」と驚き、またちょっと自分が大人になったような気分にもなるみたい。

小学生たち、Zoomの操作にあっという間に慣れた!!

 ただ、このまま続けていくと飽きてしまうだろうなあ、とは感じています。まあそこは、私たち講師の腕の見せどころ、ってことで。

 このオンライン授業で一番大切なのは、ぶっちゃけ学習内容の習熟ではなくて、友だちや先生と画面越しであっても「コミュニケーションをとる」ことと、決められた曜日・時間に机に向かって学習に取り組む、という「リズムをつくる」ことです。親御さんに普段の教室での様子を傍で見てもらうことができる、というメリットもあります。こうした取り組みの中で、これから日本人の教育観とか学習観、学習のスタイル、学校と学習塾それぞれの存在意義などなどが、一気に変わるのだろうな、と思いながら子どもたちを見ています。

 近代以降「学校」という場所の基本的なスタイルーー子どもたちが同じ教室に集まり、その集団に対して教師が教える、というスタイルは、これだけ人間の生活スタイルが変わった現代まで、まったく変わらなかったのです。みなさんご存知の通り、「学習」は、子どもが決められた時間に、決められた課題をこなしていくものでした。できるだけ多くの国民に基本的な知識や技能を身に着けてもらうには、そしてよき労働力となってもらうには(ついでに言えば、上官の命令に従順な兵隊さんを育てるには)、実に効率的だったのです。だって、ねえ、震災どころか第二次世界大戦の後だって、このスタイルは変わらなかったでしょう?もちろん教える内容は変わったけれども。すごくない??

 が、しかし!実はこのスタイルって、今回のような事態には全く機能しなくなるものだったんですね(東日本大震災と原発事故の際にも、被災地でここまで休校が長引くことはありませんでした。直後に卒業式をやっていましたし、4月からは例年通り新年度が始まりましたよね。私の勤務先も、もちろん県外に避難するなどで退会者は出ましたが、授業は普通に実施されて今に至るそうです)。新型コロナウイルスの世界的な流行によって、近代以降私たちが当たり前だと思って維持してきた教育のシステムが、初めて機能しなくなったんです。学校と学習塾の役割や立場が完全に逆転しはじめました。たったの1ヶ月で!!これはそのまま、「社会」と私たちの「生活」にダイレクトに影響を及ぼします。もちろん、「文化」にも。きっと、「文学」や「芸術」にも。

 現在、子どもたちの生活リズムが崩れないように、と、多くの学習塾や予備校がオンラインサービスを利用した「ホームルーム」を始めています。民間の、それも規模が大きくないところほど、その気になればすぐに動き出せる。逆に、こういう時の行政の動きはとても遅い。批判したり責めたりするつもりはありません。しょうがないんです。莫大な税金を使う以上、そう簡単に新しいことを始められないから。

 さらに言えば、これからオンラインサービスもそれに必要な機材も、今以上に安価になります。現在学習塾や予備校に通うには経済的な余裕が必要ですが、今後はきっとそれも逆転します。

 お金と時間をかけて「学校」という箱をつくり、毎年大勢の教員を養成するよりも、すべてオンラインにした方が「安く上がる」んです。確実に。これ、教育に限りませんね。この数ヶ月でみんな気づいちゃったでしょ? 

 これから20年後の公教育は、「行政から配布された端末で自分の好きな時に映像授業を受ける(見る)」のがスタンダードになり、「学校に通う」とか「生身の先生に教えてもらう」ということは、逆により裕福な家庭の特権になるかもしれません。かつてのヨーロッパの貴族とか日本の武士階級みたいに。

 さて、これから2週間後、そして1ケ月後、私はどんなことを書くでしょう。今は自分でも、まったく想像がつきません。

 それでは、また。


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