見出し画像

0.デザインのまなざし -プレゼンに役立つ伝え方の本質を学ぼう- 1/5話

こんにちは、CHICACU Design Office & Bookstoreの直井薫子です。
アート ディレクターやデザイナーと呼ばれる領域の仕事を生業にしながら、時々自宅兼事務所をまちに開いて本屋をしています。
今回は「デザインのまなざしープレゼンに役立つ伝え方の本質を学ぼうー」という演題でお話をします。
若い皆さんがこれから社会で活躍していく際に、折に触れて役立つだろうデザインの魅力についてお伝えしたいと思います。
今日の話を聞いた後で、

・自分の意見を相手に伝えるにはどうしたらいいか?
・どうしたらデザイン思考が身につくのか?
・まず何をデザインすべきか?

皆さんそれぞれの立場でこの問いについて考え、これからの人生に生かすきっかけを持ち帰ってもらえたら幸いです。
デザインに関する話をしますが、このnoteには絵や図が含まれていません。理由は最後にお話ししますが、話を中心にぜひリラックスして聞いてもらえたらと思います。
また、このあとすぐ、デザイン思考を体験するための簡単なゲームをするので紙と筆記用具を準備しておいてください。
それでは、はじめます。

はじめに、今日の話の結論を言っておきます。
・伝わるデザインには良い問いがある
・デザイン思考は自らの問いの抽象度を鍛えるところから
・歴史を学び、仮説検証する技術を身につける
・仮説が未来をつくる

特に3,4つめの「歴史を学び、仮説検証する技術を身につける、仮説が未来をつくる」では、めちゃめちゃ大事な話をするので、最後まで寝ないで読んでください。
それでは、順番にお話していきます。

まず皆さんにお聞きします。

デザインって何でしょう?

よく耳にする言葉ですが、我々は何をデザインと呼んでいるのでしょうか?
よく勘違いされるのは英語の「スタイル」のイメージです。アメリカンスタイル、北欧スタイルなど、装飾的な特徴のこと。そしてもう一つは「対象の色や形を決める行為、つまり紙やパソコンなどの上でアウトプットする行為」のことです。これらはデザインのほんの一部分に過ぎません。
私はこのように答えます。

デザインとは「問題を解決する手段」である

wikipediaをみると審美性を根源にもつ計画的行為の全般を指すものと書いてあります。
分かったようなわからないような人のために、もう一つ質問です。
本来問題を解決する手段であるはずのデザインですが、

よいデザインとわるいデザインがあるのはなぜでしょう。

この違いをわかりやすく実感してもらうために、皆さんに一つやってもらいたいゲームがあります。紙と筆記用具を準備してください。今から2つ問題を出しますので、絵で描いて答えてください。いいですか。 では、問題を表示します。

ドラえもんを描いてください。

制限時間は20秒です。では、描きはじめてください。よーい、スタート。

(20秒ドラえもんを描いてみてください。)

はい、おしまいです。あなたが描いたものを教えてもらえますか。
顔だけを描いた人、全身描いた人、このなかで後ろ姿を描いた人はいますか?

では、次の問題です。

ドラえもんを知らない人にドラえもんを絵だけで教えてあげてください。

次は少し長めに30秒。
もう一度、考えて描いてみてください。よーい、スタート。

(30秒ドラえもんを描いてみてください。)

はい、おしまいです。先ほどの絵と見比べてみてください。
何か変化はありましたか?

先ほどとは違う角度やポーズのドラえもんを描いた人、四次元ポケットから出てくる道具も描いた人、好物のどら焼きを描いた人、のび太くんなどほかのキャラクターも描いた人。
上手い下手は問題ではありません、どのように伝えようとしたかというところで、さっきの20秒と、今の30秒、明らかに皆さんは思考の使い方が違ったはずです。

ドラえもんは機能的にもストーリー的にも非常に情報量が多いモチーフです。
最初の20秒の「描く行為」はおそらく「皆さんの個人的な認識の吐露」であったはず。しかし、あとの30秒は伝える相手ができたことで「描く対象の特徴を掴み、伝える相手に最適化する行為」、つまり「相手に伝えるべきことの共通理解を促す行為」さらに言い換えるならば「相手の問題を解決する行為(=デザイン)」であっただろうと思います。
四次元ポケットを説明するためにどこでもドアやタケコプターなど主要な道具を出す瞬間を描く必要があったり、猫型ロボットであることを伝えるために耳をかじられてしまった天敵のネズミから逃げる姿を描く必要があったり、最愛の友人であるのび太がいじめられっ子であることを伝えるにはジャイアンやスネ夫を描く必要があったりします。
今の体験を通して伝えたいことは、常に「自分」ではなく「相手」の立場で、ものごとを観察すること、伝えることの重要性です。当たり前だと思っていることを当たり前に思わず、普段生活している中で、使いづらいな、わかりづらいな、と思うことがあったら、なぜ、自分がそのように思ったのか、観察し、考えてみましょう。反対に、いいなと思うことがあったときも同様に観察をしましょう。
観察を続けていると気づくことがあります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?