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楽しい本#01「バッタを倒しにアフリカへ」

偏りの無いようにという配慮なのか、母は小学生だった私に「シートン動物記」と「ファーブル昆虫記」を交互に買い揃えてくれた。当時はシートンのドラマチックな語り口により魅了されたのだけど、ファーブルの緻密なデッサン画は今思い返しても感動ものだ。

noteでブログを書き始め、スキがたくさんあるブログはどんなものなんだろう?と探したら、鳥と虫の写真をてんこ盛りに載せてるやつにあたった。日々、鳥と虫にもっと詳しくなりたいと勉強してるその人が、ブログの最後のほうで激推ししてたのがこの本だ。

著者名を見て「外国籍の人かな」と思っちゃったんだけど、「ウルド」というのはモーリタニアで最高に尊敬を集めることができるミドルネームで、彼の信念に感激した現地の所長から賜ったものだった。つまり彼は生粋の秋田人ながら、アフリカにとんでもない災害をもたらすサバクトビバッタと生涯かけて戦う誓いをたてている。

たててはいるのだが、同時にどうしようもなくバッタを愛してる。だってね、以前の大発生の折り、居合わせた人がたまたま緑色の服を着ていたら、バッタが草と勘違いして食い散らかしたという悲劇を耳にして彼はこう思うのだ。

「羨ましい。自分もバッタに喰われたい。」

そして実際に全身緑タイツでバッタの大群の中に身を投じたりする。悲しいかな、バッタは完無視なんだけどさ。

そして我らがファーブルにまつわるエピソード。子供の頃から「ファーブルになりたい」と願ってきた著者は、知り合いのフランス人に「日本で一番有名なフランス人は誰か」と聞かれ、迷うことなく彼の名を挙げる。「はあ?誰?なんで昆虫学者なんかが一番なんだよ、おかしいだろ」と。しかし念願叶ってファーブル生誕の村を訪れると、そこかしこに彼を讃えるモニュメントやレリーフがあり、感激する。憧れの人の生家を見上げて彼はつぶやく。

「でかい。。。」

え?そこ?

著者は本気でバッタからアフリカを守りたいと考えている。そのために研究費が必要だ。執筆はその一環だが、論文を書いてスポンサーを探すのが本道と言える。で、京大の「白眉プロジェクト」の面接に、眉毛白塗りして挑んだりする。大真面目なんだけど、なんかオカシイんである。そしてそういう人が大好物なんだと改めて気づく。さらにアフリカンなハプニングは、最愛の本「ガダラの豚」(中島らも著)にもテイストが似ていてにやけてしまう。たぶんこのあとまたガダラ祭り始まるな。

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