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金の砂、銀の雨~齋藤芳生のエッセイ~

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齋藤芳生がこれまであちこちに発表したエッセイをまとめています。
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#UAE

しずかなあいさつ

とても遠いけれども夢ではない日々を想えば金の砂こぼれたり 『花の渦』  名前を、アフマド…

齋藤芳生
4年前
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もし神が、お望みならば~アブダビ通信 最終回~

 初めて校長のサルマ女史に会った時、別れ際に彼女がにっこりと笑って、――じゃあミズ・サイ…

齋藤芳生
4年前
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楽器の女王を探して~アブダビ通信⑦~

 真夏には毎日50度近くまで気温が上がり、湿度も90パーセントを超えるアブダビだが、11月から…

齋藤芳生
4年前
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「アバーヤ」を着たい!~アブダビ通信⑥~

 袖を広げるとそれはまるで、羽化をしたばかりのアオスジアゲハが、ゆっくりと羽を広げている…

齋藤芳生
4年前
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らぁすあぁるはいま~アブダビ通信⑤~

 一緒にラス・アル・ハイマに行きましょう、と、勤務している小学校の校長であるサルマ女史が…

齋藤芳生
4年前
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神の忠実なる僕~アブダビ通信④~

 アブダーラの詳しい生い立ちや毎日の生活について、私はほとんど知らない。彼は、私が勤めて…

齋藤芳生
4年前
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それは、神様の望まれたもの~アブダビ通信③~

 交差点で信号を待っていると、足元の石畳にぽつぽつと音を立てながら灰色の斑点が増えてゆき、乾いて埃っぽい空気が静かに湿りを帯び始めた。遠くからやや苛立った車のクラクションの音が聴こえる。反対側の交差点で、誰かが雨から避難しようと急に走って道路を渡ろうとしたために、車が急ブレーキをかけたのだ。  一年の大半は蒸し風呂の中のように暑いアブダビだが、11月も半ばを過ぎるとだんだん気温と湿度が下がり、やがて夜から朝にかけて真っ白に霧がたち込めるようになる。日中も空に雲が多くなり、その

朝のラジオ~日本語から遠く離れて短歌を思う~

 朝6時45分。職場に向かうタクシーの中で、エジプト人の運転手さんがいつも流している、ロ…

齋藤芳生
4年前
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「ドバイ・ショック」の真ん中で~アブダビ通信②~

 「台風の目」の中がびっくりするほど静かなように、その渦中にいるとあまり実感がわかないも…

齋藤芳生
4年前
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この海のように~アブダビ通信①~

 美しい街である。  初めてこの街を歩いた日本人の友人は、街全体が日本の千葉にある某巨大…

齋藤芳生
4年前
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